7話
百合だっよ〜〜ん!
「行かないの?」
真っ白な湯船に浸かるゆずちゃんに声を掛ける。
ゆずちゃんは湯船に髪がつかないように後頭部の少し上でお団子を作っている。
それのせいなのか、それともおかげなのかはわからないが首筋が見えてなんか色々とヤバい。
「行く」
私がゆずちゃんを変な目で見ていたのがバレたのかゆずちゃんの声は物凄く不機嫌だった。
途端、ゆずちゃんの体が白い湯から出てくる。
私の目は自然とゆずちゃんの小ぶりな胸に吸い付いてゆく。
(触ってみたい…)
そんな考えをかき消すように首を左右に振る。
(何考えて、ここは公共と場。それと関係なく)
私が私を戒めているとタオルを片手に私を通り過ぎていくゆずちゃんが見えた。
「ちょっ」
私は急いでゆずちゃんの隣に駆け寄る。
「なんで置いていくの」
私はゆずちゃんの顔を見て不満を声に表して言う。
ゆずちゃんは私を横目でじっと見てくる。
私も抵抗としてゆずちゃんの目を見る。
だが直ぐに恥ずかしくなり目をそらす。
そんな事をしていると浴場についていたらしく、ズラリと並ぶシャワーと椅子が見えた。
ゆずちゃんは手前の椅子に座り、髪をほどいている。
私はゆずちゃんの隣に座る。
するとゆずちゃんは私を一瞬見て、ため息をした。
私はそれを無視して話しかける。
「ゆずちゃんは今日、何してたの?」
「それ貴方が言うの?」
ゆずちゃんはそう言ってシャワーから出るお湯を頭上から始める。
「確かに」
私は今日の出来事を思い返し納得する。
結局私は、夜景を撮れずヤケクソで銭湯に来ている。
私も髪を濡らしシャンプーで髪を洗い始める。
「ねぇ」
ゆずちゃんは体について泡を洗い流し、お湯を止めながら話しかけてきた。
「な、なに?」
私はゆずちゃんの体から視線を急いで外し、ゆずちゃんの目に移す。
ゆずちゃんは私を見て何かを悩んでいる。
少しの間のあとゆずちゃんが口を空けた瞬間、ゆずちゃんに何者かの手が乗った。
「ゆずきっ」
「ひゃ。ッ」
ゆずちゃんは体をビクリと動かし、直ぐに口を塞いで後ろの人を睨む。
私もゆずちゃんの目線を追い、その人を見た。
その人は黒い髪を高い位置でポニーテールにして、髪の先端は首まで伸びている。
顔のパーツはゆずちゃんに瓜二つだが、雰囲気が明るめで人当たりの良さそうというのが私の第一印象だ。
「ごめんって」
その人はゆずちゃんに睨まれ後退りをして手を合わせて謝っている。
ゆずちゃんは一つため息をこぼして、私が聞いたこともない明るい声色で話し始める。
「それで?どうしたの」
「いや〜、ゆずきが見えたから」
私はゆずちゃんの声色に何か寂しさを覚えてしまい、ここから一刻も早く立ち去る為に体を洗う手を早める。
「あのジジイ(父さん)が道間違えてさー。来るの遅くなったんだよ」
「そうだったんだ」
そんな会話が聞こえる中、私は体の泡を流し終え、立ち上がり別の場所へ向かおうとゆずちゃんの背を通り過ぎる。
すると後ろからゆずちゃんの声に心が弾む。
「じぁ、私もう行くね」
「おう!あたしも洗い終わったら行くわ」
「わかった」
私はそんな会話を聞き流し、一つの扉を目掛けて歩く。
他の物音や人の会話それよりも大きく聞こえる、2つのバラバラな足音を聞きながら足を速める。
私が扉を開けると、冷え切った空気が体を襲う。
そんな事も構わずに私はもう一つの扉を開ける。
すると先程よりも冷えた空気が私の体を包む。
外には透明な湯が2つあり左のほうに大きな画面があり、暗いなかその画面をみながらユラックスしている人が数人見える。
正面に見える透明な湯は人はおらず広々としている。
後ろの扉が開く音が聞こえると、私は直ぐに正面の湯に歩き出す。
私は湯船に肩まで沈ませ、足を伸ばしゴツゴツとした岩に背を任せる。
途端、頭上から声が聞こえた。
「澄香、隣座る」
ゆずちゃんの声は浴場で出した声とはかけ離れ、冷たく感じる声だ。
「うん」
私はゆずちゃんの声に返し、上を向いてしまった。
そこには白いタオルで仕切られているが、その内側に見える一つの割れ目があった。
私は爆発寸前まで熱くなった顔を直ぐに前に向ける。
(これがラッキースケベか…)
そんな事を思っていると右から水音が聞こえた。
私が右を見ると直ぐ側にゆずちゃんが湯船に浸かり、左足を立てて座っている。
沈黙のなか、私は正面を眺めるゆずちゃんをみてしまう。
(綺麗、なんでこんなに絵になるんだろう。可愛くてクールで)
「好き」
「ん?」
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