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【第14話】師匠①

「強くなりたい、か。まあ、いい感じに師匠になりそうなやつに心当たりがないこともないんだが……」

「本当ですか?! 是非ご紹介をお願いします!!」

「ああ……まあ、いろいろ頑張るのだぞ」

「はい!! ありがとうございます!!」


 ダロス先生の返答がやけに歯切れが悪いのが気になったが、強くなるために手段は選んでいられない。



 後日、ダロス先生に連れられ、着いた先は……。


「ここ、王国軍の訓練場じゃないですか」

「そうだ。この先にいる」


 王国軍、アルディン王国の盾であり、剣である国王指揮下の軍隊。

 普段は街の巡回、主要な街道の巡回や街、農村、街道でのモンスター討伐を行っていると学んだ。それに兵士の一人一人の練度が高く、強いのだとか。


「中に入るぞ」

「はい!」


 ダロス先生は何度もここを訪れているのだろう。迷いなく進んでいく背中に付いていく。

 恐らく、王国軍の教官などに稽古をつけて貰えるのではないだろうか。きっとその稽古が厳しいからダロス先生は以前あんなに歯切れの悪い返事をしていたのだろう。それくらいどうということはないのに。


「ここだ」


 そうして着いたのは普通の訓練場の1つだった。

 そこには日陰で座り込み、眠そうに欠伸をしている男がいた。


「おっ、やっと来たか」


 こちらに気付いたその男が近付いてきた。目つきが悪く、黒髪、結構若そうだ。正直、あまり強そうには感じない。

 王国軍は団長、副団長と続き、一番隊から始まり、各番隊に隊長がいる。その下に複数の部隊と部隊長がいるが、そのどこかの部隊の副部隊長くらいの人なのかもしれない。


「キミがアレン君か。ふむ、ふむ」


 鋭い目線が全身を隈なく確認するのを感じた。もう既に試されているのだろう。


「かなり努力しているようだな。よし、オレと手合わせしよう」

「え、あ、はい!」


 咄嗟の事で返事が遅れた。最低限合格、ということだろうか。

 よくわからないまま手合わせの準備をして、訓練場の真ん中に立つ男の前に立った。


「そうだなぁ。まず最初の1分間はオレからは攻撃しない。好きなようにかかってくるといい。時間内に1発でもオレの体に当てれたら、キミを鍛えてあげよう」

「え、いいんですか。俺、当てちゃうかもしれませんよ」

「是非そのつもりでやってくれ。時間が過ぎた後は、そうだな。どうなったとしても、見込みがあると感じたら鍛えてあげよう」


 随分と軽んじられているようだ。ダロス先生は俺の実力を何も話していないのだろうか。勝てるとは言わないが、少なくとも1分もあれば1発くらいは当てれるつもりだ。

 まあ、俺としてはそんな簡単な条件で今後稽古をつけて貰えるのなら願ったり叶ったりだ。


「じゃ、そろそろ始めようか」


 男は利き手ではない左手で軽く模擬剣を持って言う。俺の攻撃くらい簡単にいなせるということだろうか。

 1分も経たないうちに俺の評価を変えてみせる。


「では、遠慮なく行きます!!」

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