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079《第38回伊立市パンポン大会》

番外編33

 第38回伊立市パンポン大会。

 BKBの参加は3年目になる。

 今回はスーパーエースの国分寺美香に代わって、

 たかりんこと高崎鈴がパンポンチームの大将を務める。

 国分寺は何としても女王の座を奪還する。

 芸能界パンポンブームの火付け番組としては、

 番組対抗トーナメントと芸能界パンポン女王の2冠は、

 何としても勝ち取らなければならない至上命題だ。

 他のアイドルグループの台頭にも目を配らなければならない。

 例え同系列のグループでも、出る杭は叩く。

 それでも出る杭がいたら、引き抜いてチームに加えてしまおう。


 番組対抗トーナメントではBKBが順当勝ち。

 西中郷素衣と高萩直のニュース番組も対抗トーナメントに出場したが、

 今回はトーナメントもバラエティー部門と報道部門に分かれた。

 会場と時間帯を分け、観衆を長時間飽きさせない。

 放送の事を考え、トロフィーの数も増やそうという、

 悪い大人たちの思惑が一致した。


 女王決定戦は国分寺が準決勝で西中郷を破り雪辱を果たすと、

 決勝でも高萩を堂々と打ち負かし見事女王の座に輝いた。


 ちなみに国分寺は番組対抗トーナメントが行われていたのと同時刻。

 小木津亜弥とダブルスを組んで、個人戦にエントリーしていた。

 ばれないようにと変装していたが、

「あれは誰だ」と、嗅覚の利く目の肥えたアイドルオタクの評判になり、

 結局隠しきれずに、勢いで3位入賞。

 元子役ペアとして、亜弥の名前も取りざたされてしまった。

 表彰式では集まった報道陣に亜弥がこれ幸いと、

 多賀冬海の描く漫画『熱血パンポン物語』を宣伝。

 これが後々に花開くこととなる。


 大会最後にはミニライブが行われた。

 優勝チームは3曲。

 準優勝チームは2曲。

 3位の2チームは1曲。

 それが大人たちの取り決めだった。

 結局、BKBグループのアイドル番組が独占したが、

 サプライズが用意されていた。

 敗退したグループにも1曲ずつ歌わせる。

 3位のグループから始まり、1位のBKBが舞台を掃けた後、

 アンコールで残りのグループが歌う。

 さすがBKBグループは太っ腹。王者の貫録。

 とは言うものの、要はBKB撤退の時間稼ぎだ。

 前年までの参加で伊立市内の渋滞は経験済み。

 パンポン会場は今やちょっとしたアイドルフェスタ。

 今年は国道6号線→常磐高速伊立中央ICも、

 国道245号線→常磐高速伊立南多田ICも回避して、

 シーサイドロード経由で常磐高速伊立北ICを目指す。


 アンコールの掛かる中、さくらアリーナ内部をすり抜け、バスに乗る。

 途中、数名が洗面所に。

 かなりの数の警備員が動員されていた。

 洗面所組から、高崎がそっと別行動を取る。

 警備員に見とがめられるが、強引に逃亡。

 二人がたかりんの後を追った。


『見かけたのは間違いなく王子様!』

 正午ごろだっただろうか、警護されて移動中に、

 愛しのハルキ様を見かけた。

 見間違えるはずはない、私の王子様。

 こんなチャンスは二度と来ない。

 スポーツバッグを持っていた。

 シューズケースのようなものも。

 体育館ではバレーボールは行われていない。

 それならきっと陸上競技場のフィールドでサッカーかな。

 たしかサッカーならゾンネンプリンツ。

 早くトップチームに昇格しないかな。

 国分寺は「つき合っている人がいるみたいよ」って言っていたけど、

 そんなこと信じない。

 私の王子様だもの、もし彼女がいたとしても、私が負けるものですか!

 高崎は晴貴がゾンネンプリンツを退団した事を知らない。


 さくらアリーナの表に出ると、すぐにファンに囲まれた。

 恋する乙女は自分の人気を過小評価していた。

 付き従った警備員二人に助けられ、何とか陸上競技場にたどり着く。

 またリーダーに怒られちゃう。

 後悔に苛まれ息を整えると、目の前にレフェリーウエアの相賀晴貴。

 キャン! 私の王子様だ!


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