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世界樹の森、守ります。  作者: 杉本 雨
第1章 森の再生編

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13/21

13 臭い物には蓋をします

 

 その日の夜は初めてこの森に泊まることにする。

 管理小屋も整えたいし、色々やることもある。


 異世界の森での初めての夜は夜行性の獣の鳴き声が聴こえることもなく不気味に静かだった。

 いつか露天風呂作りたいなぁ...異世界の森での快適なスローライフはまだまだ遠い。



 翌日、私はまたフッラに乗せてもらう。フリーンは別行動だ。フリーンにはこの森に住む種族の調査をお願いした、可能であれば接触して問題点や要望を聞いてきてもらう。非協力的な種族があれば直接私が赴くが、問題なければ後回しだ。


 私を乗せたフッラは北東方面の瘴気が濃いエリアに向かっている。


「瘴気って私たちには影響ないのですか?」

「よほどでなければ私たちは大丈夫ですよ。」


 よほどだったらどうなるのだろう。

 事故死は避けたいので念の為自分とフッラに結界を貼っておく。


「急に空気が変わってきましたね。私にでも感じ取れるほどになってきました。近づけるだけ近づいてもらえますか。原因がわかるかもしれませんから。でも無理はしないでくださいね。」

 管理小屋から東の山に近づくと空は低く暗く空気もどんどん重くなる。




 平野の奥、山裾の辺りまで来るとまだ午前中にもかかわらず夜のような闇が立ち込めていた。

 結界張ってなかったらヤバいんじゃ...

 これ以上はやめた方がいいかなと思っていると真っ黒な湖に出た。琵琶湖ほどに大きなものではないが、辛うじて肉眼で全体を確認できるかどうかくらいの大きさがある。


「ここが原因でしょうか?どうしたらいいかな。浄化魔法を注ぎ込んだら消えるかしら?」

「完全に消すのは難しいかもしれませんね。」

「そうなんですか?私にはそこまで感じないんですけど。」

「いえ、ここまで濃いと普通の人間や獣が吸い込んだら即死です。どうやらどんどん湧いてきているようですし、浄化魔法を注ぎ込んでも一時的に薄くなる程度かと思われます。」


 じゃあどうする?放置か?

 放置したら又時間をかけてこの森を侵すんだろうから、じじさまの復活とイタチごっこになるだけだ。



「結界の方がマシだと思いますか?閉じ込めてしまうの。」

 今のところ結界魔法を1番多用しているので実は得意になってきている。


「なるほど、そうですね。根本的な解決になるかはわかりませんが、トワさんの結界で湖を囲ってしまえば少なくてもこれ以上瘴気が垂れ流しになることはないでしょう。」


 単に臭い物に蓋をしただけ感はあるが何もしないよりはマシだろう。結界に浄化作用もちゃんと混ぜて閉じ込めてしまおう!うまくすれば又勝手に浄化してくれるかもしれない。


 地球でも炭素隔離という技術があるが、ここでも結果的に瘴気だけ取り除くことが出来たら私が開発した技術です!と自慢してやろう。


 ただ、この森全体に張った物が効いていなさそうなので期待は薄い...

 私のチートで浄化出来ないってなんなんだろう。出来ない物は仕方ないが、とりあえずの応急処置でなんとかなってくれるといいけど。


「瘴気が発生している所はここだけでしょうか?」

「いえ、この近くに集中して何ヶ所かありそうですね。行かれますか?」

「正直、めんどうですが行ってみます。お願いできますか。」


 私たちは周辺を探して瘴気が発生してそうな場所を結界で封鎖していった。始めに見つけた大きな湖ほど強力な物はなかったが、その場で私が消せるほど弱い所もなかった。もしかしたら小さくて弱い所は森の結界の浄化作用で既に消えたのだろうか?...消えたことにしよう...

 湖よりも北の森の出入り口に近い所にあった洞窟からも瘴気を感じたので近づこうとしたが、フッラが恐らく中はもっと瘴気が濃いかもしれないと言うので近づかずに離れた所から洞窟の入口にしっかりフタをして来た。

 結局、発生源は湖なのだろうか?

 そもそも瘴気ってどうして発生するのだろう?...


「ちなみに湖を復活させられなかったからこちら側の水源問題は解決しませんでしたね…なんだか申し訳ないです。」

「いえ、それは大丈夫ですよ、森の北東この辺りは間もなく雪に覆われます。瘴気を封じたのでこれからは土壌が雪解け水を吸収出来るようになりますから、春には新しい水場が発生してくれますよ。」


 おぉ。雪が降るのかー。

 あぁー、露天風呂欲しいー。



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