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知識に憧れる少年

遅くなりました。

―――ヒイロ(13歳)視点―――


朝の光が田畑を淡く照らす頃、ヒイロはいつものように余水路の点検を終え、小川のほとりで用具を片付けていた。


そこへ一人の少年が駆け寄ってきた。名はミツル。ヒイロより三つ年下の、細身で目の輝きが鋭い子だ。


「兄ちゃん、今朝の水路の勾配は完璧だったね!」

ミツルは胸を張りながら言った。


この少年は以前、連作障害の対策に豆科の植物を植えるのを一緒に手伝ってくれた子供達の1人だった。


ヒイロは微笑んで頷く。

「ありがとう。君が手伝ってくれたからだよ」


ミツルの心は、ヒイロへの憧れで満たされていた。

――村のために、新しい知識で暮らしを良くする兄ちゃん。自分もいつか、そうなりたい。


少年の学びと挑戦


数日後、ミツルは自分だけの「改良案」を胸に、ヒイロのもとへ駆け寄った。


「兄ちゃん、考えたんだ。用水路に小さな石組みを作って、水流を二手に分けたらどうかな?水量を増やしたい場所に優先して送れるよ」


ヒイロは小川の流れを見つめ、石を一つ取り上げて返した。

「いい視点だね。だけど、分流を作るなら常時水位を見て適切に調整しないと、畑が乾く場所が出てしまう。後で一緒にテストしよう」


ミツルはそれでも胸を躍らせた。自分のアイデアが認められた気がしたからだ。


「便利さ」に宿る影


その日の夕暮れ、自分の提案を思い返した。


(もしこの方法がうまくいけば、もっと早く畑を潤せる。みんなの収穫も増えるに違いない)


しかし――

・水流を強く分けすぎて、畦の一角が乾燥しはじめた

・夜中に小さな池の水位が低くなり、魚が弱りかけた


翌朝、村の長老からこう告げられる。

「水は命の巡り。便利さを追い求めるほど、他の命を脅かすこともあるぞ」


ミツルは胸を突かれた。

(便利にするのが、いつだって正しいとは限らないのか…?)



この先――自分の技術が村にもたらすものは、吉となるのか、凶となるのか。





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