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昨今目立つようになった乞食行為について

作者: 九傷

 


 皆様は乞食という言葉をご存知でしょうか?

 多くの方が、その意味も含めてご存知だと思いますが、一応説明しておきます。



【乞食】

 他人の憐憫の情を利用して、自己のために金銭や物品の施与を受けること。



 憐憫って難しい言葉が使われていますが、要は同情を誘って金品を得ようとする行為のことです。

 この行為自体、客観的に見て情けなく映りますが、そういった他者の視線以前の問題として、法律として禁止されている違法行為です。Wikipediaから引用すると以下のようになります。


 ・軽犯罪法

 軽犯罪法1条22号は、こじきをし、又はこじきをさせることを禁止し、違反者には拘留又は科料の刑事罰が規定されている。


 ・児童福祉法

 児童福祉法34条1項2号は、児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為を禁止し、違反者には3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれの併科とする刑事罰が規定されている。

 児童福祉法の規定は児童に直接乞食をさせるのではなく、児童を利用して乞食をする行為を処罰する規定である。児童が自発的に乞食を行っているときは、児童福祉法ではなく軽犯罪法の対象となる。



 何故乞食行為が違法になるかというと、合法にしてしまうと乞食を行う人が日本社会に蔓延し、働かない者が増える可能性があるからです。

 国民には働く義務があります。働かざるもの食うべからずってことですね。


 昔はこういった法律がなかったため乞食行為をする人が存在しましたが、現在路上で見かけることはほぼなくなりました。

 しかし、ネット上では最近乞食行為をする人たちが増えています。


 私がそれを認識したのは、ネットで投げ銭ができるようになった辺りからです。

 ニコニコ生放送(ニコ生)やツイキャス、Youtubeなどで可能になり、自分も投げたことがあるという人は結構いるのではないでしょうか。

 ドキリとした人もいるかもしれませんが、投げ銭自体は違法行為ではありません。

 たとえば、パフォーマーや路上アーティストが投げ銭を求める行為はパフォーマンスに対する対価として支払われる点から、適法行為となります。

 同じようにエンターテイメントを届けている配信に対し投げ銭することは、違法行為に加担していることにはならないので安心してください。


 しかし、これを利用して明確に金銭を求めたりするのは違法になります。

 実際、2015年には物乞いをニコニコ動画の生放送で配信した高松市の23歳(当時)の無職の男が、軽犯罪法違反で書類送検されています。


 それもあってか、ネット配信で稼ぐ人たちは自分から金銭を要求するような発言はしないよう注意するようになったのですが、最近になってまた緩くなり始めているように思います。

 その最たる原因は、Vtuberの隆盛にあるでしょう。


 VtuberとはバーチャルYouTuberの略語で、主に「2Dまたは3Dのアバターを使って活動しているYouTuber」のことを指します。

 活動内容は十人十色で、今となっては実に様々なVtuberがいますが、有名Vtuberともなるとスパチャと呼ばれる投げ銭システムで物凄い金額を稼いだりします。



 Vtuberが楽してお金を稼いでいるかというと、実際はそんなことないと思うのですが、働かないでお金を貰っているという意味では乞食に見えるという人も多いでしょう。

 私としては彼ら彼女らなりに努力してお金を得ているのだから、そういった新しい方向性の仕事と見ればアリだとは思っています。


 ただ、中には結構あくどいVtuberもいまして、隠語を使ったり、動画の外の営業活動で金銭をねだるという不届き者も増えているのです。

 たとえば、今年(2022年)の初めに超大物Vtuberが同棲騒ぎで話題になりましたが、その件で失望した太客(高額スパチャをした人)は、超大物Vtuberが個別でDMダイレクトメッセージを送ってきていた(営業活動をしていた)証拠画像などを流出していました。

 普通に動画で稼ぐのであれば合法ですが、裏でコソコソ営業活動するのは乞食行為に該当すると言えるでしょう。

(なお、この方はホロライブを契約解除されたあと、ソロ活動を開始しそちらで稼いでいます。メンバーシップなども利用してお金を稼いでいるので、商魂たくましいですね……)


