優しい旦那様
20代前半くらいの可憐で魅力的な若い女性が、夜空の真ん中で輝く満月に向けて願い事を唱えている。
「お金持ちじゃなくても若くなくても良いですから、優しい旦那様をお与えください」
彼女の父親は金持ちではあったが、彼女や母親に暴力を振るう男だった。
彼女や母親は何時も泣いて暮していた、だから、あんな父親と同じような男とは一緒になりたくないという思いからだ。
だが月は悩む。
願いを聞いたのは今回で4回目、彼女の願いには少し反するが、毎回お金持ちで優しい旦那様を女性に与えている。
ただ、彼女に与えた優しい旦那様全員が、腹上死しているからだった。