3話
百合です!
「ごちそうさま」
「お粗末様」
リビングにお母さんの明るい声が響く。
私は食器をリビングに持って行き水に付け、直ぐにその息苦しい部屋を出る。
階段を上がり一番端っこの澄香と書かれた部屋に入り扉をゆっくりと閉め一息つく。
「疲れた」
私はそう呟き、目の前の学習机の端に置いてあるスマホを取り机の横にあるベッドに顔から倒れ込む。
スマホを開くと友達からのメッセージが沢山来ていた。
私はそれを開き下にスライドをして最新の会話を見つける。
みずき[明日から学校だるい〜]
ゆき[わかる]
まりな[私はみんなと会えて嬉しいよ]
そんなメッセージを眺め何を返そうか悩むが澄香に見られた事が頭から離れない。
「あいつ、言いふらさないよね」
ブー
私が壁に投影した澄香の姿を睨んでいると、スマホが揺れた。
私はスマホに目を戻しメッセージを見る。
みずき[明日、学校昼で終わるじゃん。それで放課後みんなで何処か出かけない?]
まりな[いいね!]
ゆな[さんせー]
「私も行けるかな?」
そう呟きながら、明日に塾がないことを再確認しようとホーム画面に戻したその時。
コンコン
「はーい」
私が少し明るく声を出した後、扉が開かれお母さんが見えた。
「お風呂が沸いたわよ、先に入りな」
「分かった」
私は明るく返すとお母さんが何かを思い出したように呟く。
「そうだった」
お母さんは明るい言葉で続ける。
「明日、急だけど学校終わったら直ぐに帰ってきなさいね。父さんの親戚の葬式をやるんだって」
「わかった」
私はお母さんの言ったことに出来るだけ明るく返す。
「早くお風呂に入りなさいねー。はー、あの人もっと早く」
お母さんはそう言いながら扉を閉める。
私はいつの間にか手から落ちていたスマホを取り、グループにメッセージを打つ。
[ごめん(_ _;)、明日用事があっていけない]
メッセージを送信して、スマホの電源を切る。
瞬間、暗い画面に私の真顔が映し出された。
「あ゙ーーーー」
私は湯船につかり、現状の形にならない不満を大声に乗せて吐き出す。
(あいつ言いふらしてないよね…)
私は顔を湯船に付け、目を開ける。
(痛い)
その痛みを感じながらも潜り続ける。
(そのうち息が続かなくなり死ぬのかな〜)
そんな事をぼんやり考えるが、直ぐに息苦しくなり顔を上げる。
自身の顔についたお湯を手で拭い呟く。
「何してんだろう」
私はお風呂から上がり、部屋にドライヤーを持って行き、ベッドの上で髪を乾かす。
ドライヤーで髪を乾かす間、片手でXを流し見る。
流れてくるのは友達同士のツーショット写真や何処かしらの景色。
それらに私は妬ましく思いながらもいいねを押す。
私はスマホをベッドの上に放り投げ、髪をワシャワシャと適当にかき混ぜ直ぐにドライヤーを止めた。
下に降りてドライヤーを元の位置に直し歯を磨き、リビングに入った。
お母さんはお風呂中なのかリビングにおらず、お父さんがソファーの真ん中に座り、テレビを見ている。
私は台所に掛けてあるコップを取り、そのコップに水を入れて、その水を一気飲みする。
そのコップを水で注ぎ元の位置に戻し明るい声を心がけ言う。
「おやすみ」
「おやすみ〜」
お父さんはテレビを見ながら返してくる。
私はそのままリビングを出て2階に上がり自室に入る。
扉の横にあるスイッチを押して、部屋の光を消す。
スマホにケーブルを繋げ、机の上に置く。
私はベッドの真ん中らへんに座り掛け布団を体に掛け、枕に頭を乗せる。
「おやすみ」
真っ暗な天井に言葉を投げかけ、目をつぶる。
目をつぶると浮かびが上がるのは二日前の出来事。
(いきなり澄香が出てきて…)
私はあそこで何をしていたかを思い出しそうになり顔を全力で振る。
(明日は学校なんだから早く寝よう)
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