神崎 美緒
キーンコーンカーンコーン・・・
辺りがうっすらと不気味な夕焼け色に染まりだした頃、校舎の中に一斉に響く終業のベル。それと同時に慌ただしく聞こえてくる生徒の声。
部活に向かう者
家に帰る者
別の教室に友達を探しに行く者
教室に残って作業を始める者
ここ2ーAの教室には5名の女子生徒が隠れるように息を潜めて残っていた。
「・・・みんな行った?」
「うん、静かになったね」
「さっき見てきたけど、この階ウチらしかいなかっなよ」
「ねぇ・・・ほんとにするの・・・?」
「あれー?美緒怖いのー?」
「だって・・・」
神崎美緒は今にも泣き出してしまいそうな顔だった。
「だって怖いよ・・・失敗しちゃったら大変なことになるんでしょ?私やりたくないよぉ・・・」
目に涙を貯めて小動物のような顔をしながから美緒は友人達に訴えた。
「んもー失敗なんかしないってばぁー。」
「そうそう。そんなに嫌なら一人で暗ーい学校歩いて帰ってもいいんだよ?」
「うぐぅ・・・」
美緒は極度の怖がりだった。小さい頃から幽霊の類いの話が苦手であり、暗い校舎を一人で歩くなどもってのほかだった。そして美緒も仕方なく首を縦にふった。
「さーて。じゃあ泣き虫美緒ちゃんの説得も終わったところでさっさと始めちゃいましょうか。こっくりさん♪」