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『発明家の想造録』  作者: 幻想HKT104発明所長
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3章『緑の練成術師、神になる』pert5

3章『緑の練成術師、神になる』pert5


  変事「東の空を見てごらん。」

造「理想郷ですか。」

変事「はい、3、2、1、」

瞬間で目に入る光の質が下がった。オレンジがよりいっそう多くなったのだ。

変事「我々の考察によると、世界の非結合ですな。詳しく言いますと、あの理想郷をこの世界に隣接するもうひとつの世界の社会だとしよう。あの社会はこの社会と何らかの条件により空間を切り、繋がってしまった。しかし今のようにここでは時間が経つと条件がそろわなくなり、切れてしまったのではないかと考えたのだよ。」

造「は~あの社会は別社会だったのか。」

変事「確かに、日本社会では無いだろう。落ち込むことはない、きっとその時が来ればまた現れるさ。本当の時が分からないが仕方がない、原子時計は持ってるから分かるまでこれで時間を稼ごう。この時計では時の位を8カウント・・・8時間後だ。それまでに旅の準備をせねばな。」

造「なぜ旅に出るのですか!」

変事「それは、この地球の現状を知るため、君が成長するためでもある。まあ、私の言う通りにすれば3カウント・・・三時間後には床につけるだろう。さっ、発明室へ。」

想造容器に取り付けたパソコンで3D CADのように事を進める。

変事「まずは君の仕事道具の枠組みを作ろう。トランクのような。」

作業員設計中・・・

変事「おっ、止め具が良くできているじゃないか。次は中身だな、金属部分と木をくっ付けて、パソコンを作る。この想造専用プログラムをインプットして、反対にはこの容器と同じ物を置く、しかし平面にな。それをそのパソコンに接続して、次はナノマシンかな。」

小さな相棒・・・

変事「さてテストだな。手始めに小さなボルトとナットを作ろう。くっ付けないでよ。」

隙間を付けて想造へ・・・

変事「後はそのデータを保存すればいつでも同じものを作れる。よし、次は食料か。たんぱく質、脂質、ビタミン、炭水化物、を・・・」

これは調理と言うのか?・・・

変事「次は武器・・・いつ襲われるか分からない。道具とかもな。」

十字の工具、溶接機、ランタン・・・思いつけば増やしていこう。しかし、もう時の位が11、分の位が30を超えようとしている。

変事「そろそろ二階に上がろう。想造は旅の途中で出来るから。」

 仮時表示の夜明け・・・

変事「魂知は?造君。体と魂の調子はいいかい?」

造「体は良いですが。魂は分かりません。」

変事「記憶や思想があればいいんだよ。じゃあ、この前作った食料を試食がてら、朝食にしよう。いいかな?」

造「異論はありません。」

発明室・・・

変事「まるで加糖禁止社会を描いたアニメみたいになってなければいいんだが。あんなに不味いとさすがに。」

食ってみた。まぁ、感動はしない。かすかに甘いビスケットのようだ。色は白い。デンプンのせいだろう。

変事「よし、これなら食べられるな。」

造「そういえばチュナがいないようですが。」

変事「あのお方なら夜行列車で帰ったよ。なんでも招待客が来るって。」

造「貴方は行かないんですか?」

変事「え、ええ。迎えに来ますよ。連楽船で。さあ、かばんを持って、出迎えましょう。」

そう言って玄関を開けた。そこには砂交じりのアスファルトが見えるだけだった。外に出ても同じような景色、右手の空はやはり綺麗なオレンジで、黄色の薄い雲がたなびいている。少し揺れているような気がする、若戸大橋の下に何か突起した物体が見えるような。目を凝らしていると突起がさらに顔を出した。前から見るとおわん型で青いもの。側面に車輪、奥に木の棒、上は屋敷が三棟、ビル一棟。後ろにはジャンボジェット機のようなタイヤ。お分かりいただけただろうか?そう、連楽船である。なんと地上を走ってきたのだ。