 なろうでも、時々DMやメッセージで営業行為をしている人がいるという話を聞きます。

 金銭のやり取りではないので違法にはなりませんが、規約違反ではありますし立派(?)な乞食行為なので、もしやってる人はやめるようにしましょう。



 Vtuberの話に戻りますが、今年は別の大物Vtuberが画期的な投げ銭システムを採用した件でも炎上していました。

 どう画期的かというのを説明します。

 まずこのVtuberはゲーム実況系Vtuberなのですが、ゲームによっては営利目的の実況配信は禁止(スパチャ禁止)していることがあります。

 そういったゲームでVtuberはお金を稼ぐことができないのですが、そのルールを掻い潜るためにゲーム配信後に短時間のスパチャ用雑談枠を設ける「スパチャ三点方式」を採用したのです。

 もう、これだけでも意地汚さを感じますよね。

 これって規約は確かにギリギリ守っているのかもしれませんが、行為としては最低です。

 ゲーム実況配信者なのに、ゲームやその制作会社に対するリスペクトがまるで感じられないため、炎上するのは当然と言えるでしょう。

 その炎上の結果、雑談枠はコメントオフになる事態となったのですが、その次の行動がまた酷いものでした。


 何をしたかと言うと、今度はフリーチャットというシステムを利用し始めたのです。

 ゲーム実況配信とは別枠でフリーチャット配信を行い、スパチャはそちらでと誘導し始めたのですよ。

 具体的には、実況配信中に「お茶投げたい方はフリチャにお願いしまーす!」と言っていました。

 お茶というのはスパチャの隠語です。

 これって缶を置いてお恵みをと言っているのと変わりませんよね。立派(?)な乞食行為だと思います。



 上記の二件は大物Vtuberがやったので大きな話題となりましたが、それ以外の目立っていない場所でコソコソ乞食行為をしているVtuberは結構な数います。

 あまりにもアチコチで散見することから、もしかしたら違法だと知らないでやっている人もいるんじゃないでしょうか。

 このエッセイを読んでいる人で、私もやってみたいと考えている人は注意してください。

 捕まっていないだけで、彼ら彼女らは違法行為をしています。真似をすれば最悪捕まりますよ。



 上記では物乞い系配信者について語っていますが、なんのエンタメ性もなく「ただ酒を飲んでいる配信」とか「私生活を映しているだけ」みたいな動画でお金貰っている人たちも、私としてはほとんど乞食と変わらないと思っています。

 昔、ニコ生主を動物園の動物に例えている人がいましたが、凄く適した表現だと思いました。




 最後にもう一件、乞食に該当する行為をして話題となっていた件を紹介します。


 知っている人も多いと思いますが、ユーチューバーに自称少年革命家を名乗る少年がいます。

 その少年は最近までクラウドファンディングを行っていたのですが、そのタイトルが「スタディ号で日本一周して日本中の人に元気と勇気を届けたい!」です。

 このタイトルを見ても何ぞ? と思う人がほとんどなので軽く説明しますと、この少年革命家がスタディ号という車で日本一周して不登校の人達などと会って元気を与えるという活動になります。


 この説明でなんでクラウドファンディングが必要なんだと思う人も多いと思いますが、その感覚は正しいです。

 実際、こういう慈善活動をするのであれば自費でやるのが普通だと思いますが、この少年革命家はスタディ号という車代、旅費などを強請るためにクラウドファンディングしたワケです。

 この時点で私からすれば乞食活動にクラウドファンディングを利用していると感じてしまうのですが、まあ成立しているのでギリギリ合法ということにしておきましょう。

(ちなみのこの企画の支援プラン(2万円コース)には、「少年革命家が自宅にお邪魔して一緒にお話ししながらご飯をご馳走になる」というものがあります。2万払わせて、さらにご飯も要求するという素晴らしいプランです)


