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都市との取り調べ

──青い空が、頭上に広がっていた。

視界の先に、金属とガラスで構成された巨大な建築物が見える。

空を走る軌道、その上を浮かぶ無人の乗り物。

見たこともないが、どこか懐かしい──そんな街並みが、眼前に広がっていた。

「……どこか、SFの世界みたいだな。まるで大好きだった映画のセットみたいだ」

ジョージは森の縁から、足元の苔を払うようにして一歩踏み出した。

さきほどの襲撃者との戦闘後、近くに人工的な箱の中に漆黒の金属を発見していた

──鑑定──

ブラックメタルと言う鉄の塊を拾い上げ、インベントリーに格納していた。

わずかに脈動するような質感と、異常な比重を持つその金属。

明らかに、ただの素材ではない。

(この素材、ただの金属じゃない。鉄の何倍もの重さなのに、驚くほどの衝撃吸収性……しかも振動が生きているようだった。)

襲撃者はこのブラックメタルを違法に採掘・取引している密輸者のようだ。

森林地帯でそんな行為が行われていたことに、ジョージは新たな警戒心を覚える。

彼は都市の方角へと足を向けた。

街の入り口に近づいたとき、不意に声が飛ぶ。

「そこの君、立ち止まりなさい」

青と白の制服を着た2人組の男女が姿を現す。

手にはタブレットのような端末。

顔には光学式のスキャンゴーグルが光っていた。

「その恰好は何なんだ。IDを確認したい」

「……IDは、持っていない。」

「ID無しで都市に入るのは違反行為だ。同行を願う」

抵抗する理由もない。

ジョージは素直に頷き、小型ドローン付きのパトカーへ乗り込んだ。

機体がふわりと浮かび、地面を離れる。

音もなく滑るように加速するその挙動に、ジョージはわずかに目を細めた。

(……空を飛ぶパトカー?。しかも無音……浮遊技術?

いや、まるで重力が存在しないような動きだ。どんな原理なんだ?)

空を走る軌道の上には、似たような乗り物がいくつも滑っていく。

まるで魔導機のような、不思議な乗り物だ。

(本当にファンタジー世界か?……それとも、どこか別の世界?とにかく常識じゃ測れない場所だ)

たどり着いた先は、都市中央区の巨大施設だった。

青と銀の金属で構成された円柱形の建造物。

その外壁にはホログラムの警告が浮かび、数多の監視カメラとドローンが忙しなく巡回していた。

入口には自動認証ゲートが並び、訪問者一人ひとりの全身を光でスキャンしている。

施設内部は冷たく静かだった。

床には淡く発光するラインが走り、来訪者の導線を誘導している。

天井には待機ドローン、壁面にはホログラムディスプレイ。

ジョージは、無言でひとつの小部屋へと案内された。

まるで尋問室のような空間。

「説明してくれ。装備の由来と、出身は?」

「……記憶が曖昧なんだ。気が付いたら森の中にいていきなり密輸者に襲われたが、応戦して……その場にあった金属を拾った。その後この都市が見えたので近づいて今に至るってわけだ」

「証明する手段はあるか?」

ジョージは無言で、右手を軽く掲げた。

──インベントリー:開示。

透明なウィンドウが浮かび上がり、そこから漆黒の金属──ブラックメタルの塊が空間に現れる。

「っ……!?今のは、瞬間転移か……?いや、異空間魔法?いやいや、そんな……」

「まさか、未登録系の魔法か……?」

周囲の警官がざわつく。

「それ……ブラックメタルか?本物なのか?」

「見間違いじゃなければ、コア掘削用の希少金属のはずだ。質量が……おい、これ一人で持ち運んだのか?」

「信じられん……これを拾っただと?ありえない……」

「異常な点は多いが……違法性は確認できない。IDを発行する。ランク:E。仮登録だ」

ジョージはカードを受け取りながら、短く尋ねた。

「ランク……?」

警官は少し表情を緩めて、丁寧に説明を始めた。

「この都市では、すべての市民はランクによって管理されている。

衣食住、医療、教育、施設の利用範囲まですべてランクによって決まる」

「最低ランクでも最低限の暮らしは保証されているが、アクセスできる施設は限られる。Eランクのままでは、市民権も仮の扱いになる」

「……なるほど」

「その格好も目立つ。服装についても改善が必要だ。ミラ通りの角に服屋がある。

出る時に教えておく」

警官は最後に軽く笑って、ジョージにIDカードを手渡した。

「何かあれば、登録端末で申請できる。しばらくは注意して行動するように」

ジョージは軽く頭を下げ、施設をあとにした。

警察署を出て、案内された服屋を探して歩く途中──ふと、大通りの一角に広がる巨大な建造物が目に留まる。

──『History Museum』。

入口に掲げられたホログラムには、こう記されていた。

『この惑星の7000年の歩みを、あなたに。』

(7000年……?なにか、嫌な予感がする)



ジョージは気が付くと足を踏み入れていた

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