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世界樹の森、守ります。  作者: 杉本 雨
第1章 森の再生編

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15/21

15 再生の道はどこまでも…

 

 1週間はあっという間だ。

 今日はまず古竜の所に行こう。また管理小屋まで押しかけられると面倒くさい。

 今日は私が転移魔法で行けるところに行く予定なのでワンニャンは引き続き別行動だ。


『古竜の山に転移』


「ごきげんよう!古竜様!」

「おぉ!待っておったぞ!」

「たくさんお肉を頂きましたが全ては料理しきれず、申し訳ございません。ですが唐揚げの他にも色々作って来ましたよ!」

 大量の唐揚げと、生姜焼き、トンカツ、すき焼き、ハンバーグの王道肉料理5選で勝負だ!


 デンデンデン!!と古竜の前に並べるが、並べた瞬間から

 苦労して作った肉料理の山ががっふがっふと古竜の口の中に消えていった。


 作るの時間かかったのになくなるのは一瞬だなぁ...


 ペロンと口の周りを舐めながらもしっぽがバタンバタンと揺れている。気に入って頂けたのだろう。


「ふむ。また旨い肉を狩って届けよう。」

「ありがとうございます。あまり狩り過ぎないようにしてくださいね、くれぐれも種を絶滅させるなんてことはないように。」

「ふん!そのくらい言われずともわかっておるわ!」

「ですよね、失礼しました。ところで肉以外の素材はどうしますか?お返しします?」

「ん?そんなもんいらんぞ。その辺に捨てればよかろう。」

「でしたら、人間のお金にかえてもよろしいですか?そのお金はこの森の為に使います。あと、古竜様に人間の食べ物を買ってお持ちしましょう。」

「おお、それは良いな。人間の金に変えることができるなら、トワへの報酬にもなるな。好きにすると良い。」



 実は不要品買取機能が使えたのだ。先日、貰った魔物をどうするか頭を悩ませながら閃いた。前の管理人が建てた城を回収した時ある程度勝手に分別されていたので、素材も分別してくれるのではと。



「ありがとうございます。ところで、この森には古竜様のように森を守る役割の方や強い方は他に居ないのですか?ご挨拶が必要かと思いまして?」

「昔はフェンリルがいたのう。北方の神狼などと人間からも崇められておったが、はて…今は気配もないのう。いつ出ていったのか...」


 寝てたもんね...

 でもフェンリルは見てみたかったなー。残念。


「そういえば、トワに叩き起された日より森が随分変わっておるぞ。じじいも随分と魔力を取り戻し始めておるし、川も戻った。他に手伝える事があれば手伝ってやる故、なんでも言うといい。」


 川出来たの?

 あとで水の精霊の所に行ってみよう。


「ありがとうございます。ではさっそくですが、この森の害になるような魔物が居たら適度に狩っておいてください。」



  ********


 次にじじさまに会いに行くとドライアドが増えていた。

「ごきげんよう、じじさま。」

「トワか。見てみよ。ドライアドが増えておるのじゃ。ドライアドが根の傷を見付けてくれたお陰でワタシの魔力が欠けた理由がわかったからな、あと100年もすれば元に戻るじゃろうて。」

「え、なんですかそれ?」

「確かに瘴気は大地を穢し、ワタシの魔力も減らせるのじゃがな、どうやら根の一部が欠けておったようで、その時に魔力がごっそり減ったのじゃろう。ハッハッハッ。」


 笑い事でいいのだろうか?...


「どうして欠けちゃったのですか?」

「それがなー、全く覚えておらんのじゃよ。」


 OHー、NOー!


「心配要らんぞ、トワの力がドライアドの力となり雨を降らせることで水の精霊も戻って来たからな、みなが協力して欠けた根を修復してくれるじゃろう。」

 でも100年も200年もかかるのは私の感覚だとちょっとねぇ...

 まぁこれ以上私に出来ることもないから仕方ないけど。



 私はじじさまの元を後にして、次は水の精霊がいた所にとぶと、底が見えないほど深い滝つぼの先に川の源流が出来ていた...

 先日来た時はちょろちょろと石をなでるような流れだったのが、今はまるで春の雪解けを思わせるように水が音をたてて走りぬけている。

 なんか景色変わったなー(遠い目…)


 何より水の音と共に精霊が騒がしい...

「あ、トワ来たよ!」

「ウンディーネ様呼んでくる?」

「お菓子持ってきたー?」

「お水たくさん!すごい?」

 ちょっとうるさい。

「金平糖持ってきたよ。じじさまの蜜たくさんで作ったよ?でも川が出来たなら川を辿ってじじさまの近くまで行けるようになったんじゃないの?」

「うん!行けるよ!でもね、トワのお菓子はトワの魔力も入ってて、甘〜いのも入ってるからもっと甘〜い!」

 よくわからないが美味しいということだろう。喜んでくれてるなら何よりだ。大量の唐揚げを揚げるより金平糖づくりは意外と簡単なのだ。


「ウンディーネ様呼んできたよー!」

「ウンディーネ様、トワだよ。またお菓子もらったー。」


 精霊が飛んでいく方を目で追い掛けると滝に浮かんでいる人が見えた。

 精霊たちは手のひらよりも小さい者たちばかりだが、そこに居るのは人間のようだった。しかし人間離れした美しさが、人とは違うなにかなのだと主張するようだ。まさに絶世の美女。


「はじめまして、トワ。ボクは水の神ウンディーネだ。子供たちに聞いたよ。あなたがこの天の浄化を行い、子供たちに魔力を与えてくれたお陰で僕がここに出てくることが出来た。ありがとう。」


 神様でした....


「私は大したことをしていません。素人の人間に出来ることなどそうそうございません。結界もほとんど古竜様の魔力ですし、この森にあった元々の力で戻るべくして戻っているだけのように感じます。」

「そうか。ならばそれでいいよ。それにあなたの仕事はたぶんこれからだ。この先、トワも何か困ったことがあったら相談に来るといいよ。あぁ、金平糖のお供え忘れないでね。それと、ボク男神だから。よく女神と間違われるんだよね。」


 おぉぅ...男性でしたか...美しい。


「私の仕事?ってなんですか?これ以上出来ることもないと思うのですが。」

「本来この川は森を巡り、この森の外まで続いているんだ。でも今は森の中さえも巡っていない。本来の森の姿に戻るのはまだまだ遠いということだよ。」

「はぁ...そうなんですね...」


 私、そんなに長生きしないので森の完全な姿は見れそうもない...




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