【第13話】モンスター討伐③
引き続き、ゴブリンを探して森を進んでいく。
突発的に戦闘になってもいいように、先頭に俺とスウェロ、真ん中に索敵を行うメティス、そして最後にローメルとレイラの並びを崩さないように意識する。
一応、ダロス先生は少し離れて後ろからついてきている。
「止まって……、いる」
メティスの静かに、それでいて刺すかのような声が耳に届く。
メティスが指す方向を見るといた。岩陰で隠れていて、意識しないと気付かない位置に6匹から8匹ほどだろうか。数刻前戦ったやつらと同じような身なりと武器を持ったゴブリン達がいた。
「かなり多いな」
「そうね。音から察するに恐らく7匹……」
メティスが頭の上にある立派な兎耳を僅かに動かしながら答えた。
兎の亜人族は聴覚に優れるとは知っていたが、ここまでのものなのか。通りでレンジャーに兎の亜人族が多いわけだ。
「作戦だが、ローメルの範囲魔法とメティスの弓矢とレイラの聖魔法で倒せるだけ倒して、俺とスウェロで残りを倒す、さっきのやり方でいいか」
「そうだな。魔法が通用する低級モンスターにはそれが手堅いし、さっきと状況は近い、ダロス先生の真似をするのが間違いない」
「僕の見せ場ってわけだね。いいとも、とっておきをお見せしよう」
反対意見はなく、みんなやる気に満ち溢れているようだ。
「そうと決まれば、作戦開始だ!」
みんなもう慣れたのか、自信をつけたのか、或いはどちらもあるのか素早く動いていく。それでいて静かに、的確に。
早くも全員位置に着く、俺も慣れたようにみんなの状況を確認し、合図を出す。
「トリプル・ライトニング!!」
「ホーリーランス!!」
レイラとメティスは先ほどと同じように1匹ずつゴブリンを倒す中、ローメルの範囲魔法が3匹のゴブリンを捉える。具体的に言うのであれば、魔法を唱えると同時に、ローメルの杖から3本の雷撃がゴブリンめがけて勢いよく飛翔し、直撃した。
煙の中には雷撃で焼き尽くされたゴブリンが僅かに体を震わせ、絶命していた。
「スウェロ!!」
「ああ!」
残り2匹を仕留めるため、茂みから飛び出す。
「うおおお、くっ……」
剣を抜く勢いで斬りつけたが、ゴブリンの決死の反撃で剣の軌道を変えられ、剣がゴブリンの頭上を掠め、隙を晒す。
刹那、ゴブリンが下卑た笑みを浮かべたのが見えた。攻撃をいなしてやったという意味であろうか、それとも反撃してやるぜという意味だろうか。どちらにせよ、俺の未熟さを笑っているのだろう。
「くっそおおおおお!!!」
両足で強く大地を踏みしめ、腕、背中、腰の筋肉を全力で使い、無理矢理右上から下に切り下ろす。
ゴブリンの左肩から真下に振り下ろした剣が肉を斬り、鎖骨を砕き、肋骨の大半を砕き潰しながら進み、腰ほどで止まった。
「はあ、はあ、体が痛え……」
スウェロの方は何事もなく倒したようだ。俺も一応、怪我をすることなく倒せたが……すごく、嫌な気分だ。
みんな集まって喜んでいるが、どうにも素直に喜べない俺がいた。
その後、最後まで森を確認したがそれ以上はゴブリンを見つけることはなく、帰路に着いた。
馬車に揺られながら、目を閉じるとゴブリンのあの下卑た笑みが頭から離れない。……俺は、もっと強くならなければ足りないのだろう。
ギルドにてクエスト完了の報告をし、報酬を分けた後、少し用事があるとスウェロには先に帰ってもらった。
「ダロス先生。俺、もっと強くなりたいです」




