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終焉を迎える異世界に召喚されたので救世主になる話  作者: きなこと餅
2章 ディルクルム家との領主争い
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第七話 「花婿修行」

ケイがルナの案内の自室に戻り数分が経つとアウロナが入ってくる。


「待った?少し遅くなっちゃってごめんね?」


「いや大丈夫。今来たとこだから」


「?ならあたしが本を探してた間どこでなにしてたの?」


アウロナの顔には単純な疑問が浮かんでおり?の文字が見えてくるような気さえしてくる。これがアウロナの超がつく天然だ。


「俺の故郷では待った?と聞かれたら今来たとこって言うのがお決まりなんだよ」


「そうなんだ。」


「そうそう。で何の本を持ってきてくれたの?」


「ケイって世界のことを何も知らないから歴史本を持ってきたの。ほら」


アウロナがページをペラペラまくって見せてくる。たまに挿絵のようなものがあるのは分かるが、ただ一つ問題ができた。


「読めねぇ…」


「え?うそ!」


「いや、本当に読めない…なにこれ」


「う〜ん。ならまずは文字の勉強をしよっか!サナに教えてもらいなよ。サナはすっごく教え上手だから!」


「えぇ…あの子かぁ。」


ケイは若干気乗りしない様子を見せる。その脳内の情景は「気持ち悪い」と遠回しもクソもなく悪口を言われたところだ。


「お客様、文字も読めないのですか?教養が足りませんね」


ウワサをすればとはこのことか。姉妹メイドの姉、サナはすでに扉にもたれて部屋の中にいた。


「あ〜あの。そうですね。文字を教えてもらったりは…」


「サナお願い!ケイったら世界のことを何も知らないから教えてあげたいの」


「…ふん。アウロナ様のお願いなら仕方ないですね。」


サナは無い胸を張って調子よさそうに言った。


「ではお客様。教養のないお客様のためにサナが文字表を作ってあげます。ですので今日はサナの代わりに屋敷のお仕事をお願いします。」


「えぇ…」


ケイがアウロナに目で「助けて」と訴えるとアウロナは下手くそなウインクをしておそらく「頑張って」と返して本を置いて部屋を出ていってしまった。


「大丈夫。お客様に家事の素養がないことは分かっていますのでルナに教えてもらってください。」


「はい…」


――――――――――――――――――――――

サナと別れたケイは10分ほどかけて広い屋敷の中からルナを見つけた。


「あ、お客様姉様を知りませんか?今からお昼ご飯の仕込みをするとこなのですが」


「ルナ、今日は俺がサナの代わりだ。料理男子ではあるかじゃんじゃん頼ってくれよ!!」


こんなことを言っているがケイが元の世界で作れる料理なんてせいぜいモタモタのチャーハンくらいである。パラパラ感は壊滅的だが味さえ良ければそれで良いケイはそれだけで自分が料理男子であると自負していた。


「いえ。当家の食卓はルナが担当しています。お客様のような怪しい客人には作らせません。それよりお客様は自室も分からなくなるほど方向音痴でいらっしゃるのでまずは当家の案内をします。


「おう。」


――――――――――――――――――――――

ルナは食料が置かれた部屋から出ると隣の扉を開けた。


「こちらは調理室です。」


「え?さっきも調理室じゃなかった?」


「あちらは食料の保管庫のような部屋です。調理室と繋がっています。」


「へぇ。まるで一流シェフの厨房だな」


その隣は食事処。そしてその隣はレオヴァルドの自室。そこからは客間が続きそこからは応接間、浴室、トイレとある。


「デカいとは思ってたけど殆ど客間なんだな」


「いいえ。もちろんまだ紹介していない部屋もあります。ですがお客様が知る必要はありません。」


「そこまで言って教えないの!?」


言われてみればアウロナの自室などは教えられてない信用度のなさにケイは少し落ち込む。


「まあ…これからだよな。」


「ではこれで案内は終了です。案内していない部屋に入るのは禁止します。お客様が今からする仕事は浴室の掃除です。1日かけて丁寧にしてくださいね」


「おっけ!っていやルナ一人にこの屋敷の仕事全部任せるのは少々どころじゃなく忍びないんだけど!」


「大丈夫です。ルナは家事全般得意です。ですが浴室の掃除が嫌いなのでお客様に任せます。」


「言わなくていいよそれ!」


「昼食になったらお呼びしますのでそれまでは浴室の掃除をお願いします。石鹸を使ってブラシで磨くだけなので簡単ですよ」


そう言うとルナは調理室、または厨房に戻って行った。


――――――――――――――――――――――

浴室に来たケイは掃除を始める


「いやデカすぎだろ!!」


案内された時も思ったがヴェスペル家の浴室は銭湯の一角程の広さを有している。シャワーなどはないが真ん中に四角く正方形の溝がありそこに湯を張る構造だ。


「クッソ…でもやるしかねぇよな!」


若干ヤケになったケイは置いてあるブラシにこれでもかと泡立たせた石鹸をつけてジャージの袖をめくって掃除を開始する。


「うぉぉぉ!!!カーリングじゃぁぁ!!」


カーリング選手のごとくケイは床を磨く磨く。その動きは洗練されている。


――――――――――――――――――――――

床磨きが終わった頃ルナが浴室に来た。


「お客様、お昼ご飯ですよ。」


「あーもうそんな時間か」


汗だくで上のジャージを脱ぎ捨てケイは何故か満身創痍のようになっていた。












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