前触れ
「おーい、隆二~」
家を出て学校に向かっていると、そんな声が聞こえてくる、後ろを振り向くと、同じクラスの問題児、田中康介が手を振りながら走ってきていた
「元気だったか~?いやぁ、今日ようやく停学開けてさぁ....そうだ!俺がいない間何かあった?」
「おはよう康介、特に何も無かったよ...そういえば、今朝のニュースは見たか?あの国連が核を落とすとかってやつ」
康介は、暴力事件を起こして3日の停学をくらっていた、だが、その暴力事件というのも、弱いやつしか狙わない奴らを殴ったという程度なので、僕は康介の事をあまり嫌いにはなれない、いいやつなのだ
「こくれん.....??なんだそれ、新しい技か?」
........馬鹿な事を除けば、本当に良い奴なのだ
「国際連合、言ってしまえば国のトップ達がお互いの国を監視し、お互いにより良くしていこう、戦争をなるべく回避しようって集まりだよ」
「あ〜、そんなのがあるのか....いや、よくわからんけど、それで核って?戦争を回避しようとする組織なんだろ?そんなの落としたら開戦しないか?」
正直、驚いた、こいつは馬鹿ではあるが、阿呆では無いのだ、何もわかっていないが、いつも本質をついてくる
「あぁ、おそらくね....日本は巻き込まれないといいけど....」
「だーいじょうぶだって!!多分?だって、大陸側からわざわざ日本に攻め込むメリットって無いだろ?明日も明後日も今日が続くよ、多分」
そんな事を話しながら、学校に向かった、今朝の母親の言っていた言葉を忘れるように、正直思い出したくもなかった
とりあえず学校に着いたら、先生に話を聞こう、今回の国連の出した結果についてどう思うか聞いてみよう、そんな事を思いながら歩いていると、僕と康介のスマホが同時に震え始める
「......ん?聞いた事ない音だな?」
「..............康介」
「どうした?何かあったのか?隆二....あれ?そういや同時に同じ音がしたな...なんか地震でも来るのか?」
「Jアラートだ....早く学校に行くぞ!!」
康介にそう言い、手を引っ張って走り始める、幸い、走れば学校まではものの数分で着く距離だ
「あ、おい!!どうした!?なんで走るんだよ!ただの地震だろ?慌てなくても.....」
「地震じゃない!!ミサイルだ!!」
「......え?」
Jアラートにはこう書かれていた
隣国のミサイル発射が確認されました、着弾予測地点は東京湾沖合50km地点、近隣の方は避難してください
「最悪だ.....戦争が始まるぞ......」
そう呟き、学校へと向かう足を更に早めた
学校が見えてくると、先程のJアラートの影響か、少し校門の辺りが騒がしい、先生も数人出てきているのが見えた、その内の1人に声をかける
「竹内先生!!さっきのJアラートって....」
「木下か!その説明をするから、一旦体育館に行け!荷物は持ったままで構わん!」
「わかりました!」
先生に指示を受け、次の行先が決まる
「な、なぁ隆二?何が起こってんだ?」
「そんなの僕が聞きたいよ....少なくとも異常事態ってのはたしかだね」
つい先程まで日本が戦争に巻き込まれることなんかないと豪語していた康介も、事態の急変にうろたえ始める
「とりあえず、体育館へ向かうぞ、話はそれからだ」
康介にそう言うと、2人で体育館へと向かった