セイント・シルバーロザリオ
『本当にこれで大丈夫なんですか?』優子は少し疑心暗鬼だった。
『これをするだけで吸血鬼の力は抑えられて、普通の生活には問題はない。』真介はそう言うと優子にロザリオを渡した。『本っ当になんですよね?』やはりまだ疑心暗鬼である。『祝福儀礼を受けた銀で作った奴だから大丈夫だって、俺も前は着けてたけど今は大丈夫だから君にやるよ。』『でも吸血鬼って銀とかに駄目じゃないんですか?』新米吸血鬼なのでわからない事がたくさんあるから今のうちに聞いておきたいのである。
『確かに銀は一生駄目だけどそいつは大丈夫だよ、それに日光はすんごく眩しいぐらいで後心臓に杭とかは本当、後はほとんど嘘だな。そうだ、歳はとるけど姿は噛まれた時と変わらないつまりえ〜今何歳?』『19です。』『姿は19歳のままだ。』『それはそれでうれしいかな』まんざらでもない様子である。響介は気になる事を優子に聞いた。『今日は学校ないのか?』『今日は午後の講義だけです、今何時ですか?』このキャンピングカーの中に時計がなかったので二人に聞いた。『え〜と今は9時26分、まだまだ時間があるみたいだけど』真介は優子の質問に答えた。『そうですか。あの〜二人は仕事は何をやってるんですか?』今までの事を考えると観光客ではないのは確かである。では一体何のだろうか?。『俺達は狩人だ。』『狩人?』『そう、一応生業としてるわけ』(なるほど、だから詳しんだ)『むやみに狩りをするわけじゃなく何かしらの罪を犯した奴だけを狩ってるわけ』話によるとそう言うのはよく新聞やネットで猟奇殺人や異常殺人と言う形で取り上げられるらしい。『じゃあなんで真介さんは吸血鬼なんですか?』優子は真介が用事してくれたトーストを食べながら聞いた。『狩りやってる最中に不意を浸かれて噛まれた、そんで取り逃がしてそれっきりこの状態、色々と便利な能力あるから今はそれを狩りに使ってるけどね』普段使わないだろうな〜っと優子は思った。『響介さんも吸血鬼なんですか?』『さっき人間って言ったでしょ、まあ半分だけだけどね』『半分だけ?』頭の中に半分だけと言う言葉が引っ掛かった。『こいつは半分人間で半分悪魔の血が流れてるんだよ。』『へ〜なんでですか?』優子はすっかりこの手の話は慣れてしまった。『俺の親父が悪魔でお袋が親父と結婚して兄貴が生まれて次に俺が生まれたってわけ』『お兄さんがいるんですか?』『あぁ、日本で会社をやってる』『へぇ〜』世の中には知らない事がたくさんあるんだなぁっと思った。優子は二人の話を聞いていた。
日本では蜘蛛の妖怪、中国では首から上が飛ぶ飛頭蛮と言う妖怪と戦った等の武勇伝(?)を聞いていた。
『ところで今何時ですか?』優子は学校の事を思い出した。『11時40分だよ。そろそろ戻るかい?』『はい。遅れると講義の先生うるさいんで』午後の講義は1時50分からであり三人のいる場所から優子の留学先の学校まで時間的に1時間30分ぐらいかかる距離である。『俺達は昨日逃がした吸血鬼を捜さなきゃいけないからついでに送って行くよ』『ありがとうございます!じゃあ寮の近くまでお願いします!』ぺこり、と頭下げた。『じゃあ行こうか』真介はそう言うとサングラスを掛けて運転席に乗り込み、響介は眼鏡を掛けて助手席に乗り込み、車を走らせた。