「神眼」
【神眼スキル】自然発生スキルだが、特判の必須スキルである。所得出来る可能性として所持者からの遺伝率は80%非遺伝者の発生率は40%となっている。また、能力が平均的でない者20歳を超えてから発生した例はない。
尚、見分け方は裸眼で両目の色が違い、視力が3.0以上かどうかである。
薩井との会話は盛り上がった。
くだらない話をしたりや仕事の愚痴をこぼしたり、しまいには、保管していた酒やつまみなんかも取り出していた。
そんな中私は、何気なく触れた質問で地雷を踏んだ。
いや、いつかは聞かなくてはいけなかったんだ……だが、それはこんな楽しむべき場では不適切な事だった。
箍がはずれた私の軽薄さが、もたらした重大な失敗だった。
「そういえば……お前の親は、無能力者だとは聞いていたが、俺のように休みをとらないわけじゃないし、里帰りとかはしてるんだろうな? 親孝行とかちゃんとしろよ? 」
私がそう発すると、薩井は私をちらりと見て、何かを考える様な素振りをした後、笑ってみせた。
いつもの楽しそうな笑いではなく、どこか悲しそうな笑みだった。
──やがて、薩井は話し始めた。
「里帰りも親孝行もしてないんじゃない、出来ないんだ」
私はこの一言を聞き、最初は喧嘩でもしたのかと呑気に思った。呑気にそう願った。
──しかし、薩井が「お前だから言うぞ」とらしくない言葉を発したため、私は、その予想が違ったのだと…違ってしまったのだと分かった。
「俺は最初から……神眼なんて望んではいなかった。要らなかったんだ。俺も親と同じ無能力で良かった。だが、俺は神眼を持ってしまった」
──薩井は何かに苦しまさているかのようだった。
「けどさ…俺はこれからの幸せの為に、神様がくれたんだとと思って……親と離れて美刹さんのもとにつくと、俺はお前みたいに休まず仕事をやり続けた。数日単位じゃない…もっと長い休みを取って親に会いに行くつもりだったんだ」
彼が親と離れたくなかった──そんな事私は知らなかった。
彼がとても苦労していた──そんな事も私は知らなかった。
薩井がこんな事を話してくれた……薩井は、本当に私を信用しんくれたんだと……私は確信できた。
──だが、それ故に……
それ故に、私は知ってしまったんだろう────。
「俺は……俺は、会えなかった! たとえ、数日でも数時間でも……会っておくべきだった。いや、それどころか運命を変える可能性すらあったのかもしれない……のに俺はそんな事考えられなかった……最悪の未来を考えられなかった……」
薩井の声は震えていた。
──風が声という形を作っているかのようだった。
無理をしなくとも……伝えなくても良かっただろうに……薩井自身は必死にその声という形をつくり、私にこう伝えた。
「俺の親は俺が仕事を始めてから一年も経たずに強盗に襲われみんな殺された」
──その形作ろうとした声には、怒りと悔しさがこもっていた。
「言い訳みたいだけどさ、俺はあれから仕事が手につかなかったりするんだ。仕事をしているとあの時のことが、ふとよぎる……病気だよ。普通は解雇だろうに美刹さんには感謝してるよ。でも、お前も……あ、いや、その……ごめん……」
彼は、力なく笑いながら話しているとシラフの時に辞めた話題を再び出した事に謝った。
──薩井は、私と自分を重ねているのではないか。私は、彼を全てではなくとも理解した……そのような気がした。
「別に謝らなくていい、というかお前程ではないさ……って言いたいけど、流石に時間が経ちすぎてる。正直生きてるとは思ってないよ」
私は頑張って笑おうとした。
──果たして、上手く笑えているんだろうか。
自分には、よく分からなかった。
「ま、とりあえずお前の方の可能性は0じゃないんだ。今の所は、三人で酒が飲める日を願いながら明るい話をしよう。酒がまずいのは嫌だろ? 」
薩井はそう言って私を助けた。
そして、私達はそのような話を避け、色々な話をしていると、いつの間にか私達は眠り、まぶたを開けた時に新しい光が私達を迎えた。
その光は、私と薩井を見守るが如き、暗闇の中を優しく照らす灯火ではなく、一点の曇りのない突き放す強く厳しい輝きだった。
「んじゃ、帰るよ」
私が起きたのを確認すると、薩井はそう言った。
「そうか、てっきり私は今日もサボってもう少しうちにいると思ったんだが……」
「サボりじゃない。正式に休みを貰っている。それにここにいるとお前の仕事の邪魔をするだろ?」
「……そうか。そう……だな。気をつけて帰れよ」
「おう。またな」
薩井は笑って手を振った。
薩井が帰ると私は静寂と孤独感からの溺愛を受けた。
私はそれを拒絶するためにテレビをつけた。
「仕事は午後から開始するか」
そんな事を呟きながら、仕事の準備をしているとまだ私が子供だった頃の私とただの私の父親であった師匠との写真が出てきた。
久々に師匠に会えたような感じがして嬉しかった……。
そのように感じていると私は師匠との過去を思い出した──。
才能が羨ましがられている人は本当にその才能が欲しかったのだろうか、その才能に感謝しているのか、もしかしたら嫌な人が居るのではないかなんて事を少し考えて書きました。
さて、これからも過去のことを踏まえながら様々な人について書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。