チュナ「お~い、まったかのぅ。仕事ついでに乗せてってやるよ~まぁ、はじめから決まってたんだけど。まずはユーラシア大陸の東だ~」

外車輪の横に縄梯子が下ろされる。我々の新たな旅立ちである。


 三棟の二階でさらに便利にしようと想造できるものをPCにインプットしている。そういえば神具はどのようにしよう。もし盗賊に襲われたら?対処を考えなければ。安全面を考えると、風を使おうか。外からは容易に見えないように。まぁ、5分ぐらいで大陸に着いてしまった。

造「やはり砂か。」

つぶやき外に出る。変事さんが上に見える。

変事「やっぱり砂か。細かく擦られたからだろう。」

チュナ「私達はひとまずおさらばするよ~アメリカできっと会おう。」

救いの船は東の空で青い光に包まれ消えた。

造「あれ、変事さん、行かなくてよかったんですか?」

変事「大丈夫。そっくりさんを乗せているから。質問は終わったかい?今度はこちらから行かせてもらおう。こちら、君の助手となる理慎 数一君だ。」

造「あ、貴方、逮捕されてましたね。」

数一「はい、しかし仕事に就くので釈放されました。」

造「君は文字を書くのは得意かい?」

数一「早く書くことが出来ますよ。」

造「じゃあ、今から私の記録士だ。異論は無いかね?」

数一「記録士って何ですか?」

造「私の言ったことややったことを本にまとめる職さ。出来れば助言をしてほしいな。それとも・・・他にやりたい事があるのかね?」

数一「今はないですね。」

造「・・・そうだ。そうと決まれば本とペンを作らなければ。」

茶色表紙、裏表紙上にⅠと白く書いている。

造「しまった。私の理念では、選択肢は君にあるんだった。君は本当に記録士をやりたいのかね?」

数一「はい、やりたいことは仕事をして見つけていきます。」

造「よかった~じゃあ、これ。」

数一君は記録用具を手に入れた。

造「やめたいときは私に言って。代わりに書くから。」

数一「ところで、そのトランクはなんですか?」

造「私の仕事道具。見てくれ。」

数一「パソコンのままでいいんですか?」

造「それはどういうことだ?」

数一「そりゃ~タブレット式とかスマホ式の方が良いじゃないですか。」

造「思い造られて他に何がいるんだ?」

数一「そうですね、造ったら持ってこなければいけないんでしょう?だから移動用の装置が必要ではないですか。」

造「ああ、そうか、そうだったな~ありがとう。」

数一「我々は西に進んでいくんです。道中で人助けが出来ると良いですね。造さんはどう思うんですか?」

造「ただ歩くのも暇でしょう。出来ることなら助けて活きますよ。」

「よし、その調子だ。わたしを置いて行かないでくれよ。」

変事さんが慌ててそんなことを言う。


 時の位1カウントぐらい歩いた。日差しはさらに、奥に動いただろうか?砂山を1こぶ越え、荒野に出た。そこには黒い柱達の横に黒い影が見える。近寄り事を知る。老人と少女に出会う。老人が口を開く。

「おぉ、ありがたい。わしらの名前は亜美芽あみめ、この子の名は・・・」

「もう、爺ちゃん。私そんなに幼くないから自分で答えるわ。」

老人「おや、そうかい。」

「私の名はロカよ。日本人とイギリス人のハーフらしいの。」

老人「私は鋳造ちゅうぞうと言う。孫が死ぬ前に一度でいいから月を真近で見たいと言ってな、連れて行っとったんですよ。ロカちゃんは月の都を見たかったらしいが見えなかったね。しかし帰ってきたら我が家が吹っ飛んでいたことが一番残念だったよ。わしも年だが現役の大工なんで骨組みまでは直したんだが、腰を痛めてしまってね、全く作業が進んでいないんですよ。良ければ手伝ってくれないですか?」

