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隙間を縫う手と独白

――ヒイロ(8歳)視点――


石絵の遊びから五日後、ため池の縁を歩く朝。前夜の雨で柔らかくなった堤の粘土と石の継ぎ目に、わずかな隙間を見つけた。そこからぽたり、と水がこぼれ落ちている。


「ここから水が逃げてる」


呼び集めた兄とアサトさんと共に、湿った粘土を練って隙間に詰め、石を押し込んで踏み固める。数度繰り返すと、ひび割れはぴたりと塞がった。


兄の「さすがだな!」、アサトさんの「助かったよ」の笑顔に、胸がじんわりと温かくなる。


――独白――

前世では工場の長いライン作業の暮らし。タクトタイムに追われていつまで経ってもキツいままで、作業でこなしていたけれど、金払いが悪かったわけではないが、承認を求めていたわけじゃない。ただ、人生ってこんなのかなと思いながら何がいいのか分からなかった。


今、縄文の村で僕は「ありがとう」の言葉に心地よさを覚え、承認が生きる力になるのかもしれないと感じる。

でも、胸の奥のどこかが、ほんの少しだけざわついた。


(このあたたかさがずっと続くのかな?)


問いはまだ小さく、解けないまま。それでも手を動かし、人の役に立つという喜びは、僕の足取りを軽くしていた。


「また見回りを続けよう」


ヒイロはそう呟き、ため池の縁を静かに歩き出した。水面に揺れる自分の影が、朝陽にきらめいていた。

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