出会い2
どうして、やさしくしてくれるの?
獣人のわたしなんかに。
その疑問をふりはらい、男の人を見た。
「あの、助けていただいてありがとうございます」
「いいよ、あれくらい、当然のことをしたまでだ」
男の人はにっこり笑い、言った。
「さて……家どこ? 送るよ」
「いえっ、そんな……! 大丈夫です!」
「こんな暗い中、女の子を一人で帰せるわけないでしょ。さ、どこ?」
獣人のわたしが、人に頼るなんて、そんなこと。
「わたし、獣人ですし、帰っても心配する人なんかいません」
すると男の人は急に怒ったような顔になった。
「獣人だかなんだかでそんなこと言わないでくれ。君がいなくなったら僕は心配するさ」
そして男の人は泣きそうなわたしの頭を撫でた。
「さ、君の家はどこ?」
「この通りにあるナタルー家に雇われています」
「ナタルー家……?」
男の人は手で口を覆い、何か考えていた。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ」
そういって、男の人はわたしの手を握った。
赤くなっているわたしを見て、男の人は笑う。
「かわいいね、君」
「かわっ……!?」
あはは、と男の人は声をあげて笑った。
「かわいいよ、とても」
暗くて見えなかったが、男の人がほほえんだ気がした。