ロカ「私からもお願いします。このごろ急な砂嵐に襲われて安眠できないの。」

造「ええ良いですよ。しかし、一人で建ててしまっても良いんですか。」

鋳造「ええ、私達で家の見た目などは指示しますが、できるのですか?」

造「任せてください。私は修行中の神ですから。」

鋳造「ほほう、今時神ですか。しかし何の神ですか?」

造「想造神と言う、修行中ですが考えるだけで物を作り出せる神です。しかし一度記憶したものだけしか造れませんが、家を建てるぐらいなら問題ないでしょう。」

鋳造「この図面通りです。」

鋳造さんから手渡された図面を見る。窓は四角だし、屋根は釘で固定の瓦。二階建てで裏にはレンガの暖炉が屋根まで煙突を伸ばしているらしい。

造「この暖炉、IHにして良いでしょうか?電気配線もしますから。すべてタダで。」

鋳造「ええ、構いませんよ。」

白樺の木材、今は釘なんて必要ない。図面に合わせて設計し、柱と結合するだけだから。

造「まずは素材ですね。何を使っているのですか?」

鋳造「そうですね、壁だとシラカバを使っていますね。」

造「いいでしょうでは。」

持ってきたトランクを開けて、薄いものを取り出す。

造「ゼロから1は作れませんがこれは遠くのものを記憶させて、近くに送る使いを操るタブレット端末です。(ああ、何で忘れていたんだろう。高校のときの教室の設備にあればよかったと思っていたのに・・・あの頃は小さかったからな~)」

シラカバの木材を注文し、壁の写真を撮る。柱の方からも撮って、厚さも指定しなければならない。撮ったら接着したい箇所を緑の枠で囲み、壁を原子で結合させる。

鋳造「おお、壁が数秒で。」

造「えー、ここに窓がありましたよね。さっきの写真を使って、赤枠で削除っと。」

4面作り終えた頃・・・

造「(ドアは簡易な手回し鍵をひとつ、これで完成か。)・・・しまった~配線してなかった~ちょっと床を壊しますね。」

一人分の穴を開け、手回し発電機を奥に設置し、蓄電器をゴムつき配線で発電機に繋ぎ、同じ太さに設定した配線を暖炉に繋いでくる、その上にIHを接続する。穴を扉でふさぐ。金具は木材と結合させる。確かイオン結合・・・


左手にはめた時計のふちを0にあわせ、左右のボタンを同時押し、手を夕空ゆうぞらに伸ばす。すると大きな十字型の工具が出てくる。それはカナヅチ、スパナ、マイナスドライバー、グルーガンがくっ付いて出来ている。

鋳造「しかしそれは大きすぎではありませんか?」

造「大丈夫ですよ。カナ中他小!ほら、金ヅチ以外小さくなりましたよ。」

鋳造「ほほう、それでその名は。」

造「私は想造の十字架と呼んでいます。これで瓦の釘打ちをします。」

釘と瓦を注文した。釘をくわえながら、下から打っていく。

造「後は内装ですね。」

鋳造「まずランプを作ってもらいましょうか。」

造「電気式なら造れますが。」

鋳造「オイルランプだったんだがこの様子じゃあどうも・・・」

造「どんな型だったんですか?」

ロカ「え~とね、上が三角帽だったけど尖ってなくて、上に吊り下げる輪っかがあるの。んでね、丸いガラス筒があって底も帽子ぐらいの幅まで円柱なの。仕組みまでは分からないわ。」

造「ほう、と言うとこうかい?」

ロカ「いえ、横から見ると三角ですが、上から見ると円なんですよ。」

造「あ~こうでしたか。」

ロカ「色は暗めの赤でした。」

他にもぬいぐるみ、ベッド、机に椅子、調理器具までもそろえる。

造「そういえば食料はどうしているんですか?」

鋳造「地下に扉があったでしょう。あの中に貯めているんですよ。」

造「ということは分けたりしなくても良いんですね。」

鋳造「はい、結構です。」

造「となるとこれで完成でよろしいでしょうか?」

鋳造「外見はシンプルだし、内装はあの時とほぼ一緒。暖炉はIHにしてもらったし文句はないですな。」

ロカ「私の部屋のぬいぐるみも元通りよ。」

造「では私達はこの辺で。何かご不満などがあれば8231に電話してください。」

続く…

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