3章『緑の練成術師、神になる』pert6
3章『緑の練成術師、神になる』pert6
夜中の空になって。
もう二十日分も歩いただろうか?いや、もっとだろう。辺りはすっかり暗く、キノコのほんわり光るのを一目見て先へ行く。この辺りは湿地森の西の木が所々折れており、東に転がっている。ましてや風がとても強い。全方位から乾燥した風を受けているようだ。ようやく深い森から抜けることが出来た。と思っていたらまた向こうに森がある。途中にポツリとねじ曲がった電波塔らしき物が建っている。その下の小屋でシルクハットを被ったおじさんが、手を振りながらこっちに走って来ている。
「助けてください!」
彼はアメリカ人のはずだ。しかし流暢な日本語が、私の頭には響いた。
「私はセント=メーション。この塔の管理を任されています。いや~助かります。人手が欲しかったんですよ。見てくださいよ。この塔を!ひどいでしょう。私が昨晩月旅行の司会から帰ってきたら、きっと気候変動によるものだと思います。と言うか間違いないでしょう。どうか余裕があるなら力を貸してくれないでしょうか?」
造「いや~私もこんな話を期待していたんですよ。ところでですが、この塔って何ですか?」
セント「地球上の情報を集めて地球上に一斉に送信する電波塔です。貴方達にはこの電波塔の修理をして欲しいんです。」
造「分かりました。手始めに設計図と素材を教えてください。」
セント「では少々お待ちを。」
セントさんは小屋に入る。気づけば風も止んでいる。一分も経たずして・・・
セント「これです。」
素材は金属製。
造「あ~受信や送信は勉強してなかったですね。だから少しお時間をください。」
セント「勉強など今は必要ありません。必要なのは形と中身。どちらも私の頭の中です。だから迷わず従ってください。」
造「あ、はい。では準備を開始します。」
時計のふちをゼロに合わせ、両側のボタンを同時押し、想造の十字架を担ぐ。
セント「うお~ワンダフォ~。」
造「今回はマイナスドライバーを使います。ドラ中他小!まずは壊れた箇所を元に戻さなければ。」
さっきは説明していなかったが、このリュック・・・電磁浮上機なのだ。アルミさえ撒けば磁界の反発で浮いていられるわけ。これで破損箇所を調べる。幸い、送着信装置には問題ないらしい。つまり此処を切り離して鉄塔だけ戻せばそれで。
造「あの、送着信装置と鉄塔を切り離しますよ。」
セント「ふ~む、いいでしょう。しかし慎重にお願いしますよ。」
造「よし、じゃあタブレットを手元に・・・」
此処で時計のふちを回す。3に合わせ、ボタンを同時押し。文字盤の前で緑の粒が集まり。
造「んっとらブッシ。」
右手で危うくタブレットを握る。
装置を撮影し、赤枠で囲む。コピーして消去、しかしこれは一時的なこと。次に曲がった箇所を撮影し、今度はただ消去。
造「さて金属結合の時間だ。化学なら自由電子だな。」
トランクに行き素材想造する。図面通りの長さの物を4本、蓋の方に造る。
造「後はこいつ。」
小さな溶接機、振って力を貯め、引き金でアーク溶接する。まず、鉄棒一本とマイドラを持ち、また上へ。
造「あれ?ねじは木材だったか!じゃあ、ボルトとナットだな。あ~」
4組作った。
造「スパ中他小。」
今度はうまくいく、ボルトを差し込み、ナットをある程度指で回す。そしてスパナで締め切る。次のパーツへ。降りて着たら何かがきしむ音がした。ギ~カッカッカ・・・向き直り上を向くと鉄棒が向こう側に傾いている。
造「ああ、もう。チュナ、変事さん、数一君、セントさん出番です。4人にはこれを着けてもらいます。私とお揃いです。」
増産・・・
造「これで私が取り付けた鉄棒を支えていてほしいんです。出来ますかね?」
セント「手伝いを要求したのは私ですし、良いでしょう。」
ほか三名「君(貴方)の頼みなら。」
溶接機を腰にさげ、鉄棒をボルトとナットで仮留めていく。最後の一本を数一君に支えてもらいながら四人に言う。
造「よし、では皆ゆっくり私に鉄棒を近づけてください。」
近づけられた物を溶接機で留める。ナットをひとつずつよく留めて溶接していく。後は送着信装置だな。前例のようにアイパッドで写真を撮り、枠にはめ、完成した。
セント「おお~出来ましたね~で、御代の方は・・・」
造「そんなの知りませんよ。あの社会が無賃社会だったので、ここいらもそうではないのですか?」
セント「いえ、ちゃんとした資本主義国家でした。」
造「でしたってことは貴方、これからどうするのですか?気候も変わって国からの連絡もないかもしれないのに。」
セント「私の仕事は情報を集め、皆に公有させること。たとえ連絡がなかろうと此処に居続けなければならないのです。」
造「そうですか。ではまた何かあったら8231に電話してください。」
セント「あ、待ってください。用事ならまだあります。ご無礼をお許しください。」
造「いえ、伺いますよ。」
セント「そうですか。では、南の人達が此処に押し寄せて我らの活動領域を占領してる!彼らにも土地があるのにだ!どうか時間があるのなら調査に行ってくださりませんか?どうしてこちらに押し寄せてくるのかを・・・」
造「二人とも大丈夫かい?」
チュナ「われわれは平気さ。だって時を駆ける者だからね~」
造「数一君は?」
数一「体調も悪くありませんし。」
造「では行ってみます。」
セント「その人達は壁に囲まれた都市に住んでいて、関所がありますので身分証明書が必要ですよ。」
造「ありがとうございます。」
続く・・・