 問題はこのあとの行動です。

 このクラファン、当然ながら支援が全く集まりませんでした(内容が不透明過ぎるから当然ですよね)。

 目標金額は380万円だったのですが、残り四日を切っても100万円以上足りないという状況だったのです。

 その結果、この少年革命家は動画で支援を呼びかけました。



「みなさん助けてください! 支援してください! 支援してくれなきゃ友達じゃない!」



 これに加え、体調不良だと同情を誘うようなこともしていました(だったら動画なんて撮ってないで寝てろよと思いましたが)。

 もう、完全に乞食行為ですよね。

 流石にYoutube運営もコレはNGと判断したようで、この動画は削除されました。

 それでも懲りず、インスタライブなどで知人に電話をかけまくって「支援してくれ!」と半強制的な支援要求をしており(ライブ配信されているので断りにくい状況が作られている)、これは公開カツアゲと呼ばれていました。


 もしこの少年革命家が自主的にこれらの活動をしていたのであれば、前述したように軽犯罪にあたりますよね。

 そうではなく、親にやらされていたのであれば、親が児童福祉法違反になります。

 どっちにしろ犯罪ですね。


 私はこの少年(または親)を、捕まっていないだけの犯罪者だと思っています。

 真似する人が出ないことを祈るばかりですね。



 ちなみに、なろうのクレクレ自体は乞食行為にはあたらないです。

 作品が面白いと思った方はブクマやポイントをお願いします! というのは、パフォーマーや路上アーティストへの投げ銭と同種だと思いますので。

 ただ、もう少しで1万pt達成なんです! 是非ポイントやブクマをお願いします! なんてあとがきに書いている人もいますが、これは乞食行為だと思いますね。通報されてもおかしくない行為なので、注意しましょう。




 今回こんなエッセイを書いた理由は、「皆さん迂闊に投げ銭しないでくださいね」というのと「私もやってみよう」とならないで欲しかったからです。

 良識のある方はやらないとは思うんですが、あまり深く考えない人はつい手を出してしまいますので……

 前者は犯罪に加担することになりますし、後者は犯罪者になる可能性があるので注意してください。


 それから、犯罪にならなくても乞食には変わらない行為もあるので、なろうにおいても注意が必要です。

 活動報告なんかで、軽い気持ちで「あとちょっとで~なんで協力お願いします!」みたいなのは最悪通報される可能性があります。



 伝えたかったことは以上ですが、最後にオマケです。


 上記で話題にした少年革命家のクラファンですが、100万円支援した足長オジサンが二名ほど現れ、無事達成されました。

 その結果、現在少年革命家は日本一周旅行を開始し、各地で美味しい食事をご馳走されまくっています。

 どうやら2万円コースとは関係なくご馳走されていることもあるようで、少年は幸せそうです。

 でも、2万円払った人達との差別化はされているんでしょうかねぇ……


 それだけでも詐欺に近いのに、動画ではなんとPayPayで支援金を求めるQRコードまで紹介していました。

 これも乞食行為です。PayPay側としても非推奨行為と明言しています。

 これだけのことをしておきながら、まだお金が欲しいのか……


 近い将来、この少年革命家(もしくは親)には何らかのペナルティが与えられる気がします。

 そうなったとき、学校にも行っていない少年革命家はどうなってしまうのか……

 自業自得とはいえ心配ですね。


 皆様、自己責任ではありますが、乞食行為はやめましょう。



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― 新着の感想 ―
Wikipedeia.jpは現在フジテレビの社員が運営しており情報の確度が低いことがあるため引用を控えましょう
2024/11/28 20:57 アルゴリズムの中の人
[良い点] 乞食やってみたくなりました、、ありがとう [気になる点] 文才 [一言] けけけけ
[一言] 確かに後援を受けることと乞食が混ざってる人多いよねぇ。 目的が金かどうかだけっちゃだけなんだろうけど、結構違う。
2023/12/10 18:54 通りすがり
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