22 露天風呂にて
クラウス様御一行には色々とお勧め商品を土産としてお渡ししたが、他にも沢山の商品を片っ端から購入してくださった。
お陰で本日は早めに閉店だ。
「フッラとフリーンはうちでご飯食べていくでしょう?」
片付けをしながら夕飯は何を作ろうか考えてフッラたちを誘う。
森の入口にこの店を開店する前、開店準備と共に管理小屋も少しづつ整えていき、なんと!ギリギリ雪解け前に露天風呂を作ることが出来たのだ。
この為に異世界にやって来た!と、言っても過言ではない私だけの露天風呂。
湯けむりの向こうに降り積もる雪を見て故郷ニッポンに思いを馳せる。あぁなんという幸せ。(日本と行き来自由だけど)
******
せっかく作った露天風呂、フッラとフリーンも一緒に入る。2人とも人型で入っている。モフモフで入ってくれれば私が抱っこできるチャンスなのだが、人型の方が気持ち良く感じるらしい。
私はフリーンに今日の話を聞いてみた。
「あまり関わるつもりは無いけどどう思う?聖女が偽物だったらなんかとってもめんどくさそうだよね。」
「聖女はシルバ様の管轄ではないので私はどうでもいいけど、蒼牙の森の管理人にイライラしたわ。」
聖女は基本的に人の国に降り立つ者だから、森林の神であるシルバは関係ないのか…
言われてみれば納得だな。
「なんで?瘴気を外に出しちゃったから?」
「もちろんそれもそうだし、よりにもよって聖女に浄化させるなんて。自分の森くらい自分でなんとかしなさいよ!って思わない?何のための管理人なのかわからないじゃない。」
ふむ。ごもっともである。
「フッラはどう思う?だいたい話は聞いたでしょう?」
「...あの貴族はカッコよかった。」
「「え?」」
...おぉー。フッラは女子なのか!女子だな!可愛いぞ。
クラウス様は少々薹が立っているが、言われてみればエメラルドグリーンの目がちょっと冷たくて神秘的で彫りも深くて整っているし、抜群に頭も良さそうだ!
私の吟撰にはかすりもしなかったのでまさか恋愛対象になるなんて想像すらしなかった。
「え、なになに、森の神の眷属と人間の皇族の恋とか始めちゃう?始めちゃうなら協力するけど!」
お見合いオバサン発動。
「トワって他人に興味無いくせに身内揶揄うのは好きだよね。
始まらないから。フッラも馬鹿なこと言わないで。」
フリーンが呆れ顔で私たちを見る。お姉さんみたいだ。ちっこいのに。でも恋愛は自由だよ。
「話を戻すけど、フッラとフリーンはその蒼牙の森の管理人さんのことは知ってるの?」
「会ったことはないけど、たしかミルフェ族の娘で獣や魔物と会話の出来る子だったと思う。」
…なにそれ、なんか凄そう。
ミルフェ族というのは森に住み、森を守る人間の種族で、あちこちの小さな森に点在しているという。その種族の中で所謂一芸に優れた者をシルバが主要な森の管理人に据えることがよくあるらしい。その子はおそらく獣と話せるという特技をかわれたので間違いなかろう。普通に考えてもとんでもないスキルだ。役立てない方がどうかしている。
「でもさー、森の外にまで漏れるほどの瘴気が湧いた原因ってなんだろうね?それに、そんなに森が汚染されて獣たちはどうなったんだろう。聖女様が浄化すると獣も生き返るのかなぁ。なんか謎だらけだね。関係ないけど。」
「関係ないとか言っててもさぁ、あのイケメン皇弟様がまた問題持って来ちゃうんじゃない?」
そりゃあ、もうこの問題は終了ーというわけにはいかないだろう。




