2章『緑の練成術師、神になる』pert10
3章『緑の練成術師、神になる』pert10
江戸時代風の人里だが、人気のない村に着く。交差点に差し掛かるとどこからか声が聞こえる。
「やぁ、愚かな人間よ。」
造「それは私達のことですか?」
「お前達以外に誰が居る。」
この言葉の後すぐ、空が晴れる。
「こら!あんた達!人体があるのがうらやましいからってからわないの!」
「わ~博霊だ!~二人とも、逃げるよ~」気づくと前を外が薄オレンジで内が白の球体が右に浮き動いている。
「あ!置いてかないで~二人とも~」。
「ドチナル、私に捕まって!」
薄黄色と白のに濃い青と白のがくっ付いて引っ張られていく。
ドナチル「あ~痛いよ~」
「もう、ミクーニ!見てないで貴方も手伝いなさい!」
ミクーニ「は~アサータ、またかーちゃんみたいな言い方。」
博霊「さっさと行きなさい!」
三霊「ひぃ!~」
向き直ると紅白の球体が居た。
博霊「ごめんなさいね。私の管理が行き届いていないばかりに。分からないことがあったら、この博霊がお答えするわよ。私の記憶の中で一番迷い人が聞く言葉によると、此処は一部の思いが強く残った夢幻の地、理想郷に対となって同じ原世から生まれた創世。立地は理想郷と同じなのに人気もないけど建物の形は原世に似ているという強みがあるの。あんた達は理想郷を知っているのかしら?という感じね。」
発声器官も分からない彼女を見て思う。こんな時こその魂知は?だ。
造「ええ、まずは魂知は?」
博霊「はいはい、魂知は?」
「え?通じた?」
その答えに驚く数一君。
博霊「今の私達にぴったりな外の社会の挨拶なんでしょ?聞屋のどっちかが広めてたらしいわね。」
造「話を戻しますが確か・・・私達は理想郷の住人ですよ。それがなぜ?」
博霊「知っているなら話が早いと思っただけよ。私達、さっきも言ったように多分体が無いの。この世界だか、社会に生まれてからね。創世の副作用みたいなものでしょうね・・・ここらでは同僚が幽霊みたいと言っているわ。だから霊魂異変の別名、霊魂郷と言ったところかしら?まぁ、作者の夢の断片って事で夢幻郷かしら?さっきの奴ら以外にも黄色に白黒チェックや水色と小さな赤の奴も・・・同じようなものね、きっと。」
造「此処には薬剤師や医師も居るはずですよね。そちらには相談されたのですか?」
博霊「あら、私達をなめてもらうと困るわね。此処の情報は早いんだから、村医者は知らないけど、イーリン先生も良く分からないと言ってたらしいわ。」
チュナ「へ~村医者は知らないってどゆこと?」
博霊「ん~それも知らないって言えばいいのかな?別の言い方だと見えないとかね。」
チュナ「見えない?~」
博霊「此処はそちらも変わらない人里なんだから見れば早いわ。私達霊魂もどきとあんた達以外だ~れも居ないことが分かるかしら。
この通りにも、甘味処にも、長屋にも、勿論、診療所にも。」
「病気になったらどうするんですか!?」
今度は変事さんがつっこむ。
博霊「あら、知らないの?理想郷に住んでたんでしょう?~」
私が助け舟を出そう。
造「私は君らのそっくりさんが怪我をしたのも見たことがありません。」
博霊「そう、悪かったわね。少なくとも私達は昔のイーリンに診てもらっていたわ。原世のときだからね。この体になってからはなぜか怪我をしなくなったわ。一通り終わったのだからこっちから質問。あんた達、どうやって来たの?」
やはり私が答えよう。
チュナ「宙に浮かぶね、漁船に乗って来たんだよ。漁船!」
博霊「あはは、漁船ね~」
チュナ「そう、狭くて、魚群探知機も付いてないで、地図とにらめっこしてたの。ひどくな~い?」
博霊「それはご苦労なことで。外の社会でもそんなことがあるのね。じゃあ、その漁船はどこに止めたの?」
造「西の神社と大きな山との間の線路の端で私が壊しました。」
ようやく口を開けれた。
博霊「はぁ!?~あんた達、此処海面まで何十メートルかあるのよ!」
チュナ「ダイジョブ、ダイジョブ。帰るときはこちらの、神が何とかしてくれますよ。今度はましな物をお願いしますよ~」
造「あぁ、分かった分かった。岸もそう遠くないし。」
博霊「あんた、神って言ったわね。と言うと能力か何か持ってるわけ?」
造「君らの原世では、思い描き、それを造る程度の能力と言えばいいんですかね?」
博霊「まぁ、長いけどそんなとこ。」
造「しかしまだ半人前ですから、まずPCに打ち込まなければいけませんが・・・」
博霊「へ~そういえばあんた達は山の方から来たのよね?だったら、私達の異変を研究している。河童を見たかしら?」
造「いえ、理科炉 似和塗資技師には会ったことがありません。」
博霊「え?おかしいわね?~私が行ったときはいつも開けてたのに。」
「あ!博霊さ~ん!」
川を挟んだ民家の屋根に上から赤黒白赤の球体がこちらに浮いて来た。
「って貴方達は?」
博霊「良い所に来たわね、聞文記者。私達ってどうやって部屋に入っていたんだっけ?」
聞文記者「部外者には教えられませんねえ~」
博霊「じゃあ、今からこの人たちは部外者じゃないわ。一此処の住人よ。」
