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世界樹の森、守ります。  作者: 杉本 雨
第2章 帝都編

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30 証人尋問!

 

 ウンディーネ様の泉から戻り、だったら私のできることを考えるか……と思っていると、エリスが店に来た。

「わぁー綺麗ですねー。見たこともないものばっかり!」


 ショーケースに張り付くように中のケーキを見つめている。涎を垂らされても困るので。


「奥でこのケーキ食べる?」

「いいんですかー!?」


 フリーンはお茶を煎れてくれなさそうなので、私は自分でエリスの分の紅茶も煎れる。

「どうぞ」

 夢中でショートケーキを食べているので、食べ終わるまで話をするのは待ってあげよう。


「ところでこんな遠くまでどうしたの?」


 ケーキを食べ終えたエリスはデーブルの上に厚手の布包みを置いた。

「これは?」

「森を調べていて見つけました」

 布を広げるとうすい赤茶色の石があった。

「紅瘴石かあ……」

「土の中に埋められていました。魔力はもぅ抜けているので安全です」


 まったく困った物がでてきたものだ。これじゃ、私が犯人ではないか……


「エリス、これちょっと借りても良い?」


 誰かが私に罪をきせるつもりだろうか……

 忘れがちだが、私は異世界にのんびりダラダラスローライフをしに来ているんですけどねぇーー。



******


「座ってください」

「もう座ってますけど?」


 翌日。目の前には久しぶりの森の神シルヴァヌスである。

 コツコツと整理整頓DIYを重ねた私の森の管理小屋でシルバがカフェラテをすすっている。


「単刀直入にお尋ねしますが、私の前のこの森の管理人は今ノルディア帝国にいる聖女ですか?」

「いきなり何なのー? 一応ボク神様なんですけどぉ?」

「だから聞いてるんですけどぉ?」


「おふたりは仲良しですねぇ」


「「フッラはちょっと黙ってて」」


 先日エリスが持ってきてくれた鉱石は、紅瘴石という魔石で世界樹の森にしか存在しない。普通に考えると私が持ち出したことになるが、そんなわけのわからないことをするほど私は暇じゃない。

 この石の使い方は、管理人に代々受け継がれている書物に書いてあるが、私は適当に廃品回収に出そうとしたこともあるくらいで真剣に読みもせずほぼ忘れていた。


 私じゃないなら誰か?フッラとフリーンもこの鉱石を使うことは可能かもしれないが、やはりそんなことをする理由がない。ノルディアに嫌がらせをしたいことがあったとしても神の眷属であるフリーンたちなら他にもっと効果的で簡単な方法がいくらでもある。

 フッラとフリーンでもないなら残りは1人だ。

 私の前の管理人。

 シルバに免職されたという派手好きな引きこもりさんだ。

 城まがいの不必要に豪華な管理小屋の中に書物は丁寧に保管されていた。

 問いただすためにシルバを呼んで、尋問している。

「聖女なんて知らないよぉ。ボクの管轄は森なんだから、人間の国に降り立つ聖女なんて知ってるわけないでしょう」

「とぼけてます?」

「とぼけてないって。ただ、その聖女とやらがどこの誰だかは知らないけど、この森の管理人だった子ではないよ」

「知らないのにどうしてそんなことが言えるんですか?」

「だって、全ての力を奪ったから」


 なるほど……魔力が無いということか。魔法が使えない聖女なんているはずがない。

 シルバが別人だと言う理由はわかった。

 わかったが、それはそれで余計に辻褄が合ってしまうな。

 だけど、まだわからないことが多い。


「シルバが知らないのはわかりました。ちなみにその子を辞めさせた理由はなんですか?」

「ちゃんと仕事してくれなかったからだけど?」


 真剣に答える気がないな……

 それだけで一発退場なわけはない。

 しかも全ての力を奪ってまで。

 いつものらりくらりとしているこの神様が些細なことで怒るとは思えない。

 その辺が前管理人とノルディアの聖女を結び付ける鍵になりそうだ。




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