第一章 能無しと猫と少女
続編です。続きも今日に投稿できたら投稿させていただきます。
「はぁ・・・ なんで出ねぇのかな・・・」
魔法の実技試験が終わった後、1時間の休憩が与えられ、各自休憩をとるなか、アキトは一人、校舎裏でため息をついていた。我ながら自分の能無しッぷりに嫌気が指していた。自信が能無しと呼ばれる原因の内の一つに魔法への適正がないこと。それに対しては疑問しかない(なんで?)の一声しかないどんなに適正が低くとも適正がないといったものはアキトだけである。そう自身の無力さに無気力気味にぼーっと空を眺めているとどこからか「にゃー」という鳴き声が聞こえてきた。
「にゃー♪」
草むらからヒョコっと白い猫が出てきた。手入れの行き届いた美しい白い毛とサファイア色の綺麗な瞳がまばゆい輝きを放っていた。明らかに不思議な雰囲気を纏った猫であり、普通の猫とは一線を画すと感じさせる猫である・・・猫には違いないけど。
「なんだお前?どっから来たんだ?」
「にゃ~♪」
猫が返事をするわけもなく、ただ一声鳴くと、自分の足元に近づき、ちょこんと座ったその猫をしゃがんで頭を優しく撫でてやると嬉しそうに「にゃ~♪」といって鳴いている。しばらく撫でていてやると、ヒョコっと立ち上がり、再び草むらに入っていってしまった。
「気まぐれなやつだなぁ まぁ気は紛れたし、あの猫には感謝だな」
そう苦笑いしながら、猫の入っていった草むらにに向かって「ありがとな」と言い、アキトは腰を上げて、剣術の実技試験が行われる王国の近くにある森に向かおうとする。
物陰からその背中を先程の猫を抱いた少女が見つめていた。
「優しい所は昔から変わらないのですね」
そう呟き、優しげに翡翠色の瞳で見つめていると。
「あの子がセフィの言ってた男の子でしょ?優しそうな子ね」
「ふふっそうですね アニスもそう思います?」
流暢な人語を話し、アニスと呼ばれた先程の猫は少女に語りかけ、嬉しそうに肯定するセフィと呼ばれた少女はその場で静かに感慨に浸る。
(あの頃と全く変わっていませんでした・・・///)
そう顔をわずかに赤らめ、しばらく感慨に浸るとセフィはアニスを抱いたまま、静かにその場を後にした。
今回少し内容が短いのと少しだけヒロインが出てきました。次回は剣術の実技試験の内容となります。良ければご覧下さい。つたないところがあれば遠慮なく指摘くださいり