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異世界で騎士王   作者: 山孝
第1章 首無し騎士の光臨
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2話 領主の娘

森は静けさを取り戻していた。兵士達には多少の犠牲は出たものの、盗賊達を全滅させたのだ。お礼代りにこの世界の情報を聞き出そうと思い、話しやすくするため変身を解いた。すると兵士の方から声をかけてきた。


「騎士王様、ご助力感謝いたします。」

「ん?騎士王?」


突然そう呼ばれ、俺は首を傾げる。


(どういうことだ?たしかにデュラハンは騎士だが、なぜ王?)


そんなことを考えていると、兵士が話を続ける。


「貴方様は、デュラハン様なのですよね?」

「え、ええ、そうみたいです。ただ、記憶を無くしてしまい、名前ぐらいしか思い出せなくて…」


俺は狼狽えてしまい、ちょっと無理矢理な言い訳をしてしまう。さすがに、異世界から転生してきたとは言えないだろう。ここは相手を選ぶべきだ。


「そうでありましたか…。それは災難でございました。」

「ところで、ここら辺に町や村はありますか?いろいろと情報を集めたいことがありまして…」


俺は話を変えるため、町のことを聞いてみた。


「おお!それでしたらちょうどいい。我々は町に帰る途中でございます。良ければ御一緒にどうですか?」

「本当ですか?!ならば自分も同行させてください」

「はい。おまかせください。それと、貴方様にお会いしていただきたい方がおられるのですが…」


と言われ、兵士は後ろを振り向く。すると奥から一人の女性がこちらへ歩いてくる。歳は自分と変わらないぐらいか?。服装はそこまで派手ではないが、しっかりとした作りの、暗めの赤いドレスをきている。しかし、その容姿はすごく目立っていた。なぜなら…。


(う、美しい…同じ人間とは思えない…)


背中の辺りまで伸びたプラチナブロンドの綺麗な髪。細くスッキリとした輪郭。筋の通った綺麗な鼻。エメラルドグリーンに輝く大きな瞳。背は160センチといったところだろうか。


彼女が目の前に立ち、頭を下げお礼の言葉を言う。


「先程は危ないところ助けていただき、この一団の代表として感謝を申し上げます。私はこの先の町、トリスタンの領主『ミリアルド=ランスロット』の娘、『アイリス=ランスロット』でございます。」

「い、いえ、自分はアーサーと言います。道中よろしく頼みます、アイリス=ランスロットさん」


俺は平静を装いつつ、挨拶を交わす。


(しかし、間近で見ると、ほんとに綺麗だ。)


俺がぼーっと見とれていると、アイリスは不思議そうな顔をして話掛けてくる。


「どうかされましたか?騎士様?」

「い、いや、すいません。あまりの美しさに、つい見とれてしまって…」


(しまった…!)


と思った時にはすでに手遅れで、焦ってしまいつい本音が出てしまう。それを聞いたアイリスは、一瞬ポカンとして、数秒後には理解したらしく、顔を真っ赤にしてあたふたしたように喋りだす。


「え?!そ、そんな、美しいだなんて…」


もう隠す必要もないと思い、本音で話してみる。


「いえ、ランスロットさん、貴女は美しい。」


そう言われたアイリスは、耳まで真っ赤にしてしまい、恥ずかしそうにうつむいてしまう。俺は調子に乗ってしまい、彼女を困らせてしまったみたいだ。そこで話を変えるため、先程兵士にした話を繰り返す。


「ごめんなさいランスロットさん。貴女を困らせてしまったみたいで…。ところで、話は変わるんですが、少し理由がありまして、私はいろいろと情報を集めようと思っていまして、できればそれに協力していただきたいのですが…どうでしょうか?」


そう言われ、動揺した心を落ち着かせるためか、小さく咳払いをしてアイリスは答える。


「は、はい。情報でございますね?それでしたら、道中、私がお答えできる情報を差し上げます。あとは…町に着きましたら父に頼んで情報を集めてもらいましょう。…それと…、私からも一つ…お願いがあるのですが…」

