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世界樹の森、守ります。  作者: 杉本 雨
第1章 森の再生編

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3 ワンコとニャンコ

 

 今の私は…不安と好奇心は1対9で好奇心の圧勝である。


  本堂を出ると歴史を感じる高く伸びた針葉樹に囲まれて薄暗く涼しい。

 年甲斐も無くワクワクする足取りで山道を少し登ると石段の下に着いた。

 50段程の石段の上に廟があり、例の扉があるはずだ。


 ここまでで少し息が上がっているが気にせず石段をどんどん登る。


 ...あった!

 意識して見たのは初めてだが、いつもそこにあった少し違和感のある木の扉に近付いて取っ手に手を掛け、触れる事を確認して深呼吸した。


 ゆっくり慎重に扉を押す。

 いきなり魔物に襲われるとか、あるかもしれない。そおーっと体を滑り込ませる。



「お待ちしておりました。管理人様。」



 一気に心臓の音が速くなり警戒モードに切り替えて声の主に焦点を合わせる。



「シルヴァヌス様の眷属でブラックドッグのフッラと申します。」

「同じくケット・シーのフリーンと申します。」


  シルヴァヌスって誰だろう?



  扉から少し離れた所に真っ白な犬と猫がお利口さんにお座りしている姿が目に入り警戒心を緩めた。

 ブラックドッグだけどホワイトなんですね?と無意味な指摘をしたりはしない。銀色に輝く真っ白な毛並みが、神の遣いらしくて神々しい。

 そんなことで33歳の乙女心はテンション爆上がりだ。

 モフりたい...

 でも語尾がニャーじゃなかったのが少し残念だったりする。



 ワンちゃんはおそらく体高が私の身長近くある超大型犬サイズで、ネットで見た世界一大きな犬と同じくらいだろうか?

 逆にニャンコの方は地球の一般的な成猫より小さく、私の両手に乗りそうなくらいのサイズだ。

 とりあえずどっちも可愛い...


「シルヴァヌス様より森の案内を仰せつかり、お待ちしておりました。」



 あー、シルヴァヌスってあのあやしい神様か。


「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

 ただのワンニャンなら間違いなくわしゃわしゃと撫で回しているところだが、

 犬と猫の頂点のお方なので今後の為にも丁寧に頭をさげておく。


 神々しいワンニャンにテンションは上がるがそれよりも周りの景色が問題だ。

 視力が悪いので違うものが見えてるのかもしれないが...いや、絶対に目が悪いせいでなにか違う景色が見えてる!

 私の目には

 元気に伸びた雑草に囲まれた小さなお城っぽい物が見え、その奥の森は薄らと黒い靄が立ち込めて木々が枯れているように見える。




「実はこの管理小屋は前の管理人様が建てられ、結界を張ったまま免職となりましたので使うことはできません。」

  私が呆然と眺めているとワンコのフッラが困った顔で説明を始めてくれた。

 この城が管理小屋?

 てか、免職って公務員か!


 若干イラッとしてきたので一瞬、思考を放棄して帰ろうかと思ったが気を取り直して話を進める。


「わかりました。別の場所に私が小屋を作ることは可能ですか?」


「申し訳ございません、この森の中で管理人様が個人的に利用出来る敷地はここだけになります。」


 なるほど...(イラッ)

 管理人用の敷地と思われる土地めいっぱいにこの小ぶりな城がたてられているので、すみっこの方に小さな小屋を建てるのすら無理だ。異世界に別荘が出来るなんてワクワクしていたが、別荘どころか私には拠点が無いらしい...テント買うか?


「わかりました。では、とりあえずこの森の状況と問題点を教えて頂けますか?」


「それは私がご説明致します。」

 今度はニャンコのフリーンがワンコに代わって前に出る。


  雑草に囲まれて受けたザックリとした報告は、理性で何重にも包み込んで抑えている私のイライラを破裂させそうだ。






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