表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/109

083《亜弥と冬海とBKB》

番外編37

 BKBが次々とバスに集結する。

 ミニライブの衣装はパンポンユニフォームのまま。

 速やかな撤収のため工夫を重ねている。

 まだファンには撤収は気付かれていない。

 車中には小木津亜弥と多賀冬海の姿も。

 亜弥の家に前泊した国分寺美香を、

 早朝ピックアップした時から一緒だ。


 乗車前にスタッフがインカムを回収。

 ほとんどはダミー。

 実際に通信できるのは主要メンバーだけ。

 ライブでの口パクなど今や常識。

 突っ込むだけヤボと言うもの。


「全員揃いましたか?」

 スタッフが大声で確認。

 技術スタッフが異常を知らせる。

「2番のインカム未回収です……高崎さんいますか?」

『いないよ~~~』

 メンバーが応えた。


 警備員のチーフが青い顔。

「うちの警備員が高崎さんを確保していますが、

 外でファンに囲まれているようです!」

 無線で交信しながら指示を飛ばす。

「……何とか近くの建物に誘導するように、

 陸上競技場?

 至急応援に行かせる!」


 スタッフもインカムを通じて高崎に話しかける。

「たかりん! どこにいるの!」

『あ~、ごめんなさい、陸上競技場です』

 しばらくやり取りがあったが、急に高崎から提案があった。

「伊立電鉄線のさくらアリーナ駅前にバスを回して下さい。

 ここからそこへ、混乱を避けられる抜け道があるそうです」

「さくらアリーナ駅前? どうやって行く」

 運転手は大まかにしか知らない。

「案内します」

 同乗していた多賀冬海が請け負った。


 バスがさくらアリーナ駅前に到着すると、

 ピラミッド型のアクアスポットふれあい館横を、

 相賀晴貴が高崎を抱えたまま駆けてくる。

 たかりんは通行人に向けてレッドカードを振りかざす。

 二人の警備員が付き従う。

 冬海が扉の開いたドアから手を伸ばす、

 小木津亜弥はあえて知らん顔、

 国分寺からおつきあいの事は内緒にと言われていた。

 誰よ、相賀君にちょっかい出そうとしているのは。


「ミッション完了。後は頼んだ」

「ラジャー」

 冬海が晴貴から鈴を引き継ぐ。

『たかりん、おかえり~~~』

 メンバーは所詮他人事、キャッキャと面白がる。

 ひとり、おかんむりなのがリーダーの国分寺。


 ひとしきり説教が終わると、

 メンバーが高崎をいじり出すが、

 反省しているのか何も語ろうとしない。

「……で、何なの、そのレッドカードは?」

 誰かが矛先を変えた。

 高崎が目を輝かせる。

「これって実は魔法のバトンなの!

 これを示したらみんな道を開けたわ、

 たかりんビームとこれがあれば私は無敵よ!」

 何のこっちゃと盛り上がる。


「相賀君の警告カードだよね」

 冬海が亜弥に同意を求めた。

「そうみたいね」

 なぜか晴貴の彼女は素気ない。

 ああ、そこはイジっちゃいけないポイントなのね。

 冬海は即座に理解した。


 ふ~ん、たかりんが相賀君に興味を持っているのね。

 嬉しいような、誇らしいような、でもなんだか可哀想。

 アイドルの掟は厳しい、仮にあの娘が付き合えたとしても、

 私と同じ寂しさを、何倍にも感じてしまうのかな……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