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37 解呪
私は再び呪いを発し続けている洞窟に入った。
黒い靄が蠢く魔法陣を見つめ、ひとつ深く息を吐いた。
膝を着いてそっと手をかざす。
呼吸に合わせて体の奥に沈んでいた力をゆっくり呼び覚ます。
陣の一部を描き換え、時空に干渉して帰還の道を通した。
堰を切った神の力は私の指先から陣へと注ぎ込まれ、魔法陣が光を宿す。
音はなく衝撃もない。沈黙の中で世界の底から引き上げられる力。
「もう終わりにしましょう。呪いでは誰も救えません。どうか美しい姿で愛する方の元へお帰りください」
雪が降るように無数の光の粒子が洞窟内に解き放たれた。
消えた魔法陣の代わりに梅の木が芽吹いていた。




