表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

隣の集落の交易

みてくれる人っているんだな。

誤字ヨリヒロ→ヨリナリ

最初の声帯の描写少し変更しました。

――ヒイロ視点――


 


転生してから1ヶ月が経過した。

声帯を慣らす練習と発音の反復で、いまではほとんど大人と同じように会話できるようになってきた。戸惑いはまだ残るものの、声に迷いはない。


今日は家族と、役目を終えた石器を貝塚に戻しに行っていた。

その石器は、刃が欠け、削れて、もう使えない。

でも、それは“捨てる”んじゃなく、“戻す”ことだった。

石は、また土に還る。


 


帰り道、集落の西にある踏みならされた細道から、数人がかごを背負って向かってくるのが見えた。

地面は人の足で固められ、草はまばらにしか生えていない。

交易路として使われているらしく、道の両脇には踏み分けられた跡が続いていた。


 


「ちっちー、あっちから、だれかむかってきたよー。」


自分がそう言うと、父ヨリナリは目を細めて、ゆっくりと歩みを止めた。

そして、穏やかに答えた。


「隣の集落の人たちだよ。ときどき、こうして来てくれるんだ。

彼らは、何か持ってきて、こっちの物と交換していく。まあ、助け合いみたいなもんだな。」


 


彼らの背負ったかごを見つめながら、頭の中で言葉を並べた。

(交換……助け合い……もしかして、交易?)


でも、確信はなかった。

教科書に載っていた“物々交換”のイメージとは、少し違って見えた。


 


集落の広場に着くと、村長がすぐに姿を現した。



「おう、ヤマト。道中、雨に降られなかったか?

それに、ミナも元気そうだな。腰の貝飾り、前より増えたか?」


村長は、かごを下ろした男と女に声をかけた。


 


ヤマトは、肩まで伸びた黒髪を後ろで束ねていて、額が広く、目元は鋭かった。

鹿革のベストを羽織り、腰には小刀を差している。

言葉に迷いがなく、動きに無駄がない。


 


ミナは、肩にかかる髪を木の実の飾りで留めていて、頬が丸く、笑うとえくぼが出た。

編み布の腰巻に、貝殻のアクセサリーをつけていて、話すときに少し首を傾ける癖がある。

若さと柔らかさがあって、見ているだけで気持ちが和らぐような人だった。


 


「道は乾いてたよ。風が強かったけど、歩きやすかった」

ヤマトが答えると、ミナが笑って言った。

「この貝、昨日採ったばかりなの。水が澄んでて、よく見えたのよ」


 


村長はうなずきながら、少し声を落として言った。

「さて、こっちは石器が揃ってる。見てってくれ。

それと、貝は、こっちじゃ採れないから助かるよ。」


 


その言葉を聞いて、ようやく自分は理解した。

――やっぱり、交易だったんだ。

でも、それは教科書に書いてあった“物々交換”とは違っていた。


 


誰も、数を数えていない。

誰も、損得を気にしていない。

ただ、必要なものを渡し、必要そうなものを受け取っていた。


それは、交換じゃなくて、助け合いだった。

足りないものを補い合い、余ったものを分け合う。

そのやりとりに、値段も条件もなかった。


 


自分は、現代の感覚で考えていた。

価値が釣り合えば、交換は成立する。

でも、この世界では、それだけじゃ足りない。


たとえば、貝の数が少なくても、渡す。

石器の刃が少し欠けていても、受け取る。

それは、“関係”が価値を補っているということだった。


ヒイロ(なるほど〜、前世でいうご近所付き合いみたいなものか)


かごの中の物よりも、彼らの目を見た。

その目は、探っていなかった。

疑ってもいなかった。



交易は、物を渡すことだけじゃない。

関係をつなぐことだ。



初めての交易を見学しながら、静かに思った。

この世界で生きるには、知っているだけじゃ足りない。

“感じること”が、何よりも大事なんだ。



AIってユーモア豊富過ぎる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