聞文記者「貴方が言うならまぁ、良いでしょう。しかし忘れてしまったんですかぁ?~ドアノブに触れなくても私達なら貫通するじゃないですか。」
博霊「え?そうだったけ?意識していなかったから分からなかったわ~」
聞文記者「もう、しっかりしてくださいね。貴方は姿が変わっても博麗の巫女なのですから。」
博霊「そんなこと言っても結界も張れないし、八九猫 賢も現れないのよ。だから私はパトロールしてるのよ。元三月精などが暴れたりしないように。」
聞文記者「あやや~怒られちゃいました。そうでしたか。何もしていないわけではなかったんですね~」
プルルルルル・・・ピッ。聞文丸の体が微振し着信、受話。
聞文記者「はい、こちら聞文丸。似和塗資さんでしたか。え?分かりましたか。はい、居ますけど。へぇ、了解しました。では後ほど。」
博霊「ね~聞屋。何だって?」
聞屋「え~とですね。出来る限り早く研究所に来てほしいと。」
今のおかしさに気づいただろうか?私は問う。
造「ちょちょちょ、何ですか今の?」
聞屋「何って通話ですけど?あのですね、最初はドキッとしたんですが、電話だったら着信に出なきゃって思ったらなぜか受話し始めたんですよ。はい、説明終わり。皆さん、行きますよ。」
いわゆる妖怪の山の水車小屋で・・・
小屋の横に集まり、私を先頭に板を渡る。前に博霊が居るので声だけが聞こえる。
「やぁ、盟友たち。待ってたんだよ。」
博霊「そんなに待ったの?」
「あぁ、ゴーレムを五体ほど造れるぐらい待ったよ。」
博霊「あんたの苦労より大事なことがあるのよ。」
「ん?なんだい?新作の不良品でも届いたのかい?」
博霊「え?そうね、この前の座布団から煙が出てきたわ。」
「何言ってるんだい。煙が白くて暖かかったろう?」
博霊「おっと、そんなことじゃないわ。この人達のこと。」
「お、四人か・・・って、へ?四肢がある。本物?いや、人形だろう。なぜなら私たちも人形みたいなものだからさ!ハッハ~」
博霊「何言ってるのよ。あんた今までそんなこと言ってなかったじゃない。」
「今までは今までさ。説明するから君達も中に入っておいで。」
ガチャン
上から半分が濃い青アーチトンネルと下半分と扇が深すぎない緑のやはり球体は、なんと木の扉をすり抜けて入る。聞文丸と博霊もそれに続く。
「あ、鍵は開けておいたよ。ノブを回して入っておいで。」
ノブを回すと手前に開いた。
小屋内・・・
「まずそこを閉めな。」
造「あ、はい。」
ガチャン
「さぁ、こっちだ。」
案内されたのは左奥の個室和式便所だ。
造「何でトイレなんだ?」
「ハーハッハ!やはりそう思うか。その取っ手を彫ってある矢印のほうに回し続けな。」
右に言われた円盤の広い面に先端が付いている棒取っ手を半時計方向に回す。すると・・・和式便器が床と人並みの隙間を残し、奥の床から数センチのちょうつがいで繋がれた戸から遮断され見えなくなる。隙間はダストシュートみたいに管が下に伸びている。
「少し臭うけど下で消せば大丈夫さ。」
そう言って三魂は管を下っていく。
「さぁ、一人ずつ降りておいで。」
少しためらうべきだろうか?でも知りたいだろ。まさかあの子らによってそんなこと・・・
造「もしかして、私達を殺そうとしてる?」
「いやまさか~んな訳ないじゃん。」
外では嘘をつくことが多い。ここでも例外ではないかも。と思いながら私は足から降りることにする。周りは白く、隙間にぴったり薄緑ガラスがはまっている。降りている途中、何かに引っ張られた気がする。オレンジの網の元へ私は優しく下ろされた。降りたことを確認し、チュナ達も下ろされた。今、もしかしたらこの網がなかった、引っ張られる感じが無かった、のかもしれないということに気づく。
「その四人は気づいたかな?引っ張られたことに。」
造「ええ、私は。」
チュナ「う~ん、ゆっくり降りている感じだったかな?」
変事「横に押さえられながら下ろされた気がします。」
数一「え?何のことでしょう?」
「ありがとう理奈。いい力使いだったよ。」
里奈「内こそ。いい力試しになったわ。」
そう何も見えないときに声が聞こえて似和塗資の横に違いがアーチが暗めの山吹色と扇に横一列に縁だけの黒丸が二つある球体。それが徐序に点々と出来上がってくる。
「藍、曲香、記録は取れたかい?」
藍「ええ、しかし、移動が少し遅かったような。」
アーチが藍色の球体が答える。
曲香「分裂などももう少し速くできないかな?~」
アーチが赤茶色の球体も答える。
「この子らは私の同僚。左から理奈、藍、曲香だよ・・・」
「・・・来たわよ。」
「賢さん!いつの間に!」
賢「さっきからよ。能力は使ってないわ。」
「あぅ、じゃあ、見てましたよね。あ~こちらは外の社会の住人の方達で・・・」
賢「知ってるわよ。この土地の降り立った時から。そして、一此処の住人なんでしょ博霊。」
博霊「あら、そんなとこも見て居たの?」
「分かったことは私達が、小さな・・・」
とたんに、周囲が赤黒に包まれる。時に白地楕円に穴が開いている模様が見える。
続く・・・