温熱の証明と信頼の架け橋
読んでくださってありがとうございます
――ヒイロ(7歳)視点――
と、言ってもこれらの道具は直ぐに使えるものでも理解されるものでもないため困ってしまう。
「いざ証明って言っても…本当に石を当てるだけで痛みが和らぐのか?」
潮声村の漁師ダイさんが眉をひそめた。
「どういう仕組みなのか、まだよくわからんからな…」
僕も胸がざわつく。半信半疑の視線が集まる中、ヤマトがにこりと笑いかけた。
「ちょうどいい。今日は出産予定の人がいるから、試してみよう」
潮声村のマキさんが立ち上がる。
「私、今日産むんです。命懸けの夜だから、ぜひその小石を使わせてほしい」
場の空気が一変した。疑念と期待が入り混じる中、僕は深呼吸して布に包んだ石を囲炉裏で温めた。
石の熱はじんわりと手に伝わり、低く安定した温かさを保つ。
「熱すぎないか、確かめて…」
僕は自分の腕で温度を確かめ、そっとマキさんの下腹部に当てた。
最初こそ固まっていたマキさんの表情が、次第にゆるんでいく。痛みの合間に小さく息をつき、額の汗がさっと引いた。
マキさん
「…あたたかい。冷えが消えて、痛みが和らいでいくのがわかるわ」
休憩していた漁師ダイさんは驚きの声を上げた。
「まさか…本当に、効くんだな」
父も村長も誇らしげに頷く。
ヨリナリ
「ヒイロの考えた方法だ。子どもの知恵を舐めちゃいけない」
緑影村の村長
「よくぞ証明してくれた。不思議なほど理にかなっている」
そのとき、リノが僕の隣で小さく手を握りしめた。
リノ
「すごいよ、ヒイロ。ほんとうに役に立ってる」
僕は照れくさくなりながらも、リノの瞳に映る信頼を胸に刻む。
(言葉じゃなくて、行動で示す──これが僕のやり方なんだ)
この夜、緑影村と潮声村の交易は、子どもの小石が生み出した温もりをきっかけに、一層深い信頼の架け橋となった。




