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母との対立激化

 半年を過ぎてもなかなか賢の首が座らないことが心配だったほか、なかなかハイハイしないのも気になっていたので、どうしようかと思っていた私。それは私の母も気になっていたことで、私が仕事に行っていたある日、母がさと子に電話で

「賢ちゃんの首がまだ座らんのが私もすごい気になるんよ。明日なら私も一日休めるから、一緒に病院に行かんかね。こういうことは、早いうちがいいと思うんよ。あとであの時病院に行っておけばよかったっていうことがないようにしようや」

 と、病院の受診を勧めたのであるが、さと子はそれが気に入らなかったみたいで、

「うるせぇこのくそばばぁ。そんなに自分の孫を障がい者にしたいんか」

 と喧嘩を売りつけたみたいで、私が仕事を終えてアパートに戻ると、さと子が

「あんたのお母さんて、そんなに賢のこと障がい者にしたいんかねぇ。あまりにしつこいから、喧嘩売ってやった」

 などと言っていたので、私も賢の首がなかなか座らないことが気になっていたので、さと子に病院に連れて行くように言ったのであるが、ここでまた、私とさと子でひと悶着。さと子も首のすわりの遅いのが気になっていたのであるが、どうしても病院に連れて行きたくないというのである。首のすわりの遅いのを医師や私の母にあれこれ言われるのが嫌だという。私に仕事を休んで行けというのである。私もおいそれと休みが取れるような仕事であれば連れていくが、私の仕事は生産現場での仕事であるため、急に休むってなると、人員の配置などをやり直さなくてはならず、多大な負担がかかるため、難しいのである。それはさと子自身もよくわかっていたはずで、それを承知で無理難題を言ってくるのである。母が一緒に行くっていうことは私も聞いていたので、さと子にそれを伝えると、

「なんであんなくそばばぁと一緒に行かんといけんのんか?私は行くの嫌だって言ってんじゃん」

 それからも私は病院に連れて行くように説得を続けて、

「連れていけばいいんじゃろ。仕事ばっかりして家のことを全然やらん、このくそ役立たずが」

「だったらてめぇが仕事に行け。俺が連れて行ってやるからよ。その代わり俺の信用を落とすような真似するんじゃねぇぞ。一日中立ちっぱなしの仕事を、何一つやり遂げたことのないおまえが務まると思えんけどな。おまえだったらものの1時間で音を上げるんじゃねぇか」

「またそういうことを言うじゃろ?男が昼間っから家におっておかしいと思わんの?」

「だったら文句言わずにさっさと連れていけや」

 そういって、さと子が病院に連れていくことになったのである。私はそれで一件落着と思っていたのであるが、翌日、私が仕事を終えて家に帰ってくると、何やら私の母とさと子の間で言い争いをしているようであった。そう、さと子の金切り声が外に丸聞こえだったのである。私が慌てて中に入ると、さと子は慌てて電話を切って

「知り合いの鍼灸マッサージのおじさんに賢を診てもらいに行ったんじゃけど、お義母さんに何の連絡もせんかったから、お義母さんがめっちゃ怒ってる。」

 っていうことであった。詳しく話を聞くと、さと子は、母にあれこれ言われるのが嫌だったので、母が来るといった時間より早く家を出て、鍼灸マッサージに連れて行ったそうで、母は小児科の先生に診てもらうため、準備をしていたそうである。何度呼んでも出ないし、駐車場に車もないので母は帰ったそうなのであるが、さと子が家に帰ってきて、母に賢を連れて鍼灸マッサージに連れて行ったことについて

「あんたにごちゃごちゃ言われるのが嫌なんだよ。だから賢を連れて行ったんじゃ」

 といったことが発端で、母の怒りが爆発したようである。私の母としては、孫に何かあってはいけないと思ったから、病院を受診した方がいいと思ったのであるが、完全にその思いは踏みつぶされた格好である。母は

「そんなものの言い方するんじゃったら、もう二度と私たちを頼るな。わかったか」

 そう言っていたそうである。それからしばらくしてさと子は

「お義母さんに悪いことをしたから、あんたから謝っといて」

というので、私は

「はぁ?ふざけんじゃねぇよ。なんで俺が悪いことしてねぇのに、謝らんといけんのんか?」

さと子の悪い癖がまた出た。自分が相手の怒りを買うようなことをしておいて、自分の立場が悪くなると、自分で謝ろうとはせずに、他人に任せようとするところ。私は

「自分のケツは自分でふけ。俺に尻拭いさせるな」

 そういって一切かかわりを持たなかった。そして後日私がかかりつけの小児科に連れて行って、賢の首の状態を詳しく診察してもらったのであるが、

「首の座るのに早い遅いは個人差がある。今のところ骨や関節などに異常はないから、もう少し様子を見てみたらどうか」

 といわれて、そのことを母に伝えると、母も安どした様子であった。これからもう少し過ぎてから、賢は首が座って、ハイハイもできるようになったのである。


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