7 結界で守ります
古竜の目覚めをじっと待つ...
焦れったいが相手は300年も昼寝をするような時間感覚をお持ちのお方だ。
......
数分後、目をカッと開け岩が動いた。私に焦点を合わせると
「今のは何だ!?」
おぉー、良かった!想像通りの重低音ボイスで少し嬉しくなった。
「唐揚げという料理です。私が作りましたがお気に召して頂けましたか?」
「足りん!」
...だろうね。300年振りの食事だしね。
これでもスーパーで安い鶏肉をありったけ買って来て作ったので満足するまで食べさせたら私の住む街から鶏肉が消えてしまう。
にっこり微笑んで
「ちょっとしたご挨拶ですので...」
「......」
「実は古竜様にお願いがございます。私に協力して頂けませんか?お力を貸して頂ければまた唐揚げを作って参りましょう。」
「うーん、めんどくさいのぅ。」
「ですが、このままですと古竜様もここで眠り続けることも出来なくなりませんか?よろしいのです?」
首を傾げる古竜にこの森の状況を説明する。
「それはどういうことだ!この森は世界一安全なハズだぞ!崩壊するなどありえるか!」
いや、あんたも悪いよ?もっと早く気がつけよ...
「古竜様、森の様子を感じることは出来ませんか?」
古竜ならそれくらいできるだろう、と促すと少し集中して目をすがめる。
「なっ!ジジイが枯れかかってるではないか!」
はぁっ(ため息)。そんなにすぐに感じ取れるのによくも300年も平和に寝ていられたものだ、と感心すらしてしまう。
「この森全体に結界を張ることは出来ませんか?」
「ん?当然出来るが、其方でも出来るのではないか?」
「あ、申し遅れました。私はトワと申します。もちろん私も古竜様の結界の内側に張ります。」
「ほほぅ、其方は聖魔法が使えるのか。異世界の神の眷属とは珍しいのぅ。」
この森は問題が多すぎる。内部の崩壊を早急に解決しなければならない時に、外部からの侵略に構ってはいられない。なのでまず物理的にこの森ごと封鎖してしまおうと思ったのだ。
そこで問題になるのが私の魔力だ。技術的には最大値だが、魔力量がどの程度なのか自信がないことに加え、私は人間なので長生きしたとしてもあと100年も生きない。その後結界がどうなるのかわからないし、魔力量が足りたとしても単純な防御力で古竜にかなう者はいないだろう。
というのは建前で、森がこんな状態なのにイビキかいて寝ていたのだ。古竜のせいではないが少しくらい働いてもらって然るべきではないだろうか。
「よかろう。ワシがこの森にいる限り絶対に破られない結界を張ってやろう。礼は唐揚げで構わぬ。」
「ありがとうございます。また美味しい料理を作ってお持ちしましょう。」
古竜が満足そうに頷くと膨大な魔力が森を覆った。
それを確認して私も内側に聖魔法特化の結界を張る。
この私の結界は古竜の結界を補助し、聖魔法で森を包むことによって常に浄化の自動補正が入るのだ。
防御力が心配な私の魔力と、聖魔法が使えない古竜の魔法の弱点を補い合う、安全性と機能性に優れた超逸品の結界の出来上がりだ!
「わぁー、綺麗ですー。」
ワンニャンが目をキラキラさせて空を見上げる。
森の再生の第1歩だ。




