レオンの目標。覚醒とは。
第五話
竜の背を追う理由
▶︎ レオン・リヴァイアス
朝の鍛錬場には、まだ露が残っていた。
レオンは地面に三叉槍の石突きを立て、ゆっくりと息を吐く。
水龍の系譜に伝わる武器。
剣よりも重く、斧よりも繊細な扱いを要求される。
三つの刃は、突くためのものではない。
相手の動きを縫い止め、逃がさず、終わらせるための形だ。
レオンは槍を構え、踏み込む。
一歩、二歩。
風を切る音とともに、槍先が正確に空を裂いた。
「いい動きだな」
声をかけてきたのは、父のヴァルドだった。
「まだ硬いが、悪くない」
「分かってる」
レオンは肩をすくめる。
「父さんほどじゃない」
「比べるな。目指せ」
それだけ言って、ヴァルドは去っていった。
⸻
昼前、見張りの鐘が鳴った。
「魔獣だ!」
村の外れ。
森の縁に、魔獣が姿を現していた。
二足で立つ獣型。
筋肉質で、爪が長い。
だが、見覚えのある相手だ。
「中級だな」
戦士の一人が言う。
「俺が行く」
レオンは迷わず前に出た。
魔獣が吠え、突進してくる。
レオンは一歩引き、三叉槍を低く構える。
正面から受ける気はない。
槍を振るい、右腕を絡め取る。
刃が肉に食い込み、動きが止まった。
「今だ」
声をかける必要はなかった。
レオン自身が、すでに終わらせに行っている。
踏み込み、槍を引き戻し、心臓へ。
魔獣は一度だけ大きく震え、そのまま倒れた。
戦闘は、数十秒で終わった。
「さすがだな」
「これが村最強か」
そんな声が聞こえる。
レオンは何も言わなかった。
⸻
村へ戻る道すがら、父が口を開いた。
「レオン。お前は、どこを目指している?」
唐突な問いだった。
「強さだ」
即答だった。
「村を守れる強さ。家族を守れる強さ」
ヴァルドはしばらく黙っていた。
「……龍族にはな」
やがて、静かに言う。
「準亜神へ至ったという話がある」
レオンは足を止めた。
「伝承だ。噂だ。真偽は分からん」
「でも、あるんだろ?」
ヴァルドは否定しなかった。
「あると信じた者がいた。それだけだ」
レオンは三叉槍を強く握った。
もし、それが本当なら。
もし、力があるのなら。
「俺は、そこを目指す」
ヴァルドは、息子を見た。
「何のために?」
「皆を守るためだ」
即答だった。
「弟が戦わなくて済むように」
それ以上、言葉はなかった。
⸻
村に戻ると、泉のそばに母と弟がいた。
エリシアがリオンを抱いている。
リオンは水面をじっと見つめていた。
小さな手が動く。
それに合わせて、泉がわずかに揺れた。
「……またか」
レオンは苦笑した。
「水が好きだな、こいつ」
「そうね」
エリシアはそれ以上、何も言わない。
レオンはリオンの前に膝をつき、そっと指を差し出す。
小さな手が、ぎゅっと握り返してきた。
弱い。
小さくて、柔らかい。
「大丈夫だ」
レオンは静かに言った。
「俺がいる限り、守る」
この子が、戦う必要はない。
そのために、俺は強くなる。
空は晴れていた。
村は平和だった。
この時、レオンはまだ知らなかった。
その“守れる”という前提が、
すでに揺らぎ始めていることを。
いいねとお気に入りって機能はあるのかな?
あれば多分それが評価基準になるので是非お願いします!
ちなみに尊敬しいて大好きななろう系小説は無職転生です。3期が待ち遠しすぎます。




