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私だけの風物詩

作者: あや

春の花といえば?お花見といえば?多くの方は桜を思い浮かべることでしょう。

なんでも、花見が始まった頃の花は、桜ではなく梅を指していたのだとか。それがいつからか、桜が花見の主流となり、花見=梅ではなくなってしまったそうです。梅からすれば「今まで自分を見ていたのに!」と怒りや悲しみが湧いてしまいそうな話です。

これは、多くの人の注目を集める桜の精霊と、そんな桜の精霊に嫉妬してしまう梅の精霊のお話です。

私は桜の精霊。人々は私が衣を(まと)う時期になると、開花はいつ頃だだの、満開はいつ頃だなどと騒ぎ始める。注目されるのは嬉しいが、それは悩みでもある。理由は梅の精霊の機嫌を損ねてしまうから。


「何故じゃ!何故、お主は注目を浴び、皆に愛でられているのに。何故妾は見向きもされぬのじゃ!!」

これが梅の精霊こと、お梅の言い分だ。

「確かに桜も美しいが!梅とて悪くなかろう!辺りを甘い香で包み、白梅と紅梅がともに咲いて美しいというのに!」

これはお梅の口癖だ。

「あらあら、そんなに怒っては愛らしいお顔が台無し。人の子らに(なら)ってお菓子もお酒も用意したのです。また私達が変わらずにこうして会えたことを喜びましょう?ね?」


お梅はスンスンと泣いて赤くなった鼻を鳴らしながら酒を飲んでいる。端から見れば少女が飲酒しているようだが、私達はとうに(よわい)200を超えている。曰わく、「こちらの方が愛らしかろう?」ということらしい。


お梅の機嫌を取らねばならぬとは言え、それすらも楽しみなのだ。人の子に春を告げる傍らこの時期しか共にいられぬ彼女の声を聞くのは悪くない。さくらは己の衣と同じ色のガラスのお猪口を(うら)らかな日差しにかざし、ふと微笑んだ。

読んでくださった方、ありがとうございました。このお話は、花見の花は元々は梅であったことをたまたま知り、書いてみたお話です。ジャンルの選択で何を選んで良いのか分からず、純文学としておりますが「違うんじゃないの?」「ジャンル、こっちの方が良いんじゃない?」等ありましたら、教えていただけますと幸いです。

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