【第10話】採取クエスト②
「では採取を行っていこうと思うが、薬草の見分けはつくな?」
「当然、復習してきたくらいですよ」
「おお、期待しとるぞ。さて、誰が一番多く採取できるかね」
広大な草原の中から薬草を探して草をかき分ける。
名前を知らない草をかき分け、名前を知らない花を押しのけくまなく探していく。
「お、あった」
ようやく1つ薬草を見つけた。丁寧に根っこごと引き抜く、根っこもポーションには使われないが、素材として使われていたはずだ。買取価格的には僅かな差だろうが……。
「……こんなところだろうか」
それなりに採取できた気がする。初めてだという事を考えるとかなりいい方なのではなかろうか。
「よーし、そろそろ集まれ」
丁度、ダロス先生の大きな声が聞こえてきた。手に持った薬草をカゴに入れ、声の元に集合した。
「全員揃ったな。採取したものを確認するぞ。さてはて、誰が一番多いかね」
最初に俺のカゴが確認される。
「ふむ、まあ、初めてにしては上出来じゃな。量はまずまずだが、採取間違いはないのがいい」
学んできた知識がしっかり評価された気がして結構嬉しい。
次にスウェロのカゴが確認される。
「お、スウェロは少し多いな」
「これでも商人の息子ですから、何度見た事か」
商人の子としての経験、知識の差で少し負けてしまった。少し悔しさもあるが、それよりもスウェロを誇りに思う気持ちが勝る。やっぱりスウェロはスゲェな。
「おお……初めての採取でこれほど集めた者を見るのは初めてかもしれん」
ダロス先生が感嘆の声をあげる。視線の先には薬草でいっぱいになったカゴがあった。メティスのカゴだ。
「……別に、この薬草の特性を少し知ってただけだから」
メティスは照れ臭そうに謙遜しているが、圧倒的な採取量だ。レンジャーというのはこういう事も得意なのだろうか。
「ローメルは、アレンと同じくらいだな」
遠目にローメルが何か優雅に格好つけて採取していたように見えたが、俺と同じくらい……。何か、ものすごく悔しいような、すごいと感嘆するような、変な感じだ。ローメルらしいとでも言うべきなのだろうか。
「レイラ、これは……少し違うな。これと、これも」
レイラのカゴを見ると、薬草と似ていて間違えやすい特に何の効能もなくて素材にもならない草がたくさん入っていた。
普段、怪我などに治癒魔法を使うから薬草を見る機会があまりないのだろうか。結局、レイラのカゴに薬草は僅かにしか入っていなかった。
「よし、全員の採取した薬草を合わせれば十分な量になるな。むしろ多いまであるな。ではギルドに戻って買取してもらうぞ」
帰ろうとしたところ、半透明な明るい黄緑色の楕円形が草むらから飛び出してきた。瞬時、脳が理解する。スライムだ。
とっさに剣に手をかけようとしたが、その手を戻した。こいつは草食性の非常に温厚なスライムだ。
「ダロス先生。こいつは、別にわざわざ倒さなくてもいいですよね」
「まあ、そうだな。温厚な上、戦闘になった際の逃げ足は速いわ。対して何か素材が取れるわけでもない。やるだけ無駄だ。それに……」
「それに?」
「こやつは存外賢くて人に懐く」
「そうなんですか? 聞いたことありませんが……」
「1人、知り合いに手懐けとるやつがおってな。それを見て以来、こやつだけは無闇に切り捨てようとは思えぬというところもある」
モンスターを使役しているという事だろうか。たまにモンスターを仲間としている人がいるとは聞くが……。
そうこう話している間にスライムはどこかへ行ってしまった。
ギルドの買取カウンターで採取してきた薬草を買い取ってもらった。パーティーで等分したが、小遣い程度にはなった。
せっかくだから、という事でダロス先生のおごりでみんなで晩飯を食べに行った。
「腹も満たしたことで、今日は解散だ。次は低級モンスターを討伐に行くぞ。詳細はまた明日話そう」
遂に、モンスター討伐……。




