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貴様の職業は○○だ!  作者: 憂重塗
神造世界と私達
4/7

「師匠」

【師弟】師匠と弟子は、特に何も無ければランダムとなるが、双方の合意があれば、師匠が弟子を選ぶ事、弟子が師匠を選ぶことが可能。

また、ランダムである場合も師匠が弟子を、弟子が師匠を拒否する事は可能であり、その時は選び直される。

 ──私にとって師匠は旅人であり、私にとって父とは憧れだった──。


 私は最初、自分の職が素晴らしい職だと思っていた。


 ──父がやっている仕事だ。素晴らしいに違いない。私も父と仕事をして、同じようになりたい。


 夢を見るばかりの私は、同じ事をすれば同じ様になれるなどど思い込んでいた


 ──勿論、それは間違いだった。


 父と私の間に、縮まるという言葉を知らない差があった。


 だが、師匠となった父親は腐る事なく、熱心にアドバイスをして、私を育てようとしてくれた。


 ──しかし、私はそんな師匠を……父を疑った。


「本当は、そんな事どうせ思っていない」

「本当は、私を馬鹿にしていながら格の違いを見せつけようとしているんだ」


 ──今まで、生まれるはずのなかった感情がその場を占領した。


 そして、私はあの人と話をする事をやめた。


 ──いや、仕事の話はした。


 仕事の話しかしなくなった。


 ──私の中で、父は死んだのだ──


 それからだろうか……あの人は変わった。あの人は仕事を押し付け、旅をするようになった。


 仕事もせずに、どこかに遊びに行くような師匠──いや、元師匠を私は超える時が迫っているのだと思った。


 だが、それは違っていた。


 ある時、旅行から帰ってきたあの人に、私はいけしゃあしゃあと


「仕事はちゃんとしてるんですか? 」


 なんて聞くと、あの人は笑ってこう言った。


「雑務はお前に任せっきりだけど、他はちゃんとやってるぜ。一応…適正検査に関しても30人近くは担当している。かなり忙しいけどな」


 私は、追いついてなんていなかった。


 ──本当は分かっていた。


 だが、それは思い過ごしなんだ。妄想の世界にしか過ぎないのだ……そう思いたかった。


 認めるのが嫌だった。


 続けて、あの人は私にこう言った。


「一緒に旅に行かないか? 」


 突然言われ、私は戸惑いながらも


「すみません。……お土産お願いします」


 と言って断った。


 私は苛立ちすら感じていた。


 今、私のやるべき事は仕事。ただそれだけだ。それ以外の事は、やるべき事ではない。なのにこの人は……。


 などと考えていたが、あの人はかなり落ち込んだ。


 ──私の思い過ごしだった。


 私はそう分かったが、あの人になにも言えなかった。


 だが、あの人は


「分かった。お前の土産を買って帰ろう」


 そう言って笑った。


 その笑顔に、懐かしさのようなものが垣間見えた。


 ──しかし、その土産が届く事は無かった。


 師匠が旅立ってから、私はまだ追いつくことなんて出来ていない。周りの奴は鉄人などといってもてはやすが、あの人から見た私なんて、まだまだ子供なんだろう。


 ──そんな事は、私が一番分かっている。


 私がこんな事を考えていると、一冊のノートを見つけた。


 その時までに、見た覚えは無かった。


 そのノートは、「二木」と書かれている他のノートとは違って「英知(えいち)」と書かれていた。


 ──紛れもない、それは父の名前だった。


 不思議に思い、中を見るとあの人が旅行で行った場所について、「ここは美味い」だの「ここはやめよう」だの書かれていた。


 勿論、あの酒についても書かれていた。


「少し奮発したが、あの酒をさっくんに渡しておこう」


 師匠は──いや、師匠なら薩井の事をさっくんなんて呼びはしなかった。


 あの日の事に関しても書かれていた。


「私はあいつを旅に誘ったが、断られてしまった。だが、土産を頼まれた。これは、あいつとの距離が縮まったということでいいのだろうか。いつか、一緒に旅をしたい」


 ──私の父は、その時死んでなどいなかったのだ。


「旅行の場所を変更して、あいつの土産にこれを買おう」


 そう書かれた文字の隣に丸を付けられた物があった。


 師匠は──いや、父は自分の時間を捨て、必死に考えていてくれたんだ。


 知らなれば、いけなかった事をようやく知ることが出来た。


 私は、そんな気がした。


 ──我が父は我が師であった。


 ──そして、我が師は我が父であった。


 こうなってしまったのならば、私はずっと待たねばなるまい。


 あの憧れの旅人を──。


 だが、そうは言っても仕事をサボりすぎている。


 あの人の担当だった分は、他の奴らにも行ったのだが、私が一番多く分けられた。


 流石にクレームを付けねばいけないだろう。


 ──しかし、どんなクレームがいいだろうか。


 仕事の事は、こちらが正直恥ずかしい。


 あの人に追いついてない事を、堂々と白状するようなものであるためだ。


 理不尽なクレームがいいだろう。


 他の奴らには迷惑がかからないし、何よりあの人の反応が愉しみだ。


「土産のセンスが無さすぎる。親父、今度から私に決めさせろ」


 なんてのは、いいのではないだろうか。


 土産を任せておきながら、バッサリと切り捨てる……とても素晴らしいではないか。


 ────さてさて、本当に楽しみだ。

いかがでしたでしょうか。文がちょっと……いや、かなりくさく感じられるかも知れません。ご了承ください。さて、これからある三人の話を別の話で分けつつやっていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

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