続断罪婚約破棄?
前作に引き続き次回へと続く物語。
「王子よ、知っているか?」
水色の長い髪を背に流し、灰色の正装を着た美しい男装した公爵令嬢ノリオットが、隣に立つ麗しき女装したカナリデントに尋ねる。
「あぁ、知っているさ。我が学園に平民が通うんだろう?しかも特例でな」
銀色の髪を二つに結び、白銀のドレスを着たカナリデントは目を細める。
「それがな。私をノリオット王子、君をカナリデント公爵令嬢と勘違いしたまま思い込んでいるみたいだよ」
笑ってノリオットは答えた。
「嘘だろ?いくら平民でも、私達の肖像画は様々なグッズとして今じゃ売ってない商会や店は無いんだぞ?」
カナリデントは目を見開いた。
「だが、それでも思い込んでいるのだ。私と君が逆になってな」
「悪夢のような思い込みだ」
からかうように笑うノリオットはカナリデントを抱き締め、カナリデントは目を細めた。
「男爵に孤児院から美貌を買われ、養女にされたらしいが……好色家で女癖が悪い男爵の事だ。学園卒業と同時に成人を待って彼女を愛人にする気だろうさ」
「それで?お前はどうする気だ?」
ノリオットにカナリデントは尋ねる。
「勿論、夢見る乙女は玉の輿を狙っている。ならば、その夢は壊さない方が良いだろう?男爵の目的も、中々他に裏がありそうだ」
笑ってノリオットはカナリデントを離した。
「確かに。あの男爵は金で爵位を買ったが……元々はしがない行商人だった筈。金の出所や現在経営している商会には調査が必要だな」
頷いてカナリデントはダンスホールからテラスへと歩き出す。
「君には悪いが、暫く協力してもらうぞ?」
カナリデントを追うようにテラスへと出ると、ノリオットはカナリデントの前に膝を付いて右手を取る。
「嫌だと言ってもやるのだろう?ならば付き合うしかあるまい」
苦笑してカナリデントは肩を竦めた。
「だが、どうか信じて欲しい。私が愛するのは麗しきカナリデント殿下、貴方だけだと」
ノリオットはカナリデントの右手の甲に口付けをした。
「お前を信じよう。愛しき薔薇よ。必ず我が元に戻れ」
優しく微笑んでカナリデントは言うと、立ち上がったノリオットを抱き上げる。
身長が低くても、カナリデントは騎士として幼い頃から鍛えており、ノリオットを抱き上げるのも普通なのだ。
「あぁ、必ず戻るよ」
顔を赤らめてノリオットは微笑むのだった。
そして二人が入学する学園に嵐が吹き荒れる。
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