「私」
初投稿です。次回からここに私の作品で使う用語に関して補足の設定の説明みたいなものをさせて頂きます。ご了承ください
神は、私達に天職に就ける事をほぼ確実にした。
そして職を持たぬ者でさえ、しっかりとした生活が出来るようにした。
私達は十分な恵みを受けている。
──というのにもかかわらず、現在も罪を犯す愚かな人がいてしまう。
短期間で人が多くの人殺し等の罪を犯していた過去と比べて、現在は、殺人事件を犯すものは年に数人となり、その他の罪も犯す人数は年々減少した。
一見かなり安全になったように思える。
──しかし、それは違う。
殺人犯の証言として「恨んでいた」や「魔が差した」「殺すつもりはなかった」等の過去でもよくあった理由の他に「気がついたら殺していた」というパターンが出来てしまったのだ。
──しかも、今では殺人犯の過半数の人数を占めるのがこいつらだ。
通り魔より悪質な奴らのせいで、外へ出歩くと生きた心地がしない。
そのためか、近年殺人についてはっきりと冤罪でないと分かる場合は皆死刑になっている。
あんまりではないかとも感じるが、これ以上事件を増やさないようにするという面、そして被害者の親族の方々の事を考えると英断だろう。
──人を殺したんだ。犯人が命乞いの出来る余地などないに決まっている。気づいたら殺してた奴なんて論外だ。
「さて、仕事に戻るか。私もサボると人殺しになってしまう」
そう自分に言い聞かせ、重い腰をあげた。
──この仕事辞めたい。
私は、特判(特殊判別師)と言われる職をして……いや、させられている。
特判は大まかに言えば、職の適性を見極める仕事である。
各個人に六~二十歳まで毎年必ず、二十歳を超えてからは任意で一年に一度受けてもらう。
そして、適性を「筋力」「知能」等様々なデータを集め、数値化して「今のステータス」と「過去のステータスからの各項目の伸び」というふたつの面から判断する。
結果から六歳は職の適正のみ、七歳からはそれに加えてこの職の勉学を続けるか、違う勉学を次回からすすめるべきかという2つの事について考える。
だが、知能系の適正から筋力系の適正へ変わる事は今の所なく、結局は似通った職業への変更となるため、ほぼ学習内容は変わらないらしい。
ただ、この数値に特筆したものがなく、平均的に伸びている場合は、特判か仕事をしなくて飯が食える無能力者になる。
このような人達は、特判別の為の十二年分の教育と毎年の試験を受ける(留年する奴も多い)が、運悪く特判になってしまうと適性検査とその検査の複数回のチェックに加え、国のお偉いさんとの付き合い、雑務もある。
私が雑務を師匠から押し付けられた時は、死ぬかと思った。
──物を取り出す必要がある時は、意地悪く高い所に置いている事が多かった為だ。
師匠にその事を咎めると
「置きやすいんだ。あそこ。つーか、180前半あれば届く。根性で伸ばせカケル。男だろ? 」
と返すばかりで何も変えようとしなかった。
──師匠、私170前半すらないんです……というか、むしろ最近縮まり始めました。助けてください。根性分けてください。地獄から。
ただ、今は仕事を続ける度に自分が検査をする人と話すこともあり、この仕事が沢山の人達の一生を背負うという本当の重さを知りつつある 。
休暇自体は毎週土日にあるが、返上して溜めることも出来るので、私はこれまで溜め続ける形となっている。
──仕事を溜めた結果ミスをして他人の人生を壊す……そんな事はどうやっても責任はとれない。とりようがないんだ。
「無能力者はうらやましい……無能力者ならこの責任を負うこと無く、気楽に過ごせるのに……」
いつものようにそう思いながら数時間仕事をした後、一旦食事でもとろうかとしていると、突如として、聞き覚えのある声が私の癇に障った。
読んで頂きありがとうございました。実在する神によって作られたという設定でしたが、次回から物語を進めて行こうと思っているので、プロローグのようなものと感じて頂ければ幸いです。
又、感想等下さると嬉しいのでお気軽にどうぞ。
では、至らぬ所があるかもしれませんがこれからよろしくお願いします。