「お願い?」

「はい…私のことは、アイリスと…お呼びください」

「え、ええ、よろしくお願いしますアイリスさん。じゃあ、私のこともアーサーと呼んでください…」


恥ずかしそうに言うアイリス。俺はぎこちなく返事をして、それから馬車の方へと案内された。



俺は町に着く間、この世界のことをいろいろと尋ねた。まず呪痕のこと。どうやらこの世界に一般的に知られているらしい。とは言っても、それを使える人間は圧倒的に少なく、町などの防衛手段として、一人くらいはどの町にもいるそうだ。


大半が流れ者のような旅人で、ごく稀に出会えるといったところだ。中には先程の盗賊のように、略奪者として身を落とすものもいるそうだ。あと、デュラハンのことについても聞いてみた。そこで以外な事実を知ることになる。


「デュラハンと言う力は、王の力に分類されます。」

「王の力?」

「はい。かつてこの世界を統べた王もデュラハンに変身できたそうです。しかもその力は絶大で、歯向かう国を単身で滅ぼしたとされています。騎士王と言う呼び方は、王がデュラハンになったことが由来となっております。」


(そうか、それで俺のことを騎士王と言ったのか。だが、これはこれでいろいろと使えそうだな。まさかこの力がそこまで強力だとは思わなかった)


「なるほど、いろいろとありがとうございます。助かりました。」

「いえ、命を助けていただいたのです。これぐらい当然のことでございます」

「ありがとうございます。そう言っていただけると幸いです。あ、あと、町の方で何か仕事は無いでしょうか?情けないことに、手持ちがつきかけていて…」

「それでしたらお仕事が見つかるまで、しばらく私の屋敷でお客様としてお泊まりになってはいかがでしょうか?おそらく父も歓迎してくれると思います」

「え?いいのですか?」

「はい。とりあえず町に着きましたら父に合いに、屋敷の方に行きましょう。」


こうして俺は、大きな後ろ楯を手に入れるべく、アイリスと共に町を目指すのであった。


(なんだこれ…?こんなトントン拍子で話が進んで…めっちゃ怖いんですけど…)


今まで理不尽な不幸を背負ってきたアーサーにとって、まるで嵐の前の静けさとも言うべき不安を感じていた。



森を抜け草原に出ると、目の前に巨大な建造物が見えた。暫くして町にたどり着き、馬車に乗ったまま関所の横を素通りしていた。


(さすがと言うか、当たり前なんだろうけど…、領主の娘だもの。当然か。)


途中にも見えたが、町の周囲を囲むようにして巨大な防壁が並んでいる。城塞都市と言った感じだ。目視でだが、15メートル以上はあるだろうか。すると、なかなか賑やかな声が聞こえてくる。繁華街でも進んでいるのだろうか?。人々には活気があり、生きる力を感じる。この町の領主は、なかなかの名君だというのが伝わってくる。


そして、暫く走ると徐々に静けさを取り戻していく。ここは富裕層が住む地区らしく、屋敷がたくさん建っている。そこからさらに進んでこの地区の行き止まりまでたどり着くと、馬車はようやく止まった。前方には大きな門があり、守衛が出てきて門をあけてくれた。中へ進むと大きな噴水が中央にあり、その両サイドには庭園が広がっていた。馬車はそれらをすぎていき、屋敷の入口の前で止まった。


(着いたみたいだな?。さて、どうなるか…)


不安を感じつつ馬車を降りた。目の前には大きな門があり、外観はまるで高級ホテルの玄関のような作りになっている。屋敷自体は2階建だが横に長い。貴族と言うのがどういものかよくわからないが、それっぽい人が住んでることは想像に難しくない。


そんな大きな屋敷を見て目眩がしそうになるアーサー。デュラハンと言う大きな力を有しているとは言え、心は人なのだ。震える右手を押さえつけ、屋敷の中へと進むのであった。


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