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2話

百合です!

「ん〜、なぜ私の名前を知っていたんだ…」

あの後、私は直ぐに家に帰り一睡もせずにパソコンの前で黒髪の人の事を考えている。


ピンポーン


チャイムの音に私はスマホの9:30という表記を見て驚く。

「もうそんな時間!?」

私は部屋を出て玄関の扉を開と、そこには私よりもずっと背の高い男が立っていた。

「来てやったぞ」

その声を聞き、私は後ろを向き後の男に声を放つ。

「入れ〜」

「おじゃま〜」

その声と同時に扉が閉まり、鍵が閉められる。

すると右の階段から腹が異常にデカい私のじいじ(おじいちゃん)がドスドスと降りて来ている。

「おー、優真今日も来たか。今日はテレビは使えんぞ」

「あいあーい」

聞き慣れた優真の軽い返事を聞き流し、私は自室に移動する。


私の部屋は元々は客間だったが、大体の親族が死に今この部屋は私の物になっている。

そんな事を思い返しながら部屋を眺めていると優真の声が後から聞こえた。

「やっぱり畳にpcはなんかおもろいな」

そんな事を言いながら敷かれたままの私の布団に寝転がる。

私はそれを見てため息を吐き布団により言う。

「たたむからどけー」

そう言いながら力いっぱいに布団を上に引っ張るが、優真の体がある所で止まる。

「優真」

「はいはい」

私の圧が届いたのか優真は渋々と布団から離れていった。

私はそのまま布団を三つ折りにたたむみ、優真の方に体を向け言う。

「やるか!」

「おう!」

私達は一定の距離を空けて座り、お互いのカードBOXを取り出す。


    モリ ユウマ

私の親友、森 優真は私が小学1年生の時、学童で出会いそのまま友達になった。

私達はいつも一緒に遊んでいると、いつの間にか先生からモリモリコンビと呼ばれるようになっていた。

私が中学生の時、先生の勘違いで不登校に追い込まれた時も、優真は土日どちらかは来てカードゲームか家庭用ゲーム機で遊んでくれていた。

一時の間、私が優真に依存していた事もあったが今は健全な親友同士だ。



「ターンエンド」

私がそう言うと優真は山札の上を引きながら軽い口調で言う。

「俺、今年で卒業じゃん」

「うん」

優真は私の2歳上で今年卒業する。

(まあ、学校は別々だけど)

優真はカードを伏せて置き、頭をかきながら真剣な声で言う。

「俺、卒業したら引っ越すんだ」

「え…」

(引っ越す?何処に?じゃなくてなにか言わないと)

優真の言葉に私の脳は混乱して言葉を出そうとしても喉から声が出ない。

すると優真は驚いたように私を見て、カードをお構いなしに私の目の下を拭き呟く。

「泣くか〜」

優真の言葉に私の顔の状況を理解して自身の腕で目の下を拭い顔を俯かせて言葉を絞り出す。

「だって私ボッチになっちゃんじゃん」

私は嘘をついた。

(学校には友達は居る。だけどずっと一緒にいた親友が居なくなるのは苦しい)

優真は軽い口調で言う。

「大丈夫だ!引っ越すっても九州だから会おうと思えば会える。スマホもあるだから、ラインくれれば電話もしてやる」

「それなら」

私が小声で返事すると、静寂がこの部屋を襲った。

気まずいと思った瞬間、じいじの顔が障子戸の破れたところから見えた。

「ラーメン食いに行くか?」

「行く!」

じいじの問いに優真は真っ先に立ち上り返事をする。

それに続き私も返事をする。

「行く」

「じゃあ行くぞ」

じいじはそう言ってその場から立ち去って行った。

私は伏せて置いていたスマホを取り立ち上がり優真と玄関へと向かう。



「学校はいつからだ?」

運転席からじいじの声が聞こえる。

私は視線を上げ見えた物を暇潰しに心の中で読む。

(スミカタクシー。個人タクシー)

そんな事をしていると横に座る優真が答える。

「明後日から」

「そお、優真は今年卒業だったか?」

じいじは確かめるように聞く。

「うん」

「卒業したらどうするんだ?」

優真は待ってましたと言わんばかりの顔で話し始める。

「行き付けの店の店長と仲良くなって、その人のコネで仕事が決まってるだよね〜」

優真の言葉を聞いて私は何とも言えない気持ちになり顔を伏せる。

(優真の家は貧乏だ。だから働いてその家にお金を入れる、優真のやりたいことは分かる。分かるが私の元から去っていく理由には…っ、なってしまう)


「着いたぞ」

じいじの声で私は顔を上げる。

私達が来た店はチェーン店でありながら、ほかの店より味がいいとテレビ番組にも取り上げられた事のある店だ。

小さな駐車場に車が止まる。

エンジンが切れた瞬間、私達は車から出てると共に、よだれが出そうになるほどの匂いが鼻に伝わる。

優真は私より先に行き、店の外の列に並ぶ。

赤い暖簾に白くラーメンと書かれた字を見て、お腹が鳴る。

店の中から伝わる熱気と肌寒い風に当たり、中学生の時を思い出す。

(そういえば久しぶりだったな優真と来るの…)

中学生の時は一ヶ月に3、4回は来てたが、私が高校生になってからはあまり来ていなかった。

(いや、優真自体あまり私と会ってくらなくなっていたな)

今と昔を比べていると、いつの間にか店の椅子は3つ空いていた。

「ラーメン三杯」

じいじがそう言いながら店に入る。

私達はじいじについていき、店に入っていく。



「「ごちそうさまでした」」

私と優真はそう言いながら店を出る。

それとすれ違いほかの人達が入っていく。

私はそれを見ながら優真が車に入るのを待つ。

優真が車の中に入ると私も入り、扉を閉める。

「うまかったぁ〜」

優真は少しだけ割れたお腹を出しボンボンと叩く。

私も真似をしてお腹を出して叩き言う。

「うまかった〜」

私達は顔を見合わせニカッと笑い合う。

それをまたやってると言いたげな顔で見るて、じいじは車を出す。




「帰るでごあす」

優真の声がリビングのみんなに届く。

「はーい」

「あいよでごあす」

私のお母さんとばあば(おばあちゃん)の声に見送られ、優真はリビングから出る。

私と優真は玄関に移動する。

「またな」

「また明日」

優真の声に返すように私が言う。

優真は靴を履き、言いにくそうに口を開ける。

「来週まで、…無理なんだ」

「そう、じゃあまたね」

私は何でもないかのように言う。

「また再来週」

優真はそう言いながら扉を開ける。

暗くなった扉の向こうへ一歩踏み出してこちらに振り返りニカッと笑顔が向けられ、扉が閉められる。

暫くの間、私はその場に立ち止まったままだった。


読んでくださりありがとうございます。

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