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プロローグ  作者: 颯記
3/4

プロローグ 秋

オレの物語。




傷ついた四肢に鞭をうちながら、オレは、暗く、星の光照らされたこの場所を歩く。

歩く、と言うよりは引きずるのほうが正しいけど。

膝の辺りまで、水に水没していて、水平線が見えるほど、障害物も無く、ただ夜の黒を写した水面と、天上の夜の星が、この場所の景色だった。


完璧なほど綺麗で儚く、だからこそ空しい場所。


その完璧な場所で、遠くに光の柱が見える。

オレは、その元に向かって歩き続けていた。

何のためだったか、そんなことも忘れそうになるほど。

ただただ、光に向かって。

そんなことをしても、別に誰かが救われるわけじゃないけど、今度は自分自身を救うために。


辛い、悲しい、寂しい、そう何度も想ったが、だからこその希望があの光にあった。


だけど、人である限り体力に限界はあり、オレは膝から崩れる。

少し飛沫をあげ、水面が波立つ。

溺れないために、水に浸っている体を反転させ、星空に向ける。


水に浮いたまま、オレは瞼を閉じる。

過ぎるのは、過去の思い出だった。


大切な人の、笑顔。


もう一度、会いたい。それ以外確かなものは無かった。


「ねえ、起きて?」


その、愛しい声が、聞こえた気がした。




プロローグ三つ目です。

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