AOI 第61話
「ただいまー。」
と、塾から帰ってきた、私。居間に入ると、TVつけっぱなしで、こたつで寝ている弟を発見。めっちゃくちゃ、気持ち良さそうに寝ている。このまま、寝かせてあげたいが、こたつに入って寝ると風邪をひいてしまうので、起こすことにした。弟は、
「やべ、寝ちゃってた。」
と、こたつにもっと深く入った。
「おいおい、風邪ひくよ。少したったらお風呂入りなね。」
弟は、目をつむりながら、
「はーい。」
と、答えていた。
「はいはい、目開けてー。」
と、私が声をかけると、
「眠い〜。」
と、なかなか目が開けれなくなっているようだ。可哀想に。結局、弟は、母が帰ってくるまで寝ていた。そして、案の定、怒られていた。弟は、母の声で、今度こそ、目を開けたし、起きあがった。
「やべ、寝ちゃってた。」
うわぁ。さっきと同じ事話している。弟は、こたつから出て、今度こそ、立って、
「目覚ましにお風呂入ってくる。」
と、眠い眠いと言いながら居間を出て行った。私は、母に、弟が友達とお昼ご飯食べに行った事や、先にお風呂掃除をしていた事を話た。母は、お夕飯の支度をしながら、本当に聞いているかいないかわからないけれど、話の合間に相槌をうっていた。私は運び屋になり、話ながら台所とこたつを往復して、お夕飯を並べていった。並べ終わっても、弟はお風呂から上がってこなかった。母と私で、また、お風呂で寝ちゃったかなと話していた。母の先にいただこうの言葉で、2人で食べはじめた。TVのチャンネルは、弟がつけたまま。母から、
「そういえば、今朝、塾の話してたでしょ。」
あっ覚えていてくれた、と思って、母の顔の方を見た。
「今の塾?」
と、聞いてきたので、私は、
「そうそう。」
母は、
「4月からのパンフレット見せてくれる?」
と、言ってきたので、食事の手を止めて、
リュックからパンフレットを取り出して、母に渡した。母が、
「ありがとう。」
と言って、開いた。居間のドアが開いて、弟がお風呂から上がって入ってきた。すーっと寒い空気も一緒に。一瞬、寒って思うほど寒い。弟はまだ、髪が濡れていて、風邪ひいちゃうから、ちゃんと乾かしてと言われていたけれど、短髪だし、すぐ乾くと言って、こたつから出てドライヤーをかけに立つ事はなかった。結局、母とのやりとりで、畳んだ洗濯物のタオルを頭に巻く事で話は着地した。そして母は、えーっと、と言って、パンフレットを見返した。私は、
「ご飯食べてからにしよう。」
と、言って、母も、
「わかった。」
と、言って、お夕飯に集中することになった。