分章『理想郷の住人~若き天才達~』
分章「理想郷の住人~若き天才達~」
注意・・・現実で東の方に思考された原世があります。お分かりいただけましたでしょうか?
「私、変事は何処に住んでいたでしょう?え?!谷の屋敷に住んでいたじゃないかって?そうか、君達には話していなかったっけ?あの家は貸家だったんだ。この社会には普通に存在する制度で、内装は出来るだけ変えないで、掃除することが条件。掃除、食事は何を使ってもOKって言う高待遇だね。二日前に藪さんが研修から帰ってきたから一日野宿するはめになって今この森にいる。って君達、小類に言っても理解できないよね。」
「いえ、理解できますよ。」
変事「え・・・え!~しゃ、喋った?~」
「ハハ、驚かしてすみません。私、魔動林 助と申します。」
「私は魔動林 霧だぜ。」
変事「ハッ!?もう一匹もリスが喋った?!うわ~」
バサン!私は落ち葉の大きなベッドに横になり、目を閉じてしまった。
変事「うわ!ハァハァハァここは・・・」
「目覚めましたか?ハイ、まずこれ。ココアですよ。」
落ち葉柄の小さなベッドだ。
変事「あ、って同じ声・・・同じ声ですよ!」
助「まぁ、落ち着いてください。ほら飲んでください。」
ゴクゴク・・・
助「実験中だったんですが、失敗ですかね?」
霧「だから失敗じゃないって何度も言ってるだろ!今回はたまたま、お前がくっちゃべちゃたのが原因だと分かったんだ。経験はパワーだって。原方の母も同じようなことを言ってたんじゃないか?」
助「アハハ、そうだったね。(小声)でもね、この方。その原方の母を知らないんだ。タダ記憶しているらしい。私もまたその一人さ。」
変事「そういえばまだ貴方たちの顔を見てなかったですね。」
チラ・・・
変事「リスじゃない。」
どちらもどこかで見たことがあるのだが、和服の男性が洋服の少年に、洋服の少女が和服の幼女になっている。ため口でいいのだろうか?
助「そりゃあ、そうですよ。あの姿は魔法で他者に虚像つまり、仮の姿を見せた結果なのですから。この魔法道具は使用者の描いた虚像を使用者や対象物の像にかぶせる力を与えられているのです。」
変事「ペンダントかい?」
霧「私の自信作だぜ。かっこいいのか、かわいいのか分からないけどな。」
助「ところで貴方は何処に行こうとしていたんですか?」
変事「この郷に我が家となるところを探しているんだよ。」
助「ほほう、家探しですか。この家で良いなら私達と一緒に住んでみませんか?その代わり、住み込みで働いてもらいますが。」
変事「お~ありがたいね。仕事か。ではこれからお願いするよ。」
助「ええ、こちらこそ。」
変事「それでは此処近辺の状況を教えてくれないか?」
霧「お前がこの家の前で見たように此処はほとんどが森となってるぜ。しかしな、あくまで本に書いてあった噂なんだが、年齢を操作するアレネ・イヤーロイドって言う魔女がこの森の奥に住んでいるらしいぜ。」
助「というわけで貴方、もし森の奥に行くなら安全確保のために道具を強化してみないかい?」
変事「強化ってどうするんだい?」
助「貴方は道具を持っていますか?」
変事「えぇ、この八卦炉ぐらいかな。」
霧「お~かっこいいじゃないか!」
変事「ありがとう。」
助「その道具は魔法道具でしょうか?」
変事「なんですか?それ。これは我々の技術の塊で、魔法の塊ではないよ。これ以上、強化する考えは今のところないね。」
霧「じゃあ、まず出来るだけ丈夫で真っ直ぐな木の枝を持って来てくれ。」
変事「なんで?」
霧「魔法には魔法でしか対抗できないかもしれないだろ。」
担ぎ込まれた和洋店を洋の玄関から出て、近くを散策する。その枝を五分もかからず、見つける。
変事「これで良いかい?」
霧「おぉ、早かったな~さって、その道具は拝借。此処からは私の管轄だぜ。ちょっと待ってな。」
三十秒後ぐらい・・・店前のテラスで。
霧「出来たぜ。え~」
変事「姓名かい?」
霧「おぅ、教えてくれるか?」
変事「時関 変事と申すんだ。」
霧「そうか、じゃあ変事。この魔法道具・・・実は作るのは二回目なんだが。」
変事「誰が来たんですか?」
霧「う~ん、造って言う客だったかな。緑の上着が特徴的だったぜ。」
変事「あ~造君ですか。」
霧「知ってるのか?」
変事「そりゃあ、私達が招待したからね。」
霧「招待?」
変事「えぇ、連楽船ってご存知かい?」
霧「・・・よくわかんねぇな。でも船だろ。船でどうやってこの浮島に招待するんだ?」
変事「電気を使うんだよ。」
霧「あぁ、昔、河童達が流行らせたあれか?」
変事「そうですよ。」
霧「へ~私には専門外だぜ。でもあいつはこれと同じようなものを作ってみたいって言ってたな。」
変事「あいつ?」
霧「あぁ、造だぜ。」
助「二人とも、そろそろ暗くなるし食事の準備も出来たんだが。」
霧「もう少し待ってくれないか?」
助「少しだけだよ。」
霧「よ~し、変事。お前に今からこの魔法道具の説明を行う。用心して聞くように。」
変事「う、うん。」
霧「まず通常状態だが、変形しないし朽ちることも無いぜ。凄いだろ。」
変事「うん、素晴らしいね。」
霧「これからもっと素晴らしくなるぜ。念じるだけで・・・」
変事「鎌、剣・・・うん?」
霧「ニョイボウみたいだろ。高跳びにも使えるぜ。」
変事「鎌や剣は炎だけかい?」
霧「いや、水や雷にもできるぜ。」
変事「他に機能ある?」
霧「今のところ釣竿だけかな。新たに木の針が、水の糸でこの枝と繋がっているんだぜ。しなりがあるけどやっぱり折れないようになってるんだ。最後に一言。これやほかの道具が魔法道具かどうか、信じるのはお前次第だぜ。まぁ、明日から頑張れよ!」
食事中で・・・
助「もしこの森から出ることになったら私のところに持っておいで。元の枝に戻してあげるから。」
出発当日、私が和の玄関から奥に進んでいるときに・・・
霧「なぁ、助。」
助「なんだい?」
霧「私を何で君って言ったんだ?私はお前より年上だぜ?」
助「え?親しみをこめて君って言ったんだよ。」
霧「でもな~失礼とは思わないのか?」
助「私の常識だと・・・」
親子には真実と溝が発生した。
続く・・・