幼稚園生活の転機
賢が春休みに入ると、悠と一緒にいる時間も自然と増えて、まぁそれなりに兄弟喧嘩もあって、賑やかな状態が続いていた私たち家族。私が日曜日とか、休みの日に賢も暇だろうということで、悠と一緒に、幼稚園に遊びに行ったときのことである。通園バスが通る道は、幼稚園の運動場より少し高いところを通って、幼稚園の中庭に通じているのであるが、賢をジャンプして飛び降りようとさせていた私。高さで言うと私の身長くらいの高さだろうか。初めはおっかなびっくりで恐がっていた賢も、次第になれてきて、自分から
「ジャーンプ」
と言って、飛び降りて遊んでいた。そして、それに飽きたのか、ブランコのほうに行って遊びだしたので、悠に
「ちょっと兄ちゃんを見てくるからそこで待っててね」
と言って、賢のほうに行ったのであるが、何を思ったか、悠が
「チャーンプ」
と言って、私が
「へ?」
と思って、後ろを振り向くと、悠が、賢が今までジャンプしてたところから、ジャンプしようとしているではないか。慌てて止めに入ったのであるが、悠は勢いよくジャンプして、そのまま顔面着地。初めはきょとんとしていたが、だんだん打ったところが痛くなってきたのだろう。
「おちょうちゃん痛い~」
と言って、泣き出してしまった。
「そりゃ痛かろう」
と思って、家に帰って消毒して、すりむいたところに絆創膏を貼って、応急処置を済ませたあと、念のため病院に連れて行ったのであるが、幸いちょこっと打っただけですんで、事なきを得た悠である。それにしても自分がジャンプしても大丈夫と思ったのだろうか。さと子は
「こんな可愛いこの顔に、傷がついたらどうすんのよ」
と怒っていたが、まぁ子供って何しでかすか解らないので、
「こういうこともあらぁな」
と思って帰宅した私である。そして、春休みは私の祖母のお見舞いや、美東町で暮らしているさと子の祖父の家に遊びに行ったりして過して、年中の始業式を迎えた賢なのであった。
悠の幼稚園での顔面着地事件があって、鼻の頭と膝をすりむいたあと、幼稚園には行ってなかったのであるが、2003年4月10日、賢の年長としての幼稚園での生活が始まった。悠も一緒の幼稚園について行ったのであるが、同じ幼稚園の賢の組の女の子の人気は悠に集中していた。
「おじちゃん、悠君抱っこさせて~」
「いいけどけっこう重たいよ。大丈夫?」
「うん、家でも弟を抱っこしてるから大丈夫よ~」
「それじゃあ抱っこしてみる?」
「ありがとう」
「いいねぇ。お姉ちゃんに抱っこしてもらって」
年長のお姉ちゃんに抱っこされて、すこぶるご機嫌な悠なのであった。そして年長の時に担任の先生になっていただいたK先生に私が、始業式のあと、連絡帳に書き込みをしています。
4月10日
年長としての園生活がいよいよ始まりました。これから一年間色々お世話になります。よろしくお願いいたします。
と書かれてあります。
返事は私が書いています。
4月10日
賢もよく落着いてくれていたので、よかったと思います。さすがに年長さんになっただけのことはあると思ってみていました。家でもよく頑張ったよと誉めてあげました。なんか本人はちょっと照れくさそうにしていました。
賢は、家では列車や車などの乗り物が大好きで、よく私が持っている列車の写真集を見て、特急列車の名前等を言っていいます。
その他、音楽が好きで、TVの音楽番組を見ては歌っていいます。また私が仕事が休みのときはよく散歩に行っています。昨年は春から秋の終わりまで、海に20回以上行って、エビやアサリを採っては食卓に並べて食べてました。また今年も海に山に散歩に行って、体を鍛えようと思います。
また、アニメの「となりのトトロ」「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」「平成狸合戦ぽんぽこ」
などをよく見ています。
そして悠とも、毎日のように喧嘩をしながらも、兄弟仲よくしています。こんな私たちですが、一年間他の園児とのコミュニケーションや、先生とのコミュニケーションを大切にしていこうと思います。
P.S入園式を見ながら、息子も2年前はあんなに小さかったんだなぁと改めて成長振りがうかがえた様な気がしました。
さと子も書き込みをしています
K先生、子供と共に親も生長して行きたいです。色々波があって大変なときもありますが、本人も少しずつ成長して行くと思います。一年間これからもよろしくお願いいたします。
なんか、一年間おせわになるにしては、さと子の書き込みは、ずいぶん手短な気もしするが、もう少しお願いする立場なんだから、親として、賢のことをどういうふうに見ているのか、どういうふうに接しているのか、詳しく書いてもよさそうな気がする私である。
担任の先生からの返事は
4月11日
こちらこそ一年間よろしくお願いいたします。入園式、今日とずいぶん落着いていた賢君でした。クラスも担任も変わり、賢君なりに緊張もあるのかもしれません。ご両親の賢君に対する暖かい思いを感じながら、読ませていただきました。私自身まだまだ力不足のところが多々ありますが、入始園式でお話しましたように、賢君を特別な子として見るのではなく、他の子同様に見たり、行動したりする中で受け止めていこうと思っています。ご両親と共に手を取り合って賢君の保育に当たりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。お母さんも書いておられましたが、私自身も賢君をはじめS組・幼稚園の子供たちと共に成長していけるよう、努力・精進して行こうと思います。何でも遠慮されずにお話ください。よろしくお願いいたします。
こうして年長としての幼稚園生活がスタートした。賢も、一年間慣れ親しんだ教室から移動し、担任の先生も変わって、慣れるまで大変だったようであるが、なれてしまえば、楽しそうに幼稚園に通う姿がそこにあった。
さと子は、子供たちと一緒に成長していきたいと盛んに書いていますが、全然成長のせの字もしなかった。でも、今こうやって自分の過去を私がどんどん暴露しているというのを知ったらどうするのだろう。




