028《お揃いブレザー》
番外編13
伊立シビックセンター1階のカフェ「パンドゥトロア」。
長島依子、西津悠、沼尾柚亜、根岸桜芽、野村寿里に加え、
小木津亜弥、多賀冬海が作戦会議。
「成沢さんと相賀君は紺色でしょう」
「林檎と葡萄先輩はエンジ色」
「あれはカッコいいけど、着る勇気はない」
「最初は林檎も紺色だったよね」
「冬海姉さんも紺色着ているよね」
「うん、既製品の安物だけど」
「亜弥が入学式に着てきたセーラー服は?」
「ごめん。その件は忘れて」
「私たちのコスプレ衣装も同じ理由で却下」
「リオはたま~に着てくるけどね」
「うん!」
「そう言えば入学前に、親戚のお兄ちゃんから、
『紺のブレザー作っておけ』って言われたよ」
『何で?』
「伊立一高のOBなんだけど、制服がないからいざという時、
冠婚葬祭に着ていく服がなかったんだって」
『それは言えてる!』
「お葬式に派手なセーラー服は着ていけないもんね」
「そうなると、ブレザーが無難かな~」
「そうだね、値段も手頃だし」
「価格は重要だよね。
親から『無駄遣いだ』って言われないようにしなきゃ」
「私のも一万円しなかったわ」
『おお~っ!』
「じゃあブレザーを揃えるとして、色はどうする?」
「やっぱり紺とかグレーかな」
「女子高は黒で、二高はセーラー服でしょう」
「賀多高が紺で、西高はグレー」
「商業も、農業も、海東も紺で、師恩が青」
「同じ紺でも微妙に違うよね」
「スカートやリボンは揃えるの?」
「そこは自由でいいと思う」
「そうだね、縛り過ぎは良くないね」
「BKBの公式ブレザーみたいだね」
「各々のセンスの見せどころだよ」
「じゃあ、手に入りやすい紺ブレにしようか」
「それなら私は新しく買う必要ないから、何かエンブレムを考えるわ」
「それ、いいアイデアかもしれない」
「成沢さんは伊立シェーンハイトだよね」
「相賀君が伊立コンクレント」
「両方とも太陽? 日の出がモチーフだよね」
「林檎のエンブレムはオリジナルみたいだよ」
「GとAだっけ?」
「どんな意味なのかな」
「イニシャルならBとRだよね」
「えっ? グレープとアップルでしょう」
『そうなの!』
「7人のイニシャル……じゃ、多過ぎるかな」
「林檎のエンブレムは良く見ると、
リンゴとブドウが刺繍されているよ」
「じゃあ、私たちはワンコ、いや、ニャンコ。
ううん、両方にしよう!」
「私は星座がいいと思う!」
「学生なら本でしょう!」
「壮大な地球の姿がいいな!」
「ショーグン! ニンジャ! サムライ!」
『はい、はい』
みんなリオのあしらい方は身につけた。
「ハートは必ず入れましょうね」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って、まとまらないよ!」
結局冬海に一任された。
七人だから地紋は七本のストライプ。
カナリヤイエローに青・緑・白のブラジル仕様。
動物は肉球をイメージ。
星座は☆。本は□。地球は○。ハートはそのまま。
まてよ、本は知恵の象徴で梟にしようかな。
私は……眼鏡かな……メガネフクロウのヒナだ!
動物とハートと眼鏡がまとまれば、
残りの星座と地球はどうにでもできるわ!




