長老の警告。平和な日常。
村とリヴァー=クロスのイラストを書きました。
chatGPTで書いたので若干違いますが、大体こんなもんです笑笑
▶︎レオン・リヴァイアス
### 第十話
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訓練場を離れた二人は、
そのまま街の中央へ向かって歩いていた。
「ねえ兄ちゃん」
木の棒を肩に担いだまま、リオンが言う。
「この街、好き?」
「嫌いじゃない」
即答ではなかったが、否定でもない。
「村より人が多いし、音も多い。
でも……」
レオンは、周囲を一度見回した。
荷車を押す人間。
石を運ぶドワーフ。
屋根の上を跳ねる獣人の子ども。
「流れは、悪くない」
それは戦士としての感想だった。
「ふーん。
じゃあ、住める?」
「……無理だな」
「即答!?」
リオンが笑う。
「壊れやすいものが多すぎる」
「街の人に聞かれたら怒られるよ」
「事実だ」
二人は並んで歩く。
会話の間に、沈黙はなかった。
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街の中央広場では、簡単な市が立っていた。
野菜。
干し肉。
簡素な魔道具。
そして、川魚。
「魚だ!」
リオンが反応する。
「水龍の血が騒ぐか?」
「うん!」
即答だった。
売り手の老人が、くしゃっと笑う。
「兄弟かい?」
「そうだ」
「似てるな。
目の色は違うが、立ち方がそっくりだ」
レオンは少し驚いた顔をした。
「……そうか?」
「長く生きてりゃ、わかる」
老人はそう言って、魚を包み始める。
「持ってきな。
今日の分だ」
「……代金は」
「いい。
街を守る側には、これくらい当然だ」
レオンは一瞬、言葉に詰まったが、
黙って頭を下げた。
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川沿いの道を歩く。
リヴァー=クロスの名の通り、
二本の川が交わる場所だ。
水の流れは穏やかで、
だが深い。
リオンは、川面を覗き込んでいた。
「ねえ兄ちゃん」
「なんだ」
「この川、村の泉と似てる」
レオンは足を止めた。
「……わかるのか」
「うん。
なんか、落ち着く」
それは感覚的な言葉だった。
だが、レオンは否定しなかった。
「ここは水脈が交わってる。
だから街ができた」
「ふーん」
「村ほどじゃないが、
“流れ”は生きてる」
リオンは満足そうに頷いた。
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しばらく歩いた後、
二人は川辺の石段に腰を下ろした。
街の喧騒が、少し遠ざかる。
「ねえ兄ちゃん」
「まだ何かあるのか」
「うん。
兄ちゃんってさ」
リオンは少し考えてから言った。
「ずっと強いよね」
「……そう見えるだけだ」
「でも、みんなそう言う」
レオンは答えなかった。
代わりに、川を見る。
流れは止まらない。
だが、急ぎもしない。
「強さってのは、
使い方を間違えると、弱くもなる」
「ふーん」
「だから、今は――」
そこで言葉を切った。
「今は、守るだけでいい」
リオンは、その言葉を
深く考えた様子もなく、
「じゃあさ」
と、いつもの調子で言った。
「僕が強くなったら、兄ちゃん休んでいいよ」
レオンは、思わず息を吐いた。
「……簡単に言うな」
「だって兄弟でしょ?」
それだけで、十分だという顔だった。
レオンは、川の流れから目を離し、
弟を見た。
「――その時は、頼む」
それは約束ではなく、
冗談でもなく、
ただの言葉だった。
二人は並んで座り、
しばらく何も話さず、川を眺めていた。
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川の交わる場所で
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リヴァー=クロスの中心には、小さな広場があった。
二本の川が最も近づく場所。
橋と橋に挟まれ、人の流れが自然と集まる場所だ。
石畳は古く、
何度も補修された跡が残っている。
「ここが街の真ん中?」
リオンがきょろきょろと周囲を見回す。
「そうだ。
商いも、情報も、だいたいここに集まる」
「へえ……」
露店がいくつも並び、
果物、革製品、簡素な魔導具まで置かれている。
売り手も買い手も、種族はまちまちだった。
人間。
獣人。
ドワーフ。
角を隠した龍族。
誰もが自然に、同じ空間を共有している。
「村とは、ぜんぜん違うね」
「違うさ」
レオンは短く答えた。
「ここは“交差点”だからな。
水も、人も、立場も」
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川沿いの柵にもたれ、
レオンは水の流れを眺めた。
二本の川は、色が微妙に違う。
一方は澄み、
もう一方は土を含んだ流れ。
だが、交わる場所では、
不思議と濁らない。
「兄ちゃん」
リオンが隣に立つ。
「なんで、ここに街ができたの?」
「さあな」
レオンは一度そう言ってから、少し考えた。
「……たぶん、
水が“止まらなかった”からだ」
「止まらない?」
「せき止めようとしても、
分けようとしても、
結局、流れは交わる」
「ふーん……」
リオンはよく分かっていない顔をしながら、
川に小石を投げた。
ぽちゃん、と音がする。
その波紋を、レオンは見ていた。
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「おい、レオン」
背後から声がかかる。
振り返ると、
龍族の老人が立っていた。
背は低く、鱗はくすんでいる。
だが、立ち姿には、年季があった。
「長老」
レオンは一礼する。
この街に来るたび、
必ず顔を合わせる相手だ。
「弟か」
「はい」
リオンはぴしっと背筋を伸ばす。
「こんにちは!」
長老はふっと口元を緩めた。
「元気だな。
……水の匂いがする」
「?」
リオンは首を傾げる。
長老はそれ以上言わず、
レオンに視線を戻した。
「最近、魔獣の報せが増えている」
レオンの表情が、わずかに引き締まる。
「街の外ですか」
「外も、中もだ」
「……中?」
「討伐数が、妙に多い。
種類も、動きも、少しずつ違う」
言葉を選ぶように、長老は続けた。
「昔に戻っている、というより……
“準備している”感じだな」
レオンは黙って聞いていた。
魔王。
その名を、口に出す必要はなかった。
この世界では、
知らぬ者の方が少ない存在だ。
「お前は、どう思う」
問いかけられ、
レオンは川へと視線を戻す。
「……まだ、何も」
「そうか」
長老は頷いた。
「だが覚えておけ。
静かな時ほど、
水は深くなる」
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長老が去った後、
しばらく沈黙が続いた。
「ねえ、兄ちゃん」
リオンが小さく言う。
「魔獣って、
また増えるの?」
レオンは、すぐには答えなかった。
弟の頭に、そっと手を置く。
「……大丈夫だ」
「ほんと?」
「ああ」
それは約束ではない。
断言でもない。
だが、今のレオンにできる、
精一杯の答えだった。
「兄ちゃんが、守るから」
リオンは、その言葉を疑わなかった。
「うん!」
そう言って、笑う。
その無邪気さが、
レオンには、少しだけ眩しかった。
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夕方、街を離れる頃、
リヴァー=クロスは夕日に染まっていた。
川面が赤く光り、
交差点は、穏やかなざわめきに包まれる。
レオンは一度だけ、振り返る。
この街も、
村も、
家族も。
すべてが、
“守るべきもの”だと、
自然に思った。
それが、いつからなのかは分からない。
ただ――
この流れが、
いつか荒れることを、
彼はどこかで感じ始めていた。
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あれば多分それが評価基準になるので是非お願いします!
ちなみに尊敬しいて大好きななろう系小説は無職転生です。3期が待ち遠しすぎます。




