098《フットサル対決》
番外編47
東京駅に吉備師恩学園サッカー部一行が到着した。
吉備放送の取材クルーも一緒だ。
なでしこリーグ、摂津ドーナッツの竹内選手も同じ新幹線だった。
高校サッカーの県大会で優勝したものの、
両校同時優勝でPK戦の末、全国大会出場を逃した、
吉備師恩学園高等部と伊立第一高等学校のエキシビションマッチが明日行われる。
観光バスに乗り換え、宿舎に到着。
民間放送連盟の責任者、宗高。
麻生プロデューサー、江本ディレクターらが待ち構える。
指示されたシナリオ通り、
吉備師恩のマネージャー、大津優季が最初にバスを降りる。
出迎えるのが成沢遥香と相賀晴貴。
大津と晴貴がガッチリ握手。
ダブルストーリーの主役たち、この絵が欲しかった。
「晴貴兄ちゃん! 遥香お姉ちゃ~ん!
パンポン猛特訓してきたよ」
段取りを無視して高鈴めぐみが飛び出す。
まず遥香に抱きつく、フフフ計画通り。
流れで晴貴に飛びつこうとするが、ハイタッチでかわされる。
頭を掻きながら周囲を確認。BKBはいないみたい。
たかりんに見せつけてやる積もりだったのに!
江本Dがこれからのスケジュールを説明する。
「両校揃いましたので、30分後に玄関に集合。
近くの体育館で軽く身体をほぐしましょう。
まずは体操とフットサル。
夕食を挟んで、バレーボールやパンポンの用意もしています。
合間に簡単なインタビューを取らせていただきますので、
ご協力をお願いします。
後半はBKBも合流予定です」
『おおっ!』
と、どよめく吉備師恩。
このご褒美が一番嬉しいかもしれない。
運動のできる格好に着替えて一行が体育館に到着。
既に先客がウォーミングアップ中。
コートの半分でフットサル。
もう片方でバレーボール。
ステージ上ではパンポン……。
「遅かったわね、宮本武蔵のつもり?」
BKB卒業を発表し、女優として剣豪映画への出演も決まった、
不動のセンター、スーパーエースの国分寺美香が待ちかねていた。
フットサルとバレーボールにパンポンの対戦を行うと聞いて、
BKB内外から体育会系メンバーを揃えた。
フットサルは芸能人リーグの現役選手を。
グループ全体からバレーボール経験者をピックアップ。
高崎鈴もBKBパンポン部長として部員を厳選。
実はパンポン関連番組では負け知らずの強豪だ。
国分寺のソロデビューに華を添えようと、
全員が一丸になっている。
どこかで行き違いがあったのは明白だが、
TVクルーはこれ幸いと、三つ巴の試合を行う事に。
ステージ上でパンポン練習中の高崎鈴が晴貴をロックオン。
キャン! また会えました王子様!
トコトコトコと駆け寄るが、
「あーっ! たかりん! 押しメンで~~~す!」
すかさず高鈴めぐみが抱きついてブロック。
『何よこの娘!』
『させるかっ!』
ここでも負けられない戦いが始まった。
最初はフットサル。
BKB対吉備師恩。
晴貴は黒の審判服に着替える。
フットサルは専門外だが講習は受けている。
いきなり登場、ユース限定一級審判員。
ここぞとめぐみも黒の審判服に着替える。
『あなたの付け入る隙は無いのよ』
勝ち誇ったようなめぐみの視線に、たかりんが吠える。
「私もフットサルに出場します!」
吉備師恩はフットサルの経験者揃い。
相手がBKBだからと言って手加減はしない。
ん、良く見ると芸能人だが、BKBよりも少しお姉さんたち。
他のグループメンバーも交じっている?
騙されたっ!




