「屋上」って素晴らしい。
俺の昼飯は屋上で食べることが大半を占めている。
なぜかって?
出会いがあるかもしれないからさっ!
屋上で食べるのを始めてから2年間(中学時代も含める)
出会ったのは中森だけじゃないか。
ついでに この高校は屋上に行くことは禁止されている。
だから、コレまでに生徒指導に連れて行かれた回数は32回(中学時代も含める)
よく 停学にならないもんだ。
自分で思うに口喧嘩は強い方だと思う。
覚えているぶんに負けた回数は数十回しかない。
勝ち>負け だからまぁ強いほうといっていいだろう。
そう思いながら、紙パックに入った牛乳を飲み干す。
その牛乳の名は「おいしいかもしれない牛乳」
特別においしいわけではない。
一言で言うなら、『悪くない。』
しかし これが一番安価だから俺は好んで飲んでいる。
どうでもいい話だが 俺は牛乳に氷を入れる派だ。
氷を入れたほうがおいしい、と言うわけではなく。
冷たい牛乳が大好きなんだ。
ホットミルクならまだしも生ぬるい牛乳を好きで飲む奴がいたら
俺は軽蔑するだろう。
そして 後ろにある気配に気がつく。
昼休みに屋上を利用する奴が俺以外にいるとは。
まさか 俺みたく出会いを求めて屋上に訪れる
プリティーチャーミーな女子生徒。
もしくは、俺と契約するためにわざわざココまできた
エロティカセブンな女の子か。
どちらかだろう。
どちらでもいい。
贅沢を言うと両方がいい。
とりあえずだ、重要なのは第一印象
今世紀一番の笑顔を浮かべ振り返りながら
「どうしたんだい?」
と聞く。
そして後ろの子の顔を見る。
「キモイな。」
そこには オレンジジュースを片手に持った中森が立っていた。
そいつの目には俺への失望の色が浮かんでいた。
皆さんも経験したことはあるだろう。
期待してる時にその真逆のことが起こった時の落胆の大きさ。
例を挙げるなら
「今回のテスト絶対80点以上あるわ~!」
とかほざいている奴が
60点とかたたき出したときの落ち込み。
とりあえずだ
俺は落ち込んだ。よくよく考えてみたら
この学校で屋上に来る奴なんぞ
俺と中森を除いたら一人もいない。
冷静になって考えたら分かるはずだった。
まぁ 中森の存在をすっかり忘れてただけなんだが。
俺の怒りの矛先はやはり中森に向いた。
勝手に期待した 俺が悪いのだが。
そんなことは 今の俺にはどうでもいい
こいつを一発ぶん殴んなければ気がすまない。
俺の「主人公補正」に変わる 新・必殺技で・・・!!!
「覚悟してっ 歯ァ食いしばれェ!!!」
「えぇ!!なんでさっ!?」
中森に向かって大きく一歩踏み出す。
それだけで 俺の新・必殺技の射程距離に入る
「有限パァァァァンチィィィィィィ!!!!!」
ただの右フックである。
これといったたいした効果はない。
ていうか 常人よりちょっと低いくらいの威力かもしれないが
まともにくらった中森は後ろにぶっ倒れる。
それと同時に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴る。
中身がカラの紙パックを中森に投げつけた後
屋上から出て行った
その瞬間 先生に生徒指導に連行された。
中森が気がついたのは6時限目である。