家の仕事
読んでいただきありがとう
書くことよりもAIに聞くことのほうが多いのはどうなんや
――ヒイロ視点――
家の壁には、さまざまな形の磨製石器が吊るされている。
尖ったもの、平たいもの、刃のように鋭いもの――
それぞれが、明確な目的を持って作られている。
この家では、磨製石器の製作が主な仕事だ。
父ヨリナリは、石を選び、叩き、磨き、形を整える。
その作業音が、住居の中に静かに響いている。
自分は、作業場の隅に座って、それをじっと見ていた。
まだ手は小さくて、道具を持つには早い。
言葉は理解できるようになってきたけれど、うまく話すことはまだできない。
だから、聞いて、覚えるしかない。
父が、ひとつの石器を手に取った。
「これは、皮剥ぎ用だ」
石器は、先端が薄く鋭い。
獣の皮と肉の間に差し込みやすく、滑らせるように使う形状だった。
表面は滑らかに磨かれていて、手に馴染むように加工されている。
次に、父は別の石器を持ち上げた。
「これは、骨砕き用」
それは、ずっしりと重く、先端が丸くて平たい。
打撃に特化した形で、獣の骨を砕いて髄を取り出すための道具だった。
柄は短く、力を込めて振り下ろすのに適している。
自分はそれを見て、思った。
――今で言う“槌”みたいなものか。
骨を砕くためのハンマー。
現代なら金属で作るけど、ここでは石で作る。
それでも、目的は同じだ。
中にある栄養を取り出すための道具。
ヨリナリ「骨の中には、あぶらがある。髄だ。食べると、力が出る」
父の言葉に、自分は目を見開いた。
こうやって栄養を摂取しているのか。
骨を砕いたあと、砕けた骨片を火で温めて、髄を溶かして集める。
それを舐めたり、煮て食べたりする。
脂は貴重で、寒い季節には命を守る力になる。
教科書で見たことのある形に頷いた。
でも、実際に目の前で使われているのを見ると、印象が違った。
石器は、ただの“道具”じゃない。
それは、命を支える“技術”だった。
そして、記憶と照らし合わせてみて気づいた。
この石器は、まだ改善できる。
刃の角度、重心の位置、柄の素材――
現代の知識があれば、もっと効率的に、もっと安全に使える形がある。
たとえば、斧。
この集落にも石斧はある。
今ある石斧の刃は両側が対称に丸く削られていて、蛤のような形をしている。
いわゆる“縦斧”と呼ばれる形だ。
その形では、振ったときの力が分散してしまい、木に深く食い込むには何度も打ち込む必要があった。
石を削るのは、簡単じゃない。
でも、形を決めるのは、もっと難しい。
自分の記憶では、斧はもっと“道具らしく”進化できる。
刃を湾曲させ、重心を柄の先に寄せるだけで、切れ味は変わる。
それだけで、木への食い込みが違う。
道具は、使う者の知恵で進化する。
この世界で、自分ができることは――
“あるもの”を“もっと良くする”ことだ。
ヒイロとしての記憶と、自分の知識が重なった瞬間だった。
この家の仕事は、ただ石を削るだけじゃない。
それは、未来を形にする仕事だった。
AIに聞いたことなので間違った知識かも知れませんご了承を