6 ご挨拶には手土産を
廃墟と化した前管理人が建てた面倒な管理小屋を処理した後は、
管理人に与えられた敷地内の伸びまくった雑草を一気に土魔法で掘り起こす。
土は残して雑草だけ
『回収!』
すると沢山の名前が浮かび上がった。
草の名前だろう。
「雑草」でいいのに...
なまじ全ての能力最大値にしてしまったので詳しく出てしまうのだろう。
しかも一つ一つの名前に意識を向けるとその草の説明まで出てきた。
この中にはきっと貴重な薬草があったりするのが定番だが、そんなめんどくさいことはやっていられないので確認せずに全て
『買取り』
......に、しようと思ったが、見える限りでは雑草が生えているのはココだけだ。他はハゲ山となっているこの森ではこの雑草すら使い道があるかもしれないので保管しておく。どうせこちらのお金に替えても使わないなら慌てて買取に出す必要も無いだろう。
さて。ここまで30分もかかっていない。
フッラさんとフリーンさんはなんとなく目をキラキラさせて私を見ている。
ついさっきまで完全にビジネスな感じの何にも興味がない目でろくに目を合わせることもなかったのに30分でなかなかの変わりようである。
「とわ様!今のは何をしたのですか?あんな大きな物をアイテムボックスに収納されたのでしょうか?」
フッラがしっぽを大地に叩きつけながら聞いてくる。フリーンはフッラの頭の上でぴょんぴょん跳ねている。
......可愛い。
さて。ここはとりあえず今日はここまでにしましょう。
私は2匹に古竜の元まで案内してもらえるよう頼んだ。
この森の主は古竜だと先日聞いた。古竜ともなれば神様に頼んで無理矢理手に入れた私のチートスキルくらいの能力が元々備わっていそうだ。
森を守る一助となるハズの古竜がなぜこの現状に何も言わないのか...
それは、ここ300年程昼寝をしてるらしい...
全くもって使えない!
なので起こしに行く。
「あのー、気持ちよく眠ってらっしゃるのに起こしたりして大丈夫でしょうか…」
私はフッラに乗せてもらって古竜が眠る山へと向かっているが、私の前に座るフリーンが振り返って心配そうにきく。
この森は広大で森の中には幾つもの山があるが、中央の世界樹を挟んで管理小屋の敷地とは反対側に古竜が住む山がある。
「こちらでございます。
あの洞窟の奥に見えているのが古竜様です。私たちはここでお待ちしておりますので。」
奥にあるのは山に見える。
ゴツゴツした濃いグレーのでっかい岩山がすやーすやーとゆっくり上下に動いているようにしかみえないがアレが古竜なのだろう。
眠っている古竜の顔の前に回り込んだ。もちろん念の為自分に結界を張って自己防衛はしてある。
「お初にお目にかかります。古竜様。この度この森の管理人を仰せつかりましたトワと申します!」
少し大きめの声で挨拶をしながら手土産を鼻の前に置く。
スンスン…スンスン…
古竜が鼻をピクピクさせながら薄目を開ける。
そこでもう一度挨拶をしてみる。
「お初にお目にかかります!こちらはご挨拶の品でございます。よろしければお召し上がりください。」
嗅覚を刺激するためにニンニクを多めに入れたタレに漬け込んでカラッと二度揚げした唐揚げを盥に入れて持ってきた。夜なべして揚げた。
寝ぼけているのか、半目で寝たままガフッと唐揚げを口に入れ、2、3回口を動かして飲み込んだが反応がない。
いけると思ったんだけど外したかなー、とほんの少し不安に思いながら、古竜が起きるのを待つ。
外では犬猫も鼻をならして仲良く覗き込んでいる...




