3つの視点
1. ヨリナリ(父)の視点
ヒイロがまだ2歳くらいのころは、泣いて笑って転んで…どこにでもいる子どもだった。けれど3歳を過ぎたころから、草むらの草花や小石を次々集めては不思議そうに眺める姿が増えた。泥んこになりながらも「どうして?」を繰り返し、僕ら大人が気づかないものにも興味を向ける。
あれから5年、7歳になった今では、産後の痛みを和らげる温め石を作り、斧の重心まで調整し、その効果を自ら試して見せた。潮声村でもその機転を褒められ、村の人々を驚かせている。自分の子どもだとは思えないほどの成長ぶりに、胸が熱くなる一方で、母・美咲に似た笑顔や無邪気に駆け回る声を耳にすると、ああやっぱり我が子だと実感する。
まだまだ知らないもの、学べることは無数にある。これからもヒイロがどんな知恵を見つけ、どこまで羽ばたくのか――想像するだけで、父としてワクワクが止まらない。
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2. ミヨ(母)の視点
ヒイロが初めて笑った瞬間を今でも覚えている。小さな手で母の指を握り返したあの日から、わずか七年。あんなに抱っこ星人だったのに、いつの間にか小石を並べ、斧を振り比べるほどに成長して。
夜な夜な火を囲んで石を温め、産後の母を助ける姿を見たとき、「わが子ながら天才かもしれない」と思った。その一方で、道草をしては笑い転げる無邪気さや、満面の笑顔で母の膝に顔をうずめる瞬間を見ると、やはりこの子は私の子だと胸が温かくなる。
きっとヒイロはこれからも、驚きを持って世界を見つめ続けるだろう。母として、どんな知恵を生み出すのかをそばで支えられる幸せに、心が満たされている。
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3. ヤマト(潮声村の村人)の視点
初めてヒイロを見たのは、まだ彼が3歳のころだった。緑影村の交易で訪れたとき、小さな体で丸太を手のひらで確かめていたあの姿が、今ではすっかり凛々しく見える。中性的な顔立ちの奥に、学び取る鋭さが光るんだ。
そして今回、産後の痛みに寄り添う温め石をはじめ、自ら改良した斧や虫除けの知恵を持ち込む彼を目の当たりにし、「ただの子どもじゃない」とひざを打った。村のみんなが拍手するのも納得だ。
半分冗談で「リノをヒイロに嫁がせたい」と言ったけれど、本心もあった。二人の間に芽生えた信頼と尊敬が、きっと将来、豊かな絆を育むはずだと確信しているから。
村の入り口から見守ったあの日、僕は心の中で誓った。
「困ったときは、いつでもヒイロに頼もう」
未来を切り拓く小さな知恵の灯台として、彼の成長を見守り続けたいと思